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方向

同じ向き

同じ方向

同じ目的


そう思って、一緒にやってきた。


お互いの足りないところを埋め合うように寄り添いあえれば。


きっとここからも上手く行く。


2人ならきっと上手く行く。



慌ただしい日常の中に、時折見せる君の困った顔。

抜け出せない毎日に、僕等は2人で戦っていた。


泣きたい時は君に話をして、一緒に笑った。

嬉しい時は君とお酒を飲み、一緒に泣いた。


ほらね、僕ら2人は無敵なんじゃないかな。


このまままっすぐに進もう。

君が見ている方向へ。

僕が案内するから。


そう、このまままっすぐに・・・





これはただの幻想なのかな。


まっすぐ進むことは、僕のエゴなのかな。


そう思ったのは、無駄ばかりな出来事がとても大事だということを知ったから。


君が足を止めて振り返る事や、僕がひたすら走り続ける事。


コンビニで財布を忘れて取りに戻る事や、冷蔵庫の中にある2本目のケチャップ。


どれも無駄な事だと思っていたけど、君にとっては大切な事。



少しずつ離れていく君に、僕はどうしたらいいのかわからない。


同じ方向を見ていたはずなのに。


最初の小さなズレが、どんどん大きくなっていく。



ああ、こういう事なんだ。


同じ方向を見ているって

同じ目的を持つって

僕の目線、君の目線、それぞれ違うんだ。


小さなズレは、大きな道となって僕らの力になるんだ。



離れて行ことに怯える必要なんてないんだよ。





終わり



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