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【詩】歩かされてきた

通学路を教えてもらったとき、
骨と街がこすれるようなキュキュッという音を
立てながら折れ曲がる
赤い道ができた
三年生になって、鉛筆の道は
石けりの軌道のなみなみの線で、
わざわざ隙間をとおって縁石をあるいて、
いつのまにか夕陽は、電線の一番下にきていた
枯れ葉を踏んで聞こえる音のように
小枝を踏んで聞こえる音のように
どんぐりを踏んで聞こえる音のように
シャーペンが折れて、残骸が散らばった道を、
部活バッグのまま塾に向かって歩く
酔いの回らない愚痴とか
サラサラしてる文句をこぼして、
駅の反対側のマックまでの道を
アリのように辿っていく
アイスのかがやきはなくなって
どろどろと落ちてくるような、
ベタベタな電車の窓に残った皮脂が
溜まって膜を張った道が、
通勤コースです
光をぴゅっと飛ばして
誘っている小道があらわれる
ベランダの洗濯もの
わたしはここまで歩かされてきた



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