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空ちゃんとひまわりちゃん

空ちゃんと ひまわりちゃんは、いつもいっしょ。
青空がらの ワンピースを きてるのが、空ちゃん。
ひまわりみたいな きいろのワンピースを きているのが、ひまわりちゃん。

空ちゃんは、こうえんでも いすにすわって本をよんだり、空を見上げたりしている。
ひまわりちゃんは、げんきいっぱい、すなのお山をつくったり、木のぼりしたり、いつもまっ黒、どろだらけ。

今日も 空ちゃんは、ぼんやり 空を 見上げている。そのそばで、ひまわりちゃんは、アリのぎょうれつが すにもどっていくのを ねっしんに ながめている。

空ちゃんが、「空はどうして青いんだろう?」とぼんやりしていると、ひまわりちゃんが「きゃー」と さけび声をあげた。びっくりした空ちゃんが、ひまわりちゃんを見ると、すぐちかくにいたはずの ひまわりちゃんが いなくなっている。

空ちゃんは 木の上や、すべり台の下を見たけれど、ひまわりちゃんは見つからない。すにかえっていくアリたちに、「ねえねえ、ひまわりちゃんしらない?」と、空ちゃんが聞くと アリたちは ぞろぞろとうごき、すあなに向かって、やじるしのマークのかたちに ならんで見せた。
空ちゃんは、まさかと思いながら、すのなかをのぞくと、アリみたいに小っちゃくなった ひまわりちゃんが見えた。

「え!ひまわりちゃんが、アリになっちゃった!」と、びっくりしてしりもちをつく 空ちゃん。それに 気がついた ひまわりちゃんは えっちらおっちら、 どうにか すあなをのぼって でてくると、 いつものように、きいろのワンピースは まっ黒け。

アリのようなちっちゃい ひまわりちゃんが、まっ黒になったワンピースを きているから ほんとの アリみたいに見える。

空ちゃんが、「ひまわりちゃん、どうしてアリみたいに小っちゃくなっちゃったの?」と聞くと、ひまわりちゃんは おなかに大きく息をすいこんで、さけぶように はなすのだけど、それでも かのなくような、ちーっちゃな声だった。空ちゃんは ひまわりちゃんを そっとつまみ上げて 手のひらにのせて、耳のよこにもっていく。

「アリをながめてたら、体が小っちゃくなっちゃった!」と、さけぶひまわりちゃん。すると、女王アリがぱたぱたと とんできて 「たすけてやってもいいぞ」と言う。空ちゃん、「アリがしゃべった……」とまたしりもちをついて、うっかりひまわりちゃんを にぎりつぶしそうになる。手のひらの上の ひまわりちゃんは、 ひや汗で びっしょりになっている。 
「ひとつ、じょうけんがある」と言う、女王アリに うなずき、 空ちゃんは ひまわりちゃんを こうえんにのこして、かけ足でおうちにかえっていった。

しばらくすると、かけ足でもどってくる 空ちゃんは、 手のひらに 四角い まっ白な さとうを ひとつ もってきた。
空ちゃんが女王アリに さとうをわたすと、女王アリは ひまわりちゃんにちかづき、ひまわりちゃんの ちっちゃな手を かちっとかんだ。
「いったーーーーー!!」とさけぶ ひまわりちゃん。
その声は どんどん大きくなっていく。声といっしょに、ひまわりちゃんの 体も大きくなっていく。
あっという間に もとの大きさにもどった ひまわりちゃん。空ちゃんは また びっくりして しりもちをついた。
「ひまわりちゃんが もとにもどった!」と空ちゃん。
ひまわりちゃん、空ちゃんの前に しゃがみこみ、「びっくりしたねー!」とわらい、女王アリに「ありがとう!」とお礼を言うと、女王アリはぴゅーんと すあなに かえっていった。

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