エッセイ(2020/12/28)
年越しを意識し始める十二月末。PM.9:00。雑踏に紛れて帰路を辿る。東西にのびる大通りに沿って街灯がどこまでも続く景色はどこか幻想的だ。黒い外套を翻しサラリーマンらしき男性がパタパタと走り抜け通行人を追い越していく。その先には彼の帰りを待つ暖かい家庭と美味しい夕食があるのだろうか。ほろ酔いで千鳥足の男女二人組は楽しそうに世間話をしている。街灯の暖色の光が家へ急ぐ人々の生活を照らし見守っている。道行く人と街灯のおかげか、一人夜道を歩いている事実を忘れ穏やかな気分に浸っていた。