しげまつ かほこ

✒︎ちいさなものがたり(絵のない絵本)を書いています。 よかったら読んでいってください。…

しげまつ かほこ

✒︎ちいさなものがたり(絵のない絵本)を書いています。 よかったら読んでいってください。 作家デビューを目指して修行中(教室に滞在中) 小説、マンガ、映画、ドラマ、アニメな👀 恋愛もの、旅もの、アクション、コメディ、ファンタジー👀 スピリチュアルだいすき♡(タロット使い🧙)

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  • 小さなものがたり(ゆっくり読んでも5~10分で読めます)

    出版を目指しています。ちょっと不思議なことが起きるお話です。

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お風呂屋さん「ぶくぶく」

「ぶくぶく」は町一番のお風呂屋さんで、中でも泡風呂は毎日大賑わいだ。 午後4時を回る頃、今日もお客さんがお気に入りのお風呂セットを手にやってくる。小さい子はお母さんと一緒に、少し大きい子たちは友達同士で。そう、子どもたちがとっても多い。 お母さん達はいつも不思議。なぜなら子ども達に、「今日のお風呂はお風呂屋さんで」というと、決まって「ぶくぶくに行く!」という。泡風呂のあるお風呂屋さんは、その街に他にも3件くらいあるし、ぶくぶくの浴槽よりも広いところだってある。けれど、子ど

    • てんしのおつかい

      高い、高い、空の上。そこには、てんしや かみさまたちが住む、てん国がある。てんしは かみさまに言われて、まいにちおしごとを するのだけど、今日はちょっと かわったおしごとを いいつけられた。 「ちきゅうにおりて、今はやっているものを もってかえってきておくれ」 てんしは、すぐにちきゅうに向かって とんで行った。 ふわりふわり 風にのって、青くてきれいな ちきゅうにおりて行った。 すとん。 てんしが さいしょに おりたったのは、 大きな大きな町。 しんごうが青になると 

      • みんなのまほうと たのしいお花見

        この世界で まほうをつかえるのは、まほうつかいと言われる せんもんかだけではない。 さまざまな品物をうる お店のおじさんも、 しっぽや角のはえた 生き物たちも、 みんな それぞれ まほうがつかえる。 ここはそんな、 ふしぎなふしぎな まほうの世界。 青空に お日さまがにっこり、よくはれた日のこと。 ある町の大きなこうえんの 大きなさくらの木。うすいぴんくの かわいいハートがたのはなびらが、ぴんとひらいて、とってもきれい。 それを見た わかいまほうつかいが、「みんなを呼んで

        • 白ひげのおじいさんと ながれ星

          空の高い高い、うんと高いところから ふってきたながれ星。 地きゅうに来た ながれ星たちは、ふかい谷のそこに おりたつ。 ほとんどしられていない谷のばしょ。しっているのは、谷のちかくにすむ 白ひげのおじいさんだけ かもしれない。 小さな村の 村はずれにすむ、白ひげのおじいさんは、しゅうにいちど 家からほどちかい 谷のそこで ひとつ星をひろう。それをもって 村へ行き、パンやチーズ、それにお肉なんかと こうかんしてもらうのだ。星ひとつで 1しゅうかんぶんか、それいじょう、なんとい

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        お風呂屋さん「ぶくぶく」

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          31本

        記事

          みずうみの上の小さな王国

          ぐい、すー、ぐい、すー。 宝石を ちりばめたような きれいなみずうみの上、ボートにのって、 ぐいとこいで、すーとすすむ。 このみずうみの上には、小さな王国がある。 世界一 小さく、世界一 かわいく、世界一 へいわな王国である。 そこにくらしているのは、しんちょう130㎝よりも小さな人たちだけ。それより大きな人は 王国に入ることすら できないのだ。 そして、この王国には、人をきずつけるようなものが ひとつもない。 そしてぜったいに まもらなければいけない ルールが5つ。

          みずうみの上の小さな王国

          にんきものの ひっそりさん

          空が高く、おひさまがキラキラと かがやいている。 きょうは とってもいい天気。 そんな日は、町もいっそう にぎやかだ。  あっちでは魚屋さん、こっちでは八百屋さん、スーパーもコンビニも、たくさんの人が あつまってくる。 がっこうに行く子どもたちも、ようちえんに行く ちいさな子どもたちも、お家やきんじょであそぶ もっとちいさな子どもたちも、みんなげんきいっぱいだ。みんな そとであそんで きゃーきゃーとたのしそう。 しかし、そんな はれた日でも、げんきじゃない人がいる。この町に

          にんきものの ひっそりさん

          きらきらじいさんと まほうのつえ

          ある町の、すみっこに まほうつかいの おじいさんが すんでいる。 ちいさな まっ白い家だ。 その町の人たちは みんな、このおじいさんを知っていて、「きらきらじいさん」と呼んでいる。 きらきらじいさんは 今日も まほうのけんきゅうで おおいそがしだ。まっ白い 家の中で、なべを ぐつぐつさせていたかと 思うと、 こんどは まくらのような 大きく ぶあつい本を ひらいて うんうん うなっている。 お昼ごはんを食べて、 歯みがきをすませた きらきらじいさん、 こんどは まほうのつ

          きらきらじいさんと まほうのつえ

          そらのおまつり

          ゆらゆらとゆれるブランコ。 「あうあうあうあうあうあうああああ」とたのしげに はしれるようになったよろこびかみしめる 小さな男の子。 少しとおくから聞こえてくるたいこの音。 男の子は、「そらにだれかが おえかきしてるよ」とすぐ後ろを歩くおかあさんに言う。 「ほんとだ。ねえ、あれは何のおえかきかな?」とおかあさん。 「えっとねえ。三角のわっかにね、とらさんととりさんとうさぎさんが あつまってるの」 「みんなで 何してるのかしら?」 うーん、と首をかしげる男の子、ぐんと上を

          夏休みに起きたこと

          夏の太陽が輝く午後、ぼくは学校に向かっていた。 友達と図書館で宿題をする約束をしていたからだ。宿題ってなんであるんだろう? 楽しい夏休みに水を差すようなものだと思う。誰が考えたんだろうか。 普段、自転車では登校できないけれど、今は夏休み。すいすいとペダルをこいで、赤信号で止まった時、この、中学1年生のぼくの夏休み最大の出来事が始まった瞬間だった。 ブレーキをかけ止まったとき、柔らかそうなつばの広い帽子をかぶった女の人が前に立っていた。長く、日に透けるような灰色の髪がきらき

          夏休みに起きたこと

          バターとバターナイフはすてきなもの

          おおきくて、しかくくて、かたくてきいろ。 ブロックのようなのに、とろりととける。 バターはとってもおいしい。パンにぬってもいいし、フライパンにひとかけ、たまごややさいをいためてもおいしい。パンケーキにのせてもおいしい。 バターをつかうときにひつようなもの、バターナイフ。 バターナイフは、ぬるためのもの。 やわらかくなったバターならきれるけれど、やさいやおにくなんかはきれないし、フォークのようにさすこともできない。2ほんもっていても、おはしのようにはさむこともできない。

          バターとバターナイフはすてきなもの

          わたしとテディくん

          テディくんは、わたしが いまより もっともっと、 ちいさかったときに おじいちゃんが くれた。 ひこうきにのって、 とっても とおいところから やってきた。 「テディベアと いうんだ」って、 おじいちゃんが おしえてくれた。 だから、 なまえは 「テディくん」。 テディくんは わたしの 1ばんの おともだち。 にんげんの 1ばんの おともだちは きんじょの かなちゃん。 ぬいぐるみの 1ばんが テディくん。 テディくんと わたしは いつもいっしょ。  まいにち いっしょに

          わたしとテディくん

          あめのひ

          せんたくものを ほしたのに、 あめが ふってきてしまった。 いまは つゆ、 たくさん あめが ふるきせつだ。 ぽつぽつ ぽちゃん。 ざーざー  せんたくものを しまいにいくと、 べらんだのかべに かたつむりが つるりつるりとはっていた。 しっとりとしたかぜ、 あめのおと、 あつくもさむくもない。 まどがらすを すーっと あまつぶがすべりおり、 まっすぐのせんを かく。 ちょっと さんぽにいこうかな? ながぐつに おきにいりの あかいかさ、 ぼうしもかぶって じゅん

          はらぺこ少年とちっちゃいこうもり

          へとへとに つかれて、もういっぽも あるけない。 ひとやすみ しよう。 せなかから リュックを おろして、 がさごそと あさる。 「たしか、 まだクッキーが3まい のこっていたはず なんだけど…」 しかし、 どんなに すみずみまで てを うごかしても、 クッキーの はいったふくろに たどりつかない。 「あれー---? どこだろう? あ!」 おどろいたことに、 リュックのなかで クッキーを さがしていたはずのてに あたったのは、 ちいさな ちいさな こうもりだった。くちのまわり

          はらぺこ少年とちっちゃいこうもり

          木星のジュピ

          月がでない夜。 新月っていうんだとこの間、父さんに教わったっけ。 真っ暗なのに、真っ暗だから、小さくてちらちらと光る星々がにぎやかな空。 宇宙は空気がないんだ。星は苦しくならないんだろうか? 星から星まで、とんでもなく遠いんだって。 …さみしくならないかな? そんなことが頭に浮かぶのは、今夜は父さんも母さんも出かけていて、 帰りが遅くなるからだ。 つまり、ぼくは今、この家の中で一人で留守番。一人きりなんだ。 さっきまでテレビを見ていたけれど、ひとりで見るテレビは家族で見

          「会いたい」の魔法

          たくさんの出会い、会いたい気持ちが、あちらにもこちらにも。 ほら、あそこの角の郵便局の前の女の子。ポニーテールに赤いリボンを結んだ子。あの子はお友達との待ち合わせ。 「お待たせ!」と走り寄る、青いワンピースのすそをゆらして、元気いっぱい走り寄る女の子。笑顔で「おはよう!」と返す、赤いリボンの子。2人は仲良く並んで、緑いっぱいの公園へと歩いていく。毎日会っているのに、2人は会うたびに、お別れする度に、「今日が一番楽しかったね」っていうんだ。 今度は、あっち。カフェでひとり

          「会いたい」の魔法

          きらきらの朝

          雨つづきのあとの、晴れの朝。 すべてがきらきらとかがやいてみえる。 透きとおった青空がきらきら。 ゆったりと流れる川の水がきらきら。 朝を告げる鳥たちの声がきらきら。 足元の草花、葉や花につくしずくがきらきら。 ひと呼吸、ひと呼吸、吸い込む空気さえきらきらとしている。 自転車に乗って、すいすいと進んでいくと、太陽がこっちだよーと呼んでいるかのように、正面から私の顔を照らしてとっても眩しい。何も見えないくらい、世界が真っ白になるくらいに。 ほら、また、真っ白になった。そう思