会計初心者が決算書を上手に読む方法-縮尺財務諸表を活用せよ

ビジネスの世界で働いている皆さんにとって財務諸表は身近だけど、非常に厄介なものなのではないでしょうか😅

社会人必須のスキルとして英語・会計・パソコンがよくあげられますが、多くの方が会計に苦手意識をもっていられるのではないかと思います💦😭

特に決算書をどのように見たら良いか悩んでいる方も多いと思います。

結論から先に言うと、上手に読むためには決算書を大雑把にみることが大切です。

細かいことを気にせず、大雑把にみる訓練をすることで苦手意識が克服され、財務諸表を読む力がかなり向上します。

この記事では、財務諸表を大雑把にみるための、縮尺財務諸表の見方をお伝えしようと思います

◇この記事がおすすめの方◇

✍️ビジネスに関心のある方、就活生の方、会計初心者の方
✍️仕事で会計知識が必要な方
✍️会計リテラシーを高めたい方
✍️株式投資を行っている、検討している方

決算書を上手に読むには

決算書を読むためには、まず以下の2つを意識しましょう。

①まずは、損益計算書と貸借対照表の構成要素を理解する
②現実のビジネスとのリンクを想像しながら、ざっくりと決算書を読む

これら2つの考えを取り入れて、簡単に企業の概要を確認できるのが、縮尺財務諸表になります。

縮尺財務諸表とは、企業の貸借対照表と損益計算書の大まかな項目を表にした、大雑把な財務諸表をいいます。

縮尺財務諸表

2つの財務諸表をみるときは、それぞれの構成要素の重要な部分をまず確認するのが良いです。

つまり、細かな項目は無視するということです。

そこで、役立つのが貸借対照表と損益計算書を横に並べた縮尺財務諸表です。

実際に、作成された縮尺財務諸表をみてみましょう。

以下のグラフは、メルカリ(2020年6月期決算)の実際の連結財務諸表のデータを用いた縮尺財務諸表を示しています。

なお、グラフに表示されている各項目は大きいもののみ表示しています。

縮尺財務諸表を見るときにルールは、大きいものをみていく、細かいものは気にしないです。このルールに沿って、内容をみていきましょう。

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貸借対照表の資産側をみると、現預金が最も多く1,357億円となっています。なお、資産の大部分は現預金でした。

次に負債・純資産側をみていきましょう。

その他流動負債が1,092億円と最も多いことがわかります。

流動負債とは通常の営業活動で発生する仕入債務(買掛金)や1年内に支払期限が到来する負債をいいます。


グラフには示していませんが、内訳をみると「預け金」という負債が972億円あります。

メルカリを利用したことがある方はわかるかもしれませんが、皆さん、メルカリに売上金を預けていませんか

メルカリでの販売代金は、販売者が申請した際に支払われますが、それまではメルカリが預かっているわけですね。

当然、メルカリは利用者に後日、その預り金を支払う義務を負っていますので、それは負債なわけですね。

つまり、「預け金」とはメルカリが利用者に支払わなければならない、売上金です。


それがメルカリのその他流動負債のほとんどを占めています。

貸借対照表から、おおざっぱに解釈すると、メルカリは現預金を多く保有していますが、その理由はメルカリユーザーからの預り金が発生しているからといえます。

続いて、損益計算書をみていきましょう。以下の図表は再掲したものです。

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収益の売上高は763億円ありますが、費用をみると販管費(販売費及び一般管理費)が749億円と、売上のほとんどが販管費にもっていかれていることがわかります。

販管費の内訳をみると、広告宣伝費が343億円と最も多くなっています。

メルカリはTVコマーシャルなどで大規模な広告などを積極的に行っているため、そのようなコストがかさんでいます。

その結果、営業利益はマイナス193億円となっています。フリマアプリの先駆けとして、急成長しているメルカリですが、本業は赤字となっているようです。

まとめ

この記事は縮尺財務諸表を使って、財務諸表を大雑把にみる方法をお伝えしました。

まずは、全体をみて、気になる点については細かくみていく。このプロセスが財務諸表を見るうえでは非常に大事になってきます。


ぜひ、まずは細かな点は気にせず、大雑把にみていく訓練をして、会計リテラシーを向上させていきましょう。

この記事が会計リテラシーの向上に少しでも役立つこと祈ってます。

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縮尺財務諸表を用いた財務諸表クイズを出題しています。

詳しい解説は有料になりますが、問題と解答は無料となっていますので、是非、縮尺財務諸表の読解力チェックとして試してみて下さい。

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👇筆者のプロフィールはこちら👇

参考:メルカリ「決算情報」ホームページ

👇縮尺財務諸表の作成方法についての書籍はこちら👇

👇縮尺財務諸表を用いた企業分析はこちら👇

補足:財務諸表とは

財務諸表は、決算時点の財政状態や一定期間の経営成績をまとめた計算書です。財務諸表の中でも最も重要なものが損益計算書(そんえきけいさんしょ)と貸借対照表(たいしゃくたいしょうひょう)です。


損益計算書

損益計算書(そんえきけいさんしょ)はP/L(ピー・エル)とも呼ばれます。損益計算書は、企業の経営成績をまとめたものです。収益と費用、そして収益から費用を差し引いた利益が説明されています。

損益計算書は次のように図示されます。

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貸借対照表

貸借対照表(たいしゃくたいしょうひょう)はバランスシート、B/S(ビー・エス)とも呼ばれます。これは財産や借入などといった一定時点の財政状態を説明しています。貸借対照表には資産(会社が保有する財産)と負債(お金を支払う義務)、そして純資産(資産-負債)が表されます。

図示すると次のようになります。

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