後輩を教育した話

 最近、学校にて、自分が校内では高校2年生というかなり上の立場であることをわきまえず行動してしまった。反省も踏まえて、ここに書かせていただく。
 ある日の昼休み、私の趣味であり、生きがいのサッカーをするためグラウンドを訪れた。
 昼休みのサッカーは自分に、とって至福の時間と言っていい。ガッツリサッカーするというよりかは、友達と短い距離でパスを回しながら、近況を報告したり、他愛もない話をしたりと、その、ボールを蹴りながらする雑談がなんか良い。
 そういうわけでその日もグラウンドに向かった。まずボールを取るため、グラウンドに隣接する自分の部室に入る。するとボールがない。あれ?なんでだろう?誰か使っているのかな?そう思ってグラウンドを見ると、みたことあるボールを蹴っている集団が。。。そう。それは確かにここから持ち出されたボールだ。その集団がなんと中学一年生である。まず、その部室に入ることができるのは自分の部活に入っている高校生のみだ。その集団に高校生がいないのはもちろんのこと、しかも見たところそこには私の部活に所属している子もいない。つまり全く知らない部活の部室から勝手にボールを取っていたというのだ。この一部始終を見て、やっぱり中1はすげぇなと思った。まぁ中1ってこんな感じだよねぇーと。
 しかし、こんなことを許し続ける訳にはいかない。彼らの為にも勝手に知らない部室に入ってボールをとってはいけないことを言うしかない。さぁどうするか。
 まず選択肢としては、その場で声をかけ注意すること。しかしこれはできない。理由は私が極力人と話したくないのと、中1とは世の中をまだよく知らない為に正義というものだけを突きつけて議論してくるからだ。人の圧や、暗黙の了解、そんなものは彼らには通じない。彼らは真っ直ぐな目で正義だけを突きつけてくる。
 そして私達が取ったのは2つ目の選択肢だ。まず、私が部室に入る。そしてボールがないのをそこで知った体で「ボールどこだよ!誰だよ勝手に使ってるやつ!ふざけんなよ!」と怒号を上げる。そして仲間達が私がキレているのを見て焦るという演技をする。もちろん周りに聞こえる声で。言わずもがな中1の少年達はこっちを向く。そして青ざめる。なんともこすいことをしている。高校2年生にもなって恥ずかしい。今考えたらそうかもしれないが、この時はどうでもいい。あと、私はこすい。
 そうして青ざめた後輩達をさらに追い詰めていく。私はまた「前、勝手にボール使ったやつ普通に半殺しにしたけどなァァ」また気持ちの悪い嘘を言う。仲間達が「お前やばいぞ!さすがに落ち着けって。こいつキレたらやばいんだぞ〜」当然中1達はさらに青くなる。それから「俺はそんな人として終わってる行動してるやつは先輩だろうと後輩だろうと暴力してきたけどな」「俺は自分が納得いかないことはどっちかが倒れるまで殴りあうよ。言葉での解決なんか存在しないから」と後輩をビビらせる自分の嘘武勇伝大喜利が始まる。後輩達がドンドン青ざめる。それに並行して昼休みを終わりが近づく。
 私達はずっとその中1達を横目に部室の近くにいた。この場所にいると当然中1達は怖くてボールを戻せなくなる。彼らは腹を決めてボールを盗んでいくのではないか。昼休みが終わるにつれて、そうした焦りに襲われる。そして私達の結論として一旦遠くで部室が見える位置で待機することとなった。
 昼休みが終わりに近づき、チャイムが鳴る。すると彼らは私達がいないことをいい事に部室に入った。現行犯だ。それを見た私の仲間が大声で「次から勝手に使っちゃダメだよー!!!」と叫ぶ。中1はさっき私が言ったことを信じ自分が半殺しになる覚悟でボールをしまったのだろう。安心した声で「はぁぁいぃ」と言った。一応一件落着である。
 しかし、高校2年生にもなって、こんなこすい真似をしていることを後から恥ずかしくなった。彼らにはこんな真似をして申し訳ない。あとこんなひねくれることなく真っ直ぐ生きてくれ。
 

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