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First Love 初恋

Netflixドラマ「First Love 初恋」の配信が11月24日にスタート。

私は制作が決定してから誰よりも配信を待ちわびていたと思っています。

なんせ宇多田ヒカルは私の人生に欠かせない存在だから。

親が特別ファンというわけではありませんが、車の中では宇多田ヒカルの曲がよくかかっていて、他のアーティストよりも記憶に残りやすい音楽がすごく多かったような気がします。

Automatic
First love 
traveling
Beautiful World 
Flavor Of Life
Can You Keep A Secret?
Prisoner Of Love
Goodbye Happiness
HEART STATION

挙げだしたらキリがないですが…。

父が見ていたエヴァンゲリオンに影響を受けて見始めたら主題歌が宇多田ヒカルだったり、小学生の時学校から帰宅して再放送で見ていたドラマの主題歌が宇多田ヒカルだったり、高校生の時付き合っていた人が宇多田ヒカルを好きだったり、人生の節々に宇多田ヒカルの楽曲がありました。

今、30代の方がまさに「宇多田ヒカル世代」と言われていますが、22歳の私も仲間入りさせてほしいくらいです(笑)
私の世代は「宇多田ヒカル聞いたことあるけどあんまり知らない」って人が多いんですよね。こんな天才的なアーティストを知らないなんてもったいない!なんて思ったりしますが、その反面自分だけが知っていたいみたいな気持ちもあります。


なんだか話が脱線してしまいましたが、それくらい宇多田ヒカルと楽曲を愛する私がこのドラマを楽しみにしないわけがないんです。
Netflixは結構莫大なお金がかかるらしいことを聞いていたので、これは本気で作り込んでくるなという期待もありました。

佐藤健さん×満島ひかりさん
という実力派俳優を起用するあたりも期待しかありませんでした。


そして制作が決定した2020年から2年を経て、ようやく配信がスタートしたわけです。


配信がスタートして、2周目を観終えた感想としては

もう本当に本当に素晴らしかったです。この一言に尽きます。


正直、今まで見たラブストーリの中で一番です。
好きなドラマたくさんありますが、人生のトップ3に入るくらい大好きな作品になりました。


どこが素晴らしいのか本気で分析しようと思って2周目はノートとペンを片手に真剣に観てみました。ただのドラマ好きの素人視点で感想を書いていきますので、気になる方や作品を観たという方はぜひ最後まで読んでいただけたらと思います。

何が素晴らしいのか

映像美(撮り方・色彩)

エフェクト?というんでしょうか、映像にかかっているフィルターがドラマの雰囲気とマッチしていてとても美しいです。北海道の美しい景色や自然現象の美しさが損なわれず、どのシーンも魅力的です。(シーンによってフィルターを変えているような気もしますが、気のせいかもしれません)

言葉で説明するのが難しいですが、全体を通して映像から初恋の淡さとか儚さ、時間が経過していくことへの切なさみたいなものが感じ取れるんです。
もちろんフィルターだけの効果ではなく、俳優陣の演技や音楽などという効果もあるのですが、映像のフィルターがさらにその効果を高めている、それぞれの効果を高め合っていると思いました。


もう一つは撮り方(カメラの位置や角度)です。
たとえば、2人のシーンとなれば正面からというより横から、2人の間に入らない形でカメラが回っている。2人の表情を正面からではなく横から映していることが多いように感じました。それが2人の間に生じる空気感を邪魔していなくて、すごく良かったです。2人のリアルな空気感が画面越しに伝わってくるんですよね。


予告編のサムネにもなっているこちらのシーン。(ぜひここで予告編だけでも見てみてください)

このシーンはスローモーション×音楽(しっとりめ)になっていて、これが二人の間に流れる時間の儚さや切なさを強調しているような感じがして、とても良いシーンなんです。大好きなシーンのひとつです。
あえて後ろ姿で撮っているところも良かったです。二人のもどかしい距離感とか、夜の闇とそれを切り裂く煌々とした光とか、物語を見ている人はこのシーンで色んな思いを抱いたのではないでしょうか。私はもうこのシーンが切なくて美しくて苦しくなりました。

表情にフォーカスしているシーンにおいても、ほんの一瞬でも、その人が何を想っているのか、ということがしっかり伝わるように表情が抜かれている。それだけでぐっと伝わるものがあるんです。(これを演じる俳優さんたちも本当にすごいです)


そして、この作品は何と言っても色彩効果です。
「青」がこの作品でキーとなる色ですが、物語の節々に「青」があるわけで、無理やり「青」を基調としているものを入れているわけでもなく自然と溶け込んでいるので、それが作品のイメージとしてもしっかり定着しているんです。

全体を通して色がごちゃごちゃしているシーンがなく、統一感があって、それも新鮮で他のドラマや映画にはない魅力だと思います。

色彩の使い方がものすごくシンプルで巧みだなと思ったシーンが、学生時代の2人が夏空の下、アイスを頬張りながら歩いている場面です。


夏の青空×白い雲=ジーンズ(青)×白Tシャツ

これだけで夏を表現できて、いっきに画面が明るく見える。青と白というシンプルな色使いでここまで映像を綺麗に見せて、「夏×初恋の熱」みたいなものを表現できるんだと思いました。

色彩にすごくこだわりがある監督さんだったみたいなので、そのこだわりがしっかり感じられる映像作品であったと思います。

映像美を感じるシーンがたくさんありすぎて全部紹介していたら大変なので、この辺にしたいと思います。
予告編だけでも見て頂ければ、映像がいかに美しいかということを感じて頂けると思います。


音楽

「First Love」「初恋」という楽曲が物語となっている作品なので、特に「First love」は流れるシーンが多いです。
「初恋」が流れるシーンは1回しかありませんが、その1回がとんでもないくらいの感動を呼ぶんです…観た方はわかると思いますが、私はもう声をあげて泣きました…(笑)

この2つの楽曲が流れるシーンは全て素敵で素晴らしいです。総まとめして一日中観ていたい…。
映像×音楽×役者の演技
というものが合わさって化学反応が起き、とてつもない感動を起こしていると思います。本当に鳥肌モノです。

歌が流れるシーンはその楽曲の解像度をより鮮明に美しく再現したものだったと思います。楽曲への解釈度と独自性があって、大きな感動を呼び起こしていたと思います。

脚本

やっぱり何といっても物語自体が素晴らしすぎました。
二つの楽曲にインスパイアされて制作されたドラマですが、やはり曲に対する解釈度の深さやリスペクトをとても感じられました。

楽曲を超えた素敵な物語が完成されていたと率直に思います。

20年という長い時間を描いているため、時間の交差も多いです。しかし、時間の交差が激しくありながらも、時代の流れに忠実かつ人物像も矛盾なく緻密に描かれていたと感じます。
また、時間の流れの中でその頃の情勢や時代物がどの場面にも散りばめられていて面白かったし、2人を繋いでいるものや思い出がそこにもあったりして、リアルさと切なさを倍増させていたと感じます。


また、このドラマでは環状交差点がよく出てきます。予告編にも環状交差点の場面が使われていたりします。私はこの環状交差点が、物語の意味を強調する役割を担っているのかなと思います。
環状交差点ってぐるぐる同じ方向に追いかけっこするように走りますよね。
私はこれが時計の針であり、人の想い、運命の歯車を表現していると思いました。
止まることのない時間と、なかなか届かない想い。
物語には直接関わりのないものだけれど、そういった意味を示す表現を何らかの形で盛り込むというのはとても興味深いなと思います。

あと、先にもお話したように2人を繋ぐものや思い出がたくさんあります。
ライラック、ナポリタン、歌、タイタニック、火星などなど…
2人を繋いでいるものはいくつもあったけれど、再び彼らを繋ぎとめたものが何だったのか。
それがわかったときの感動は凄まじかったです。

そうきたか(泣)

と、もう号泣でした。


そして、運命や出会いと別れについてものすごく考えさせられた作品でした。
好きなセリフがいくつかあるのでここで紹介します。

全ての出会いと別れは運命に導かれているように思います。


どんな出来事も人生にとってかけがえのないピース


誰かをすごく好きになって生きてて良かったって思える。それはだいぶすごいことだと思うんです。


いつか来るその日にまた会いたい人は誰か。

「First love 初恋」

あの人に出会えたから今の私がある
あの人に出会わなければこんな思いせずに済んだのに

こんな風に、出会いによって人は左右される生き物だと思います。だからこそどんな出会いも出来事も意味がないなんてことはないと私は思っています。
なんてことない出来事も出会いも別れも、もしかしたら自分にとっては小さな変化のきっかけだったりする。それに気づかずに生きることって実は愚かなことなんじゃないかと思います。
自分の身に起きることが最低最悪なことであろうと、それは自分の人生に何かしらの意味をもたらしている。だからこそ、自分に身に起きたことは受け入れ、どんな出会いも別れも大切にしていきたいと思いました。


あともうひとつ、好きなセリフを紹介させてください。

それが本物なら必ず誰かに発見される。

すごく力強くてパワーがもらえる言葉だと思います。
自分の努力が実を結ばないときだったり、自分のやってることに自信がないとき、この言葉がもらえたらすごく嬉しいだろうなって。

このセリフの続きも「大丈夫。全世界が君を黙殺しても私はもう綴の音楽を見つけてる」っていうセリフなんです。素敵すぎませんか(泣)
こんな言葉をかけられるような人になりたいなって思いました。


素敵な言葉がたくさんあります。作品を観た方でこの言葉好きっていうのがあったらぜひ教えてください。


人物の一貫性

20年という長い年月を描いていながらも、人物像に矛盾がなかったと感じます。

佐藤健さん、木戸大聖さん演じる並木晴道。
晴道は、単純で嘘が吐けない真っすぐな人物です。誰に向ける優しさもみんな同じで、人としてとても魅力のある人物です。(そりゃモテるし、好きになるなって)

晴道は単純で少しバカなところもあるけれど、あまりに真っ直ぐなので単純に決めたことでも目標に向かってしっかりやり切る人物です。そして本当に優しい心を持っていて、大切な人を守る信念が強い人物。
そこがずっと一貫していて、晴道らしいなって思える場面がたくさんありました。

満島ひかりさん、八木莉可子さん演じる野口也英。
也英は華のある人物だと思います。
八木さんが演じられた学生時代の也英は華そのものでした。純粋無垢で夢に溢れてキラキラした感じです。
しかし、ある出来事をきっかけに満島ひかりさん演じる大人時代の也英は、「華」とは対照的に描かれます。
それが、観ている人にとっては過去と乖離しすぎじゃない?って思われるかもしれません。
でも、そうなってしまった過程がしっかり描かれているので、私は納得することができました。
あえて対照的にすることで、学生から大人になる感じとか、長い人生のうちある出来事や出会いで人が変わる、人生が変わるっていうのを表しているような気がして、現実味があって良かったと私は思います。
そういった意味でも人物に一貫性があったと感じています。

人物の一貫性によって、ストーリーがより切なく美しく魅力的になっていると思います。


実力派俳優たちの演技

そうそうたるキャストが集まっているこの作品。やはりそのお芝居は素晴らしいものであったと思います。
どの俳優さんももうさすがですという感じです。ナチュラルなお芝居をする俳優さんばかりで、だからこそ私はここまで、この作品にのめり込むことができたと思います。

ここでは晴道と也英を演じた4人の俳優さんについて語らせてください。

学生時代の2人を演じた木戸大聖さんと八木莉可子さん。
学生というピュアな雰囲気、初々しさ、愛らしさ。
夢に溢れるキラキラした感じ、真っすぐさ。
それらを全て表現されていて本当に素敵でした。

屋上のシーンは私的ドラマ史上、最も美しいキスシーンだったと思います。
これぞまさに映像×音楽×演技の化学反応が起こっていた場面でした。このシーンはこのドラマの中で最も好きなシーンです。

(ここだけでもぜひ見て頂きたい(泣)↓)


大人時代を演じた佐藤健さんと満島ひかりさんは言うまでもないですが、お二人の隙のないお芝居が、本物の晴道と也英を存在させていたと思います。

大人時代のお二人は涙を流す場面が多かったのですが、本当にどのシーンも綺麗で、こんなシーンもう絶対に撮れないんじゃないかってくらい素晴らしかったです。涙の流し方であったりとか、目に涙をためている感じであったりとか、涙だけでこんなに色んな感情や想いを表現できるんだなと感心しました。


晴道が也英に向ける表情、也英が晴道に向ける表情。
その一つ一つが繊細で、本物の愛でした。

学生時代も大人時代も晴道と也英そのままで、違和感なんてこれっぽっちも感じませんでした。シンクロしすぎて怖いくらい。

特にラストシーンで也英が晴道を呼ぶシーンがあるのですが、そのときの満島さんの也英が、完全に八木さんの也英とシンクロしていて、もう言葉にできなかったです。色んな感情が爆発しました。本当に素晴らしかったです。


おわりに

長々とここまでお付き合いいただいた方、ありがとうございました。
ここまできても、まだ言い足りないことがあるような気がしますがこの辺にしておきます。


作品の見方は人それぞれで好き嫌いもあるものです。

でも、私は大好きな楽曲のドラマが制作され、期待と想像をはるかに超えた作品を受け取ることができて、とても幸せです。
この楽曲に、この作品に愛をこめて。


ありがとうございました。













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