かいスペ体験記-心地よいサードプレイスは現場の仕事に活きる!
こんにちは!SPACE(#かいスぺ)は”介護”に関心をもった仲間が集う、KAIGO LEADERSのオンラインコミュニティです。今回の「かいスぺ体験記」を書いてくれたのは、てつ(Tetty)さん。てつ(Tetty)さんはどのようにかいスぺと出会い、そこでどのように活動し、どんな風に考え今に至るのでしょうか。さっそく読んでいきましょう!
自己紹介
認知症のよろず相談所を作る
私は、長年脳神経内科医として脳の病気を専門に治療する医師をしています。特に15年ほど前からは、認知症専門医として大学病院や総合病院などで勤務し、たくさんの認知症の患者さんと向き合ってきました。その後精神科クリニックを経て、2021年の新型コロナウイルス感染拡大時期に脳と心の石原クリニックを開業しました。
地域での認知症の人の生活を支援するコンセプトで小さな開業をしましたが、新型コロナウイルス感染拡大もあり、訪問診療からオンラインを含めて全国から認知症の相談をいただいています。
あらゆる立場の人からいろいろな相談が舞い込む
認知症の相談というのは、あらゆる人から打診があります。これまで相談があったところは、ご本人、ご家族、近所の人、近隣の店舗、デパート、銀行、警察、消防署、大学、市町村、県、国などがあります。さらには海外在住の方からの相談もあります。
相談内容も認知症だけでなく夫婦関係、家族関係、近隣トラブル、車の運転、妄想、幻覚・・・多岐にわたります。私は、認知症の症状とそれ以外の症状を分類・整理をして、医学的に必要な最低限の治療を行うことと、その人が利用できる社会資源を提案することを行っています。社会資源には介護保険サービスもありますが、地域にあるインフォーマルなサービスへつなぐことも意識しています。患者さんの診療では、1回の診察である程度の見通しが立つ場合もありますが、実際に安定するのに数年を要する場合もあります。
気づいたら周囲が年長者ばかりに
認知症の人は、8割が80歳以上です。ですので私は、高齢者ばかり診察しています。現在80代の方ですと、お子さんも50代から60代です。ふと見渡すとアラフィフの私自身が若い人たちと交流がなくなってきたことに気が付きました。若いつもりでいても、時は経つものです・・・。患者さんのケアを担っている人たちは、20代、30代の方も多いです。このままだと、時流からはずれてしまっていく!という危機感もあり、若い方との交流を持ちたいなと思っていました。
ケアの相談が結構多い
私が受ける相談の中には、具体的なケアの方法なども含まれます。生活の支援方法、移乗動作、福祉用具の設置、訪問看護やリハビリの利用、通所サービスの利用、自立支援医療制度の紹介なども含まれます。中には排せつの失敗に対する対処法や、外出時の注意点、テクノロジーの利用方法など、自分自身が未経験のことが話題に上ることがあります。
KAIGO LEADERSとの出会い
若い人はケアについてどのように考えているのか?
X(旧Twitter)か何かで、20代中心の介護について興味のある人が、多職種の交流の場を作っているコミュニティがあると知りました。少し調べ始めたら、40代の人も50代の人も参加していそうですし、医師も少し参加しているということで、興味を持ちました。20代30代の世代の皆さんが、介護に対してどんな思いを持っているのか、交流を持ちたいと思って、思い切って参加してみました。最初は、良い情報が得られればいいなという軽い気持ちでした。
ピアサポートのような雰囲気
私は、もともと交流下手なところもあり、ちょっと距離を置いて眺めていました。でも、SPACEで流れてくる情報は、一次情報(直接本人から発信したもの)が多くて、介護職の皆さんの生の声をたくさん知ることができました。コミュニティマネージャーのまさまささん、運営メンバーの方もイベントがあると直接メッセージをくださったりしていましたが、なんとなく自分からの発信は伸ばし伸ばしとなっていました。それでもちょっとずつ「いいね!」スタンプを押したり、交流に前向きになっていきました。
こじまのおとぎ話に出演
参加してから、地域包括支援センターで社会福祉士として働かれているこじまさんが、メンバーと「徹子の部屋」風の対談をされていて、興味をもって見させてもらっていました。そんな時こじまさんから、コミュニティの中で対談しませんか?というオファーをいただきました。少人数で私の考えている認知症の人とのかかわりなどについてお話ししていくうちに、SPACEの一員になれたような気がしています。
「排せつ」の自由研究に参加
その後、「自由研究」という取り組みへのお誘いがありました。
これは、自分でテーマを設定することもできますし、誰かが立てたテーマに参加することもできる、まさに自由な研究です。このコミュニティに参加している人は、それぞれ地域もバラバラですので、直接お会いすることは困難な場合も多いですが、オンライン上でも直接お話しできる良い機会かもしれないと思い、参加したいと思いました。
2023年8月の自由研究ではメンバーのさおりんがテーマに選んだ「排せつ」に参加させていただきました。なぜ「排せつ」をテーマに選んだかというと、クリニックでのトイレ掃除の体験からでした。トイレをきれいにするのがどれだけ時間がかかるのか、いつまでもきれいにならないトイレを30分以上磨いている中で、毎日ケアに当たっている介護職の皆さんはどのような工夫をしているのだろうかと、思ったからです。また、私の患者さんの相談で認知症以外で最も多い相談が排便(便秘、下痢)であったこともあります。
2週間に一度のミーティングが楽しみ
参加したメンバーは、職種も働いている場所も異なりますが、自由研究の3か月間は、排泄をテーマに様々な体験や話題を共有しました。例えば、おむつの当て方などは、介護職の皆さんにとっては基本的なスキルですが、私にとっては初めて聞くことばかりです。おむつの大きさや当て方が適切に行われないことで漏れてしまうことは、当たり前かもしれませんが、奥深さを感じました。
また、「7つのゼロ」の介護で注目されている駒場苑や、おむつの博物館ともいうべき情報豊富なむつき庵見学の体験談も聞くことができました。さらに駒場苑の職員をzoomに招いての座談会を開催してもらい、現場の声を聴くことができました。毎回2時間近くになることもあるミーティングですが、あっという間に終わるイメージでした。
成果発表!
この自由研究は自分の体験をシェアするだけでなく、その体験をまとめて発表する場があります。この発表に至る場は、それぞれの体験がひとつにまとまる楽しさを味わわせてくれました。内容については、こちらをどうぞ。
「排泄」チームに参加していた私も記事を書かせていただきました。
テーマリーダーさおりんの記事はこちらです。
SPACEに参加するようになって
自由研究が終わった後も、自由研究の仲間とのつながりは、維持されていますし、他のプロジェクトにもちょっとずつ顔を出すようにしています。家でも職場でもない、第3の場所としての心地よさを感じながら、介護に興味のある人同士で、話し合える場はとても貴重だと思います。これからも参加させていただければと思っています。
小生は、認知症に関する書籍を執筆しています。10月に発売された新刊の「図解でわかる認知症と制度・サービス」では、わかりにくい認知症の症状、診断、治療だけでなく、認知症の人や家族が楽になる制度やサービスについてもコンパクトにまとめてあります。新聞が読める方には読んでいただけるぐらい平易な文章で書かれています。よろしければ参考になさってください。
オンラインコミュニティ「SPACE」について
「SPACE」は、“介護”に関心を持った仲間が集うオンラインコミュニティです。組織や地域を越え、前を向く活力が得られる仲間とのつながりや、 自分の視点をアップデートできる新たな情報や学びの機会を通じて、 一人ひとりの一歩を応援できるコミュニティを目指しています。入会できるタイミングは、毎月1日と15日の2回です。詳しくは以下をご覧ください。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?