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人生フラフラロンドン日記 ~Week 71~

ロンドンに来てから71週間が経過。この週をどう書くか悩んでいたら、いつの間にか1ヶ月以上も更新を止めてしまっていた。ここからは簡素に沢山書いていくつもりだ。本当です。一度止めてしまうと、なかなか復帰できないことを思い知らされている。これだけはロンドン生活のデイリーワークだから、もう止めちゃいけないとn回目の近いを立てている。しばしお待ちを。

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1.

Glastonbury Festival 2023(以下:グラスト)。イギリス最大級どころか、世界でも屈指のフェスティバルのチケットを、再び手に入れたのは今年に入ってからだった。前年の秋に始まる一般発売では手に入れることができず「さすがに奇跡は2回も起きないか…」とほぼ諦め切っていたところ、なんと春のリセールで今年も入手。大袈裟に聞こえるが本当に奇跡に近いのだ。グラストは20万枚以上のチケットが約1時間で売り切れる。まずサイトの購入画面に繋がることすら至難の技なのだ。そしてそんなチケットのリセールなど、もはや雀の涙を掴み取るようなものだ。そんな奇跡を2年連続起こしてしまい「俺は交通事故にでも遭うのではないか…」とハラハラしながらも無事に迎えた6月末。夏至とともにグラストは始まる。

昨年との違いは公式バス付きのチケットが手に入ったこと。これさえあれば会場までロンドンからひとっ飛び、とすっかり思い込んでいたが、いきなり交通事情でバスは1時間近く遅延し発車することはなかった。バス内でチケットの受け渡しだったため、1時間前に到着したのに…。思い返せば昨年もパディントン駅で電車を2時間待ったことを思い出す。グラストの洗礼はここから始まっているのだ。無事にバスに乗車してもまだまだ道のりは長い。グラストまではロンドンからバスで約3時間。ただこれは空いていればの話。14時出発予定のバスで、会場入りを果たしたのは19時半だった。しかし道中でストーンヘンジが見ることができたので少しお得な気持ちだった(こうでもしなきゃストーンヘンジには多分行かない)。友人と重い荷物をのしのし抱えながら歩くこと約30分。キャンプサイトに辿り着き、ようやくグラストに帰ってきた。

名物のキャンプファイアーが燃えれば、いよいよグラストが始まる。

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2.

ベストアクト。あまりにも広大なフェスティバルと数数多のステージ(タイムテーブルには載っていないステージまである)なので、毎日のベストアクトだけを紹介する。言うなれば全てがベストアクトなのだけど、そこは致し方なし。

前夜祭:KI/KI

アムステルダムのテクノ才女、KI/KI。昨年はハマっていなかったテクノというジャンルに今年初めにハマってすぐに観たDJの1人。今年から増えたLEVELSというステージでプレイしていたわけだけど、もう照明も音響もバッチリの最高レイヴ体験だった。なんせロンドンで頻繁に行っているテクノクラブ 'FOLD'のスタッフが運営にいたのもあって、ステージにとても親近感を持ったのもあるのかも。KI/KI自体が3時間セットだったけども、体感30分ぐらいで終わってしまった気がする。動画にウガァァァって声が載ってしまっているけど、この日一番の声が出た自分です。

Day1 : Arctic Monkeys

今年のヘッドライナーでもあるアクモン。もともとグラストの存在を知ったのは2013年のアクモン「I Bet That You Look Good On The Dancefloor」のライブ映像だった。翻る無数の旗たちと発煙筒、地鳴りのような合唱に驚いたけど、そのまま同じ光景が目の前に広がっていて、とてつもなく感動してしまった。もちろんアクモンを観ること自体、人生で初めての出来事。友人に教えてもらってから、よく聴いていたアルバムのような刺々しさは無くなってしまった気がするけど、それでもこれがスーパースターなんだなと圧倒させられるパフォーマンスだった。そしてあらためてイギリスにいるんだなとしみじみ考えていた。贅沢な経験ばかりしている。

Day2 : Rina Sawayama

一挙手一投足の全てに痺れてしまうビリビリのパフォーマンス。そういえば昨年も同じステージの同じスロットでCharli XCXを観たが、その時と同じ衝撃だった。やはり全てを救うのはDIVAなのです。カッコいいし、綺麗で見惚れてしまうような存在感を放ちまくりのRina。それはある種のプレッシャーでもあり、ステージ上で1975のマティを批判した時に流れたピリつく雰囲気と溢れる怒りに思わず身震いしてしまった。「Comme des Garcons (Like The Boys)」は振り付け含め全てがカッコいいし、「This Hell」の楽園感はとてつもなかった。「みんなで落ちれば地獄は最高のパーティーじゃん」はしなやかさを体現しまくっているラインだと思う。

Day3 : Queens of the Stone Age

最終日、ギリギリまで悩んだ。エルトン・ジョンを捨ててまで観たのは、ずっと観たかったQueens of the Stone Age。大正解だったと思う。もちろんキャリアラストを掲げていたエルトンのショーも、もちろん最高だったろうが、裏被りがこの魔王バンドなんてめちゃくちゃ画になるじゃないか。ジョシュオムおじさん、凄まじい。ステージ前方からずっと暴風が吹き荒れていたと思う。気づけば吹き飛ばされてしまっていた。「明日から平日なんて最悪だ」「ここはひとつになれる場所」なんてMCの後に、リフの合唱から始まった「No One Knows」で今年のグラストが大団円を迎えた気がした。ありがとうQOTSA。ありがとう教えてくれた友人。

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3.

グラストというフェスティバルが持つ神秘性。2回目の参加ということで今年はよりグラストの雰囲気に没入できたような気がする。僕がはっきりと実感できたのはやっぱり今年から。去年はそのスケールの大きさに圧倒されてばかりで地に足付かずだったから。グラストは「誰もが幸せならなんでもOK」というルールだけを抱えて、みんなが5日間を過ごす街だと思う。ここではフェスのお客さんという立場ではなく、このフェスの雰囲気を担う1人として僕らが存在していると思わせてくれる魔法があるのだ。

目が合えば自然と笑い合えて、いつの間にか友達になってて、毎日のように「また明日ね!」と言い合って朝焼けの中にみんなが消えていく。それを5日間繰り返していくと、自然とこのフェスの中の自分の役割というものが掴めていく。こんなことは滅多に体験できないものだろうなとも思うし、これこそが数十年と続き、熟成されていったグラストというフェスなのだろう。同じような内容をゴッチの体験記を読んでいて考えていた。


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〜まとめ〜

この世の天国のようなフェスティバルに今年も帰って来れた。昨年と違い、今年はクラブミュージックにハマっていたので夜遊びも本当に楽しかった。毎日、昼から朝まで音楽を聴いて踊って、最終日に大寝坊をかましてしまったが、それすらもいい思い出である。一番観たかったBlack Country, New Roadを見逃してしまったのだけは心残りだが…。

今年は友達が山ほどできた年だった。自然と踊っていたらいつもの人が集まってくる。グラストはそんな場所。最終日の朝に「また来年のグラストで」と寂しくハグして別れたが、翌週にはロンドンのクラブで普通に会えた。そこも含めて面白い。でもどちらにしても来年もまた行かねばならない理由になっている。またあの天国のような場所に戻るまで300日ちょっと生き延びていく。ロンドン生活はまだまだ続く。

毎日牛乳を飲みました

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