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戸塚駅のゾンビ

多分三年くらい前のことかな、当時付き合っていた人と、ゾンビ映画を見た。わたしはとにかくゾンビが苦手。怖いし怖いし怖い。
夢に出てきたらたまったもんじゃない。
でも当時付き合いたての彼はそれを見たいというからわたしも隣でチラチラ見た。

ゾンビ映画ってすごいんですね、
本物のゾンビなんて見たこともないはずなのに、ゾンビだっ!てわかる。笑
ゾンビたちが一斉にこっちに来るシーンとかはもう、忘れられないよね。今でも時々思い出す。

学生時代は平日もお休みだったので、平日によく海の方に遊びの行った。会社員の方々が上り電車に駆け込む中、下り電車に乗って鎌倉の方に向かった。朝は激混みの戸塚駅、どんな人がいるのかなんて普段は見ないし、いかに素早く、人に酔わずに海までたどり着けるかしか考えていない。

隣にいた当時の彼がポツンと
「ゾンビだね」
というので、普段は見ない人を見てみた。
「うわぁ、ゾンビだね。」

上り電車に向かう人たちはゾンビ映画で見た人たちにとても似ていた。表情1つ変えずに、すごく顔色も悪くて服も喜んでいない、そんな人たちが一斉にこちらに向かってきたときはゾンビ映画に迷い込んだかのような気持ちになった。

海に行って一呼吸つく。
ゾンビにはなりたくないと思った。

それから3年後
わたしは上りの満員電車の中でぎゅうぎゅうに詰め込まれた。意識を遠くに飛ばして気を紛らわすから、まさに表情はなくて。低血圧がひどい朝で顔色も最悪。ようやく仕事場に着いて鏡を見たときの気持ち。

「うわぁ、今日のわたし、ゾンビだ。」

かなしい。

満員電車は仕方ないけどせめて、体調と血色は良くいたい、お洋服が喜ぶような生活をしたい。何より、鏡に映る自分をゾンビにさせてしまいたくない。

はぁ。低血圧問題は今後も続きそうだけれども少しでも早く社会人として活き活きと生きるコツを掴みたい。

目指すのは、ゾンビのふりをする人間。

ゾンビにエネルギーを狙われることがないでしょ、ゾンビのふりをしていたら。
ゾンビのふりをしていたら多分、ゾンビに紛れる日々でも違和感や怒りに出会わなくなると思う。

だからわたしはゾンビのふりをして通勤する。
ゾンビになってたまるか。

時々は海に行こう。

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