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みずうみの上の小さな王国

ぐい、すー、ぐい、すー。
宝石を ちりばめたような きれいなみずうみの上、ボートにのって、
ぐいとこいで、すーとすすむ。

このみずうみの上には、小さな王国がある。
世界一 小さく、世界一 かわいく、世界一 へいわな王国である。

そこにくらしているのは、しんちょう130㎝よりも小さな人たちだけ。それより大きな人は 王国に入ることすら できないのだ。

そして、この王国には、人をきずつけるようなものが ひとつもない。
そしてぜったいに まもらなければいけない ルールが5つ。

1.たのしくあそぶこと
2.すてきなものをみつけたら、みんなにおしえてあげること
3.なにかしている人と あそびたいときは、あそぶ日をきめて、
  そのときまでは おたのしみにすること
4.けんかしそうになったら、目をつむって10かぞえてみること
5.すきなことを すきなときにすること

これが 王国で大切にまもられている ルール。
王国にいる間は かならずまもらないと いけないんだ。

さあ、 もうじき みなとにつく。 わすれものがないように、 にもつをまとめて にゅうこくのじゅんびをしよう。

ぐい、すー、ぐい、すー。はい、とうちゃーく。
みんな、あしもとにきをつけて、ボートをおりる。
白いはしらの前で まずしんちょうを はかってもらって。

「やあ、せんちょうさん。きょうは何人だい?」と、しんちょうをはかるかかりの小人がいう。
せんちょうは、「しんちょうかかりさん、おはようございます!きょうは7人です」とこたえて、みんなに、「よし、みんな!いちれつに ならんで!」といった。
しんちょうかかりは、つぎつぎと じょうきゃくたちの しんちょうをはかっていって、「110㎝、105㎝、120㎝……129㎝!おお、きみ、あと1センチだ!あと何回これるかな?さいごの日まで いっぱい たのしんでいっておくれ」という。

みんな130㎝より小さかったみたいだ。
それでは、ここからは じゆうじかん!思うぞんぶん、たのしんでおいで!

みなとのちかくの こうえんで、あそんでいる子たち。あれあれ?しんちょうが ほかの子たちより 少し大きく見える。
せんちょうも、前にきになったとき、しんちょうかかりの小人さんに わけをきいてみたことがある。なんでも、小人さんがいうには、
「さいきん、人間とけっこんする 小人も多い。だから、人間と小人の 子どもたちは、 小人と小人の子どもたちより、せがたかいんだ。そろそろ130㎝のルールも、見直さなきゃならないね」といっていたそうだ。

今、この王国しゅうへんにすむ人たちのあいだでは、何㎝の人まで、王国に入れるようになるか、というわだいで たいへんな おおさわぎになっている。

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