火刑に処されし少女に関する記録
魔女だと讒訴され、少女は火刑に処されることになった。
少女は神に救いを求めたが、救いは来なかった。火がその身に届く前に死に至ったのは幸いだったのか。
少女の亡骸は焼け残った木片とともに穴に埋められた。
少女の亡骸は灰となり土となり、養分となって地を潤した。
皆がその死を忘れた頃、一本の木に慈雨が降り注いだ。すると、硬い樹皮を裂き、種皮を脱ぎ捨て、少女が木から産まれ出た。乾いた地には温かな雨が降り続き、少女の誕生を祝福した。
天の洗礼を受け甦りし少女の話は、奇跡として後世に伝えられたという。
(再掲)
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