人間に自我があること

様々な作品を喩えに使って、壮大な物事を徒然に思考散歩する日記。
今日の議題は、人間には何故自我があるのだろう?現人類はどこに行くのだろう?です。

先に結論を書くと「人類は個人に自我が無い方が優れた種族になりそうだし、ネットに踊らされ享楽に耽る人類に未来はない」です。

※『天地創造デザイン部』『serial experiments lain』『新世界より』の内容と、ちょっとだけエヴァや火の鳥


はじめに

きっかけはTLで見かけたとあるツイートだった。その呟きは素敵な暗喩を使っていた美しい文章なのだが、要略するとこうだ。

「インフルエンサーが開く個人的な人生相談を毎夜数万人が聞いている様を見ると、人間にとって自我とは厄介な存在では…と考えてしまう。」

(私の日記に引用するのもおこがましいので要旨だけ書きます。)

私はこの呟きを見かけて少なからず心が楽になった。ここ数日酷い希死念慮と鬱に襲われ、自我を放棄したくなっていたので。私は一体何のために生きるのだろう?何故無為に生きているだけなのだろう?と。

確かに、現代社会ではインフルエンサー+彼等の元に集うその他の人間達の構図は頻繁に見かけられる。
(これに関しては過去のnoteに少しだけ書いた内容になります。→
私を含め、その他の人間に自我があるのかと言うと正直怪しい…。Twitterのトレンドに踊らされ、赤の他人と話題のトレンドについて話し、共感する呟きにイイねをし…インターネットの大いなる意思に従って無為に生きているだけなのでは?
ならば、インフルエンサーだけが自我を持ち、その他の人間に自我が無くても社会は成り立つのでは?…正直なところ、成立するんだろうな。嗚呼悲しき哉。


ハダカデバネズミ

唐突に何故ハダカデバネズミの話を出すのかというと、彼等は最も理想的な全体社会を構築していると言われているからだ。

ハダカデバネズミは特別な個体…女王を中心に彼女の指示のもと、他の個体は自我らしき自我を持たない。窒息しても布団係になるし全体のため天敵に食われる餌にもなる。

詳しくは、TVアニメ『天地創造デザイン部』の最新話(10話)が丁度ハダカデバネズミ回なのでそちらをご覧ください。

全体の幸福のため身を捧げる種族達!女王一人が子孫を残す!他はただ働くのみ!女王は定期的に優秀な者に入れ替わる形式!癌にもならない不老の生き物!ずっと働ける!おまけに自我が少ないから不自由の苦しみもない!

正直、自我がある私からすれば「こんなのディストピア社会やんけ!」と断固拒否したい。自我を奪われるなんて死んでも勘弁…。
だが自我が薄ければ、少し前の私みたいに「なぜ生きるのか〜」等悩まずに済むし、社会の役に立っているので存在意義の無さに苦しまない訳だ。
現人類がハダカデバネズミになれば確かに幸せかもしれない。
(自我を持つ存在から自我を奪うなど到底許せないと感じてしまうので、もしもの話。)



以下、貴志祐介・作『新世界より』のネタバレ含む話。



現人類がハダカデバネズミになったら〜という物語が存在する。それがTVアニメ『新世界より』だ。原作は貴志祐介。

ファンタジー風の村を舞台に青春群像劇が繰り広げられる『新世界より』
表向きは明るい雰囲気の本作、実は私達ただの人間からすればこの作品世界はポストアポカリプス物に当たる。

物語の終盤で明かされる真実。
超能力を使える新人類が世界各地で発生し、その利権を巡って旧人類は醜い争いを繰り広げた。その有様を憂慮した新人類は超能力を使い、旧人類の記憶を奪いハダカデバネズミに変化させた。
つまり普通の人間の姿をした主人公達=新人類、主人公達の社会を壊そうとする敵の ダカデバネズミ達=旧人類=私達人類。

個人的にかなり苦手な世界観の本作。
ただ、新人類が営む村社会はとても穏やかで平和に過ぎていき、その穏やかな生活が前半に描かれる。ハダカデバネズミになった旧人類は、新人類に歯向かうまではとても従順にハダカデバネズミ自身の社会を構築している。
なので「ハダカデバネズミの方が現人類より優秀」は真理といえば真理になる。…悲しき哉。



人間は地球人類の神経細胞

最初に述べたように、インターネットにより世界全体が繋がり人間一人の自我が薄れているのかもしれない。
インターネットがあれば強いカリスマ性や意志を持つ誰か、例えばインフルエンサーに接続できる。彼等に自分の意志を委託できる。
インフルエンサーを中心に集い彼等に影響される人々。この人々に自我は存在するのか?

TVアニメ『serial experiments lain』で興味深い話が出てきた。

「人間一人が脳神経一つの役割を果たし、あたかもこの地球に張り巡らされたネットワーク全体で一つの脳を構成している様だ。」
「ならばその一つの脳も、地球人類という意思を持っているのではないか」

…『エヴァンゲリオン』の人類補完計画みたいだな、と思われたら正しくその通り。そういう話です。
だが『エヴァ』みたくややこしい手順を取って人類の意志を一つに集約しなくとも、既に現実世界でインターネットにより人類の意志は統一されているという見解だ。私を含め、Twitterのトレンドに踊らされる人々の現状を見るにあながち間違っていない気がしてくる。

ちなみに『lain』の類似作品として上げるならば『攻殻機動隊』。人間の魂が何処に存在するのかを問うテーマは共通しているが、『lain』は『エヴァ』の人類補完計画のような趣きがあるためかなり雰囲気は違う。比較は先人達がしているだろうから置いといて。


人類に自我があることは不幸なのか?

閑話休題。では自我を持った人類は不幸な生物だろうか?

自我が無ければ欲も無い。人間が持つ「もっと幸せに暮らしたい」欲が文明を前進させて来た歴史を考えれば。…ちょっと発展しすぎた気はあるけど。
でも、たとえどんな欲望でも鴻上会長なら素晴らしい!と賞賛してくれるでしょう。

(※鴻上会長・・・『仮面ライダーオーズ』に登場する、欲望全肯定おじさん。いつも何かの誕生を祝っている。「人類を進化させて来たのは欲望」だと考え、欲望の怪人グリードの封印を解いた諸悪の根源でもある。)

人類の欲望は現在も果てしなく大きく、ただ個人の欲望が薄まっていく現代社会。
「自我が無い方が幸せなのではないか」と言われる哀しさを思えば、私達その他大勢の人間ももっと欲深く生きた方が良いのかもしれないね。
鴻上会長を心に宿して。

そもそも生物が一個体ずつ個性を持ち、時折突然変異が生まれるのは絶滅しないため、生命の祝福なので。(詳しくは先述の『天地創造デザイン部』最新話10話で!)
…自我が無ければ幸せだったとは思わないね。思いたくもない。



では自我が薄れていく現代人は何をしているのか?

たまたま今読んでいる民俗学入門編の本にこういう文章があった。

「休日とは現在のように娯楽に費やす時間ではなく、本来豊作を神仏に祈るための時間であった。」

…そこはかとなく作者の毒が乗っている気はするが、おおむね事実だろう。

現代の私達は娯楽に、エンターテイメントにエネルギーを費やす過ぎではないか?娯楽に耽った未来はどうなるのだろう?


かの有名な『火の鳥』では未来編で人類が滅びる。その原因はAIに意思決定を全て任せ人類は回顧と享楽に耽ったからだ。

今の世の中「辛いことがあればそれを吹き飛ばす娯楽で忘れよう!」とする風潮がある。確かに私もそうしている。
だがこの風潮は大変危険なものでは?持続的な快楽に人間は身を委ねやすい。そしてその泥濘から逃れ難い。
(これは鬱で無気力な時活発に動くため調べた内容で、横になった体勢やスマホを眺め続けるのは持続的な快楽をもたらすらしいです。)

享楽に殆どのエネルギーを費やすこの人間社会どうなってんだ!?進化はどこに行った!?

享楽にエネルギーを費やす現代社会はそのうち滅亡が訪れそうだ。エンタメにお金とエネルギーを費やす人間達と彼等に支えられるエンタメ市場。

勿論社会に欠かせぬインフラ産業も確かにあるのだが、現代人がインフラ以外でお金を費やす割合が高いのはエンタメだろう。
そのエンタメは人類に未来をもたらすのだろうか?…答えは否だ。地球を再生させるエネルギーにならない。このまま地球資源を食い潰して滅びる時を待つばかり。


まとめ

なんだか暗い結論になってしまった…。

インターネットにより人と人との距離が近くなり、カリスマ性ある一部の人間に集い代わりに自我が薄くなる大勢の人間達。
自我が薄い人間達は持続的な快楽に逃げる。それは現代社会の滅亡の遠因となる。

もしも人類がハダカデバネズミのような社会な全体主義社会であれば。又はこの社会が発展し過ぎて人類が享楽ばかり求めなければ。
人類は停滞せずに高次元へ至っていたのかもしれないな…もしくは宇宙開発に乗り出していたのかも…(そういえばこの十年で宇宙旅行とか言われなくなったね。)

でも全体主義社会は嫌いなので!マイノリティーがマジョリティーに迫害され声を抑えなければならない現代社会なんてクソ食らえなので!
今の人間には個人の自由も思想もあるんだから、各人が未来を考えなければならないね…。



追記

私は本文に書いたようなご立派な発言をできるような身分じゃない。
普通に会社で働き、疲れればエンタメを摂取し、未来なんて考えたくもないと耳を塞ぎ、存在意義を見失ってしょうもない日々を放浪するだけの身。

だからこそ、ちっぽけな自分とは桁違いのスケール大きい事を考えるのが好きなだけで。
ただ、このままじゃ自分も人類もダメになるだろうと何となく危機感を持っているだけで。
そういう危機感と、最近の希死念慮で曖昧になった自我を確かめるためにこのnoteを書いた。

苦しい今だけでなく、未来も見据えた行動ができますように。


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