仕事を好きな自分が好き。
はたらくって、面倒くさいな。
はたらかずに生きられたらいいのになぁ、と思う。
一生、遊んで暮らせるお金があったとしたら、はたらくかなぁ。
数年前、離婚した。
小さい子が2人いる私は、まず、働かなければ、と思った。
学もなければ、資格もない、これといった経歴もない。人生に誇れることなど、ないし、その上、バツイチになってしまった。
子を産んでから数年、ズボラ主婦だった私が、仕事を探すとしたら…と考えついた先は、「介護」だった。
6万円で半年かけて、初任者研修という、1番簡単な資格をとると、正社員での仕事はすぐに見つかった。
介護なんて、別にやりたかった仕事ではない。現実的に考えて、決めたことだった。
初めて施設へ行った日、入居者の姿に、すっかり面食らってしまった。
認知症で、全く会話の通じない方や、寝たきりで全く反応がない方、お腹から栄養をとる方など、色んな人がいた。
そんな人に触れることに、怖さを感じた。
高齢者の皮膚は、紙みたいに薄くてカサカサしているし、骨格が分かりそうなくらい、痩せていたりするので、余計に怖かった。
浮腫んだ足が破裂しそうなくらい、パンパンになっていたりするので、それもまた怖かった。
認知症の人には、意思が伝わらず、相手の意思も読み取れず、大声を出されたり、手を挙げられたりすることもあった。何を言ってるのか分からないし、目に見えない誰かを呼んでいたりして、めちゃくちゃ怖かった。
それでも、どんな人でも、手を握れば暖かい。
笑ってくれれば、嬉しい。
「ありがとね」と言われれば、今日一日がんばるか!と思える。
日々過ごすうちに、何を言っているか、分からなかった人の意思が、分かるようになったりする。なんか、ちょっと面白いかも、と思っているうちに、数年がたっていた。
研修と試験を受けて、今年「介護福祉士」になった。
学も資格も経歴もない私では、なくなった。
ほんのちょっとだけ、誇れることができた気がした。
はたらくことで、自分を肯定できる部分が増えたし、自信も持てた。
毎日、たくさんの人と笑って過ごせるこの仕事が好きだと、思えたし、そう思える自分も好きだ、と思った。
数ヶ月に一度、利用者さんが転んで、事故報告書を書かなければいけない時や、急なお看取りがあった時なんかは、もう辞めてしまいたい、と思うときもある。
はたらくって、本当に面倒くさいと思う。
はたらかずに生きられたらいいのになぁ、と今でもちょっと思う。
でも、きっと私は、一生介護の仕事をすると思う。
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