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【まんが少年日々記】41話 きんじょのあまくまからうさがりむん【コラム】

らくがんは、お盆に欠かせないお供え物。

沖縄のらくがんは、大和にはありえない品物だ。
極彩色の鯛やカニ、菊や桃を型取り巨大。
仏壇のお供え物の中では、ひときわ光彩を八方へ放っている。
見るもの一同を唖然ぼう然とさせるお盆の名物だった。
それはそれは、沖縄お菓子界の大王の如き趣の逸品だ。

なに「なぜ、そんな巨大で極彩色なんだ」ってか。
ひとえに、先祖崇拝の心意気。
食べ物で辛い思いをした先祖への供養なのよ。

大琉球時代、明や日本、朝鮮半島に東南アジアなどとの貿易や交流で、各地の影響を受領したなごりかもしれないね。
お盆には爆竹を鳴らし、仏壇を農産物や菓子、缶詰など極彩色豊かに飾り、先祖供養の重大さを諭すパワー全開の桃源郷が如き趣向も然り。

なに「現代の様変わりをどう思っているんだろうね」ってか。
薩摩世にアメリカ世や大和世。
と、民俗風習がその都度もたらす生活感に閉口しただろうね。

大和の観光客や外国人観光客は、当時の送り盆早朝の光景を見たら度肝を抜かれたことでしょう。
仏壇のお供え物が、ご先祖様の冥土へのお持ち帰りのお土産品として、果物類、菓子、飲み物まるごとを小山の如く各家々の門前の道に並べ置かれていた。 
まさに、グリム童話の森に建つのおかしの家のごとき、夢のような光景だった。
この過剰な量は、束縛の無い先祖崇拝の感情具現化大爆発と言って過言ではない。
皆の衆、一族の気持ちをご覧ください状態だった。
仏壇の無い、次男三男の子どもたちは、送り盆早朝は早起きして、この祖先崇拝ここに極まれりの、その天晴れな光景に、立ち眩みを覚えながら、賑やかに奇声をあげながら袋へ食べ物や飲み物を入れて歩いたものだ。
あはははは、大げさじゃないぞー。

しかし、現在は過剰な供え物を並べ置くは御法度なのか。
保健所が、衛生面を考慮した通達をしたのか。
過剰が猥雑に見えるのか。
そんなご先祖様崇拝のあっぱれな光景は皆無。

あ〜年々歳々、歳事や行事が小さく形骸化していく。
「ラクはガンだ」と、先祖の声が聞こえそうだ。

おあとがよろしいようで。




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次の更新は 42話の標準語版 です。

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