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犯人を昔からの変人扱いしておけば安心ですよね。同級生だとかいう皆さん。



いつもこういうことがあったときに、犯人の方の昔からの奇人奇行エピソードが続々と出てくるんですよ。

あれものすごく不快なんですよね。

あれって一線を越えるのは自分とは違う特別な異常者だって思いたいからそれを補強してくれる根拠が欲しいんですよ。 

起きてしまった結果に対して理由や原因が不明なままだと人は不安ですからね。 
普通の人が、普通の隣人が、普通の自分が、普通の自分の家族が、普通でいるかぎりあんな事をするわけが無い、と信じたい。 

だから犯罪者は生まれつき特殊な家庭環境だったり幼少期から普通じゃない行動をする異常者で、普通の自分達とは違う生き物であってくれないと困るんです。 

だってそういうことにしておかないと、自分のテリトリー内がオセロの石が翻るように突然犯罪予備軍だらけだって気づいちゃうじゃないですか。

そんな状況理解は出来ても耐えられないですよ。

群れからは普通ではない異物を排除したいけど、その根拠がないと自分も含めて異物だらけになってしまって、群れを維持できなくなるんです。
不安に駆られるとコミュニティの最小単位である家族の秩序すら維持できなくなる。

それに、普通の人ですら容易に犯罪者になるのなら、普通の息子や普通の親に刺されるかもしれない可能性も排除できないでしょ。 

群れを構築してそこに所属することだけが生きがいの人たちにとっては群れの秩序が消滅するのは恐怖ですよね。 

何があってもあなたの味方だ、なんて言葉としては美しいけど何の根拠も裏打ちもないですからね。 


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その恐怖から逃れる為に犯罪者は昔から犯罪傾向にある人物だったという証拠がいるんです。

自分達とはまったく違う生き物だったという証拠。だからとことんオーバーに味付けして話されるわけです。人々の不安を解消するために。 

アニメオタクだった。 
昔から孤立していた。 
不幸な家庭環境だった。 
子供の頃から変な奴だった。 
いつかやるとおもっていた。
などなど。 

徹底的に普通な人間なんてこの世に存在しませんから、きっとあなたや私が何か犯罪を犯したとしたら、友人知人を名乗る連中が過去のどんな些細なことでも 有る事無い事好きなように色つけて話すでしょう。 

それが事実かどうかの証明も出来ないですし、反論も出来ません。 

こうして、犯罪を犯すに値する異常者の一丁上がりです。 当然です。 

本当に異常者かどうかよりも、人々の不安を取り除くのが目的なのですから。その程度のものなんですよ。

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アスリートや実業家が子供の頃から神童だったみたいなエピソードも同じ意識ですよね。

自分達がいま活躍していない理由は、昔から活躍していたり恵まれた環境にいたわけじゃないからという言い訳。 
逃げ道がないと人は安心できないんです。 

子供の頃から特別な才能があって、親がそこに投資をしてくれて、そこに努力と挫折と復活があって輝かしい現在に至る。 とかいうストーリィが無いと人は納得しないんです。 

自分とは違う、特別な成長のしかたがあったと民衆に思わせないとダメなんです。 

そうじゃないと努力も成功もしなかった普通の人達は現在の自分がみじめで耐えられないでしょう。 

子供にそうしてあげられなかった自分も。 

そうならないのが”普通”なんだって納得させないと後悔と罪悪感に苛まれてしまう。
せいぜい、選手生命なんて30代までだよとかお勉強は苦手でしょとか悪態をついて頑張ってマウント取るくらいでしか自尊心が保てないでしょう。 

28歳で脱サラして金メダルだとか、普通に働きながら子供二人育てつつ世界選手権で優勝とかそういうのはいらないんです。 やめてください。

努力していない人たちがみじめになるだけですよ。
特別性の高いエピソードがあれば人々は安心しますから、案外そういうジェラシーから選手達を守るためにわざと創られているのかも知れないとすら思うときがありますね。 
いいことも悪いことも、自分と違うだけで全て狂人扱いするのはそういうことです。 

自分達は特別ではない、という状態に身を置いていると安心するんですよ。 そこにいるほうが楽ですから。 

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それとは別に思うのが、今回、夫婦どっちも同級生とやらの昔話が典型的いじめ加害者側話法なんですよね。 

いじられキャラだったとか、変わり者だったとか、会話が苦手で浮いてましたとか、クラスになじめてなかったとか。 

いやいやなんか他人事みたいに言ってますけど性格歪ませた原因の一端はあなた達にもあるんじゃないです? 

犯罪者を擁護する気はないけど、彼らが犯罪者になる前に受けたかもしれない悪意の匂いがするんですよね。 
まあ、その罪は誰にも罰せられることはないでしょう。
これからも、これまでも。

きっと同じようなことは起こり続けるんだろうなと思いました。 


おしまい。 

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