最近、「第5次中東戦争が始まるぞ!」「第三次世界大戦が始まるぞ!」という言論が流行していることについて

ハマスというイスラム教過激派テロ集団がイスラエルで大規模なテロ行為を行った2023年10月7日から急速に中東の緊張が高まった。 
ハマスのトップが全世界に向けて、「2023年10月13日の金曜日にイスラム教徒はジハードを起こせ!奮起せよ!」との恐ろしい声明を出し、それを受けて世界中の大都市を中心にイスラム教徒が大規模なデモを起こした。


リスク管理の観点から、物事を悲観的に捉えて最悪のケースも検討して備えておくことは重要だが、何の根拠もなく、「第五次中東戦争が始まるぞー!」と煽っているメディアや言論人の姿が目に付く。
挙句の果てに、「第三次世界大戦だー!」と叫ぶ者さえいる始末だ。


そもそも、戦争とは何かというと、国と国とが外交交渉の延長線として、外交交渉が決裂した結果、武力衝突に発展したものをいう。
しかも、戦争でいう武力衝突とは、国の軍隊と軍隊の武力衝突のことである。
戦争にもルールがあり、たとえ戦争が勃発したとしても、民間人を攻撃したり、民間人を虐殺することは戦争行為ではなく、単なる虐殺行為であり、犯罪行為である。

2023年10月7日にハマスがイスラエル市民を一方的に殺害して拉致したことは単なる犯罪行為であり、テロ行為なのである。

このテロ行為をもって、「だがイスラエルはそもそもパレスチナ人から国土を奪ったのだから、ハマスは悪くない、イスラエルが悪いのである」という者も多いが、この理由を許してしまえば、あらゆる過去の行為に対して強盗や虐殺による報復行動を許してしまうことになり、世界は無法の共産主義体制へと化してしまう事を肝に銘じなければならない。
問題が起きた時に、その報復行為を許してしまえば、世界は混沌と化してしまうのである。

このことから、現在、イスラエルが国家として行なっているのは、戦争ではなく、テロリストによる自国民に対する無差別テロ行為に対して自衛権を行使した防衛行為に過ぎないのである。

一方で、「第五次中東戦争」というものがあるとすれば、中東における複数の国々が外交交渉の末に解決を見いだせず、武力を行使して解決するしかないと認めて行われる、国と国との戦争と言う形の外交交渉の延長線上の行為なのである。
現在、中東諸国で問題がないわけではないが、戦争に発展させなければならないような外交状況ではない。

イスラエルは国防を重視する国で最も戦争をしたくない国の一つだし、イスラム系アラブ諸国もそれは同様だ。
イランに至っても、自国が前面に立ってイスラエルなどと衝突することはしたくないために、ハマスのようなテロリスト集団を利用してイスラム革命を起こそうとしているのである。
つまり、中東は現在、複数の国が戦争をしてまで成し遂げたい外交交渉などないのである。

このような状況で更なる利害関係の国が参戦して世界大戦が起こるような状況では全くない。

つまり、第五次中東戦争だとか、第三次世界大戦だと煽るのであれば、それなりの根拠を示すべきであり、何の根拠もなく、ただいたずらに恐怖をあおるのは単なる扇動者か工作員なのではないだろうかと思うのである。


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