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自社開発にも拘らない

SaaS事業を伸ばすため、三つ目に取り組んだのは、他社が開発したSaaSプロダクトを担ぐ、「リセラーになる」という方法です。

前回お話した通り、僕らの自社開発のSaaSプロダクトは中小企業向けがメインでしたが、ウェブ制作事業部門の顧客層は大手企業がメインでした。経営的にはできれば、ウェブ制作事業のメンバーが提案しやすい大手企業向けのSaaS プロダクトのラインナップが欲しいと考えていました。
ところが、大手企業向けのSaaS プロダクトには大きな開発体制と膨大な開発期間が必要です。僕らにはそんな資金はありませんから、そこで行き着いたのが他社のSaaSプロダクトの「リセラービジネス」というものでした。

きっかけは、主力事業のウェブ制作事業部門のアクセス解析の担当スタッフが持ってきた話からでした。

実は、その頃、Comfy Analyticsと言う自社ブランドの解析ソフトを中堅企業向けに提供していました。
しかし、大手企業向けのウェブ制作事業の担当スタッフからすると無償とはいえ機能面の成長著しいGoogle Analyitycs(以下GA)は広くお客様にも浸透していたこともあり、現場からは「GAを使った解析サービスを提供しましょう」とたびたび提案を受けてました。

ただ、過去にも無料のソフトウェアを担いで何度か価格競争に陥った苦い経験もあり、当時は自社ブランドのComfy Analyticsに拘って、アクセス解析プロダクトを提供してました。

ところが、そのスタッフは粘り強くGAに取り組み続けたこともあり、遂には古くからお付き合いしてたGoogleのある方から、「近くGoogle Analyitycsの有償版がリリースされることになったので、御社でリセラーをやってみませんか?」と、お誘いをいただいたのです。

無償版GAではなかなか厳しいと尻込みしていた僕も有償版になれば話は別です。
何よりも「やってみたい」と言うスタッフがいる時こそが立ち上げプロジェクトにも火がつきます。

早速、経営陣で話し合い、とうとうGA有償版をリセラーとして取り扱う決断をしました。

1: ビッグデータ時代にはアクセス解析ソフトはますます重要なツールになり、今後の僕らの全てのサービスの土台になりえそうだったこと。

2: Comfy Analyticsを発売した頃の無償GAは中小企業向けのポジションでしたが、どんどん高機能となり、今後、GAはこの勢いで大手企業の間でも業界標準の解析ツールになりえそうだったこと。

3: GA有償版販売開始時のリセラーは8社前後でした。ウェブ制作が主業の会社は僕らぐらいでしたが、逆にこの業態だからこその強みを作れそうだという算段があったこと。

4: すでに知名度の高いGAは、莫大な広告宣伝費をかけなくても、商品の魅力を伝えることができたので、大きな広告費、そして僕らの苦手な営業の部隊は最低限でも済んだこと。

以上、細かい理由はまだまだありますが、決め手はこの四つです。

こうして、責任者に先日ELYZA取締役に就任した野口君、そしてGAの導入、活用支援に拘ってきたアクセス解析メンバーのスタッフ数人と、少人数の立ち上げプロジェクトがスタートしました。

結果は、当初聞いていた予定より有償版の発売が遅れるというアクシデントで、せっかくチームを作ったのに一年強、一件も売れないと言う問題も発生しましたが、リセラーの中でリリースする前から積極的に動いてたのが僕らぐらいだったせいか、リリース後、最高のスタートダッシュを切ることができました。
また初期の導入実績の多さからいち早く導入ノウハウの蓄積につながり、さらにお客様が集まると言う好循環を作り、GAリセラービジネスを確立することができました。

2014年3月、構造転換に取り組んで7年、なかなか数字の結果が出せず煮詰まっていた頃の幹部合宿の写真です。この頃の幹部のおかげで今の事業があります。


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