マガジンのカバー画像

[ブログ]HEY! HEY! BON BON

9
時々更新。
運営しているクリエイター

記事一覧

 挫折の巨人

 挫折の巨人

『ミッション』『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』『ニュー・シネマ・パラダイス』『ヘイトフル・エイト』。これらの映画に共通するものはなーんだ?
 タイトルが全部片仮名? ブー。タイトルが全部原題? ブッ、ブーッ。タイトルから離れよう。
 正解は、音楽を担当したのが、エンニオ・モリコーネ(1928-2020)。彼の生涯を追ったドキュメンタリー『モリコーネ 映画が恋した音楽家』(監督:ジュゼ

もっとみる
 さよなら、にぃまるにぃにぃ

 さよなら、にぃまるにぃにぃ

2022年1月に上京した際、立ち寄りたい本屋があった。台東区にある「Readin’ Writin’ BOOKSTORE」。読んだり、書いたりする本屋。店主の落合博さんの経歴が、ちょっと変わっている。
 1958年、山梨県甲府市生まれ。東京外大イタリア語学科を卒業後、読売新聞大阪本社、スポーツ雑誌を経て、毎日新聞に入社。主にスポーツを担当したが17年に退社し、本屋を開業した。合計3回も転職し、

もっとみる
 コロナと白秋

 コロナと白秋

 何にカネをかけるか、かけないかは、人生において重要な問題である。出費の多寡には、その人の価値観が反映される。インスタント食品で充分という人もいれば、名店を食べ歩く人もいる。着るものにこだわらない人、ブランドものしか身につけない人。ブランドものを着ていても、食べるものにはこだわらない人もいる。
 私の場合、カネに糸目をつけずに本を買う。カネがない10代のころ、買いたい本が買えなかった飢餓感の反動か

もっとみる
ダム、橋、空港 ―― 義父のキセキ

ダム、橋、空港 ―― 義父のキセキ

 英国のエリザベス女王が死去した数日後、義父が旅立った。享年83。約1年前に自宅にて脳内出血で倒れ、入院・療養中だった。コロナ禍で見舞いは叶わなかったが、一度だけ面会したことがある。
 入院して約2カ月後、主治医との面談があるので同行してほしいと義母から連絡があった。妻は会社員なので、自営業の私のほうが時間の自由が利く。義母が私を頼ることはそれまで皆無だったので、よほど不安なのだろうと推察した。

もっとみる
映画『私のはなし 部落のはなし』           公開2ヵ月後のはなし

映画『私のはなし 部落のはなし』 公開2ヵ月後のはなし

兵庫県神戸市内にある元町映画館で、7月23日から部落問題をテーマにしたドキュメンタリー作品『私のはなし 部落のはなし』(満若勇咲監督=写真左)の公開が始まった(8月5日まで)。初日の上映後に、舞台上で満若監督と対談した。実は公開直前にも対談したことがあり、制作の意図などは以下を参照いただきたい。
https://www.jinken.ne.jp/flat_now/buraku/2022/0

もっとみる
『私のはなし 部落のはなし』      公開2日前のはなし

『私のはなし 部落のはなし』      公開2日前のはなし

対談は、難しい。
ましてや人前となると、なおさらである。
5月に公開されたドキュメンタリー映画『私のはなし 部落のはなし』。
公開直前に満若勇咲監督と対談するという ムチャクチャな仕事が入った。
なにせ聴衆は、誰も映画を観ていない。
どこから話をしていいのやら…。
当日の対談は、割合うまくいった。
というのも…。
前売り券が、完売したのだ。
聴衆が70人で、用意した50枚が完売した。
ほとんどの人

もっとみる
古書店はじめました。

古書店はじめました。

 先日、あるイベントで、ノンフィクションに関する本の話をした。話のネタとして、推薦本リストを作成し、会場で配った。実家にある本や古本屋に売却したものを除き、わが家にある本棚の中から、何度も目を通し、なおかつもう一度読みたいノンフィクション本を選んだ。
 あれこれ迷っていると、古書店を開く店主みたいに気分が高揚した。どんな棚をつくるか、悩みは尽きなかった。
 推薦本リストのタイトルは「ノンフィクショ

もっとみる
水平社バトンのゆくえ

水平社バトンのゆくえ

 1922年3月3日に結成された被差別部落民の運動団体・全国水平社が、このたび100周年を迎えた。さまざまなメディアで紹介されたので、視聴された方もおられたことだろう。
 部落で生まれ育ち、この問題をテーマにして書いている私も、創立100年を機に新聞のインタビューを受けたり、テレビ番組に出演したりした。まるで”水平社藝人”ではないか。水平社創立に関してメディアは手離しで礼賛し、その片棒を担いでいる

もっとみる
「神戸、辞めてどうなるのか。」私篇①

「神戸、辞めてどうなるのか。」私篇①

ブログを再開しました。
 7年余り続けていたブログを終了して、1年余りがたつ。50歳で始めたから、タイトルは『五十の手習い』。気が付けば、もう58歳。還暦が迫っているではないか。五十とか、手習いとか、言っている場合ではない。
 すぐに再開するつもりが生来の怠け者ゆえ、ずるずると時が過ぎ、季節がひとめぐりした。ゆるゆるの生活も、もう飽きた。そろそろ錨を上げて、出航(出稿)することにしよう。フリーライ

もっとみる