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100名で開催!『四畳半タイムマシンブルース』読書会

こんにちは。ブックラブ事務局です。
8月に100名以上のお申込みをいただき、ますます盛り上がってきたブックラブ。お届けした本を使って開催する3回目の読書会は、2020夏の話題作!森見登美彦氏の『四畳半タイムマシンブルース』を課題図書として開催しました。

待望の新刊とあって、全国津々浦々100名以上にご参加いただいた読書会の様子をレポートします。

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イベントは以下三部構成で行われました。
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① 森見登美彦さんと担当編者のトークセッション
② 『四畳半タイムマシンブルース』読書会
③ 森見さんへの質疑応答コーナー
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<第1部:担当編集者とのトークセッション>

森見さんは奈良から、担当編集者も自宅からの参加するイベントスタイルに「不思議な感じ」とやや戸惑い気味の森見さん。しかし、長年タッグを組んできた担当編集と話すうち、徐々にリラックスした様子で様々な裏話を披露してくれました。

森見さん_トークルーム

コロナ禍に発売した新刊に、多くの読者から喜びの声があったことについては「作品は明るい話だし、中止になってしまった夏の京都の催しを、小説の中で体験してもらうことができたと考えたらよかった」と笑顔を見せる森見さん。

今回の新作『四畳半タイムマシンブルース』は、森見さんの初期人気作『四畳半神話大系』に上田誠さんが作・演出を手掛ける劇団ヨーロッパの企画の舞台『サマータイムマシン・ブルース』を悪魔合体させたもの。

舞台の小説化ならではの苦労もあったようで「舞台の面白さを小説にするのは難しい。舞台は「状況」が主人公。小説は一人称だし、登場する人数も異なるので制限が多い」と書きながら感じた気持ちを振り返ってくれました。

今回、四畳半のキャラクターが原作にピタリとハマっていたのでは?という問いには「ポジティブな原作に沿って四畳半のキャラクターを動かした結果、(ヒロインの)明石さんがかわいくなりすぎてしまいました。いかん、いかん」と頭をかきながら笑う一面も。昔は女の子を可愛く書くことに遠慮があったという森見さんの自然なしぐさに、イベントには和やかな雰囲気に包まれます。

かわいくなりすぎた

また、タイトルにまつわる裏話も惜しみなく披露。『四畳半神話大系』と「タイムマシン・ブルース」をどのように分解し、再構築するかで随分悩んだそうです。日の目を見ることのなかった担当編集の案も暴露されるなど、イベント参加者にはまさに“ここでしか聴けない”貴重な話となったのではないでしょうか。

完全にリラックスした森見さんと、担当編集者の自然なやりとりは、まるで打ち合わせを覗き見ているかのよう。話題は中村佑介さんによる美麗イラストが映える装丁の話に移ります。

四畳半タイムマシンブルース_パスマ帯無_600_360

一目見て「これは売れる!」と確信したという森見さん。正面構図の女の子のインパクトはもちろん、こっそり仕込まれている様々な仕掛けが面白いと、担当編集者と“見つけた仕掛け発表”で盛り上がります。

「明石さんの履いているスニーカーにアニメのロゴが」「小津と黒い糸でつながっていて」「時間のズレた3つの時計はタイムマシンを象徴しているのでは?」「それは気が付きませんでした!」と次々に発見される仕掛けに、森見さんも「全部見つけられているか心配ですね」と嬉しそう。

イラストレーター中村さんによる答え合わせの日はくるのでしょうか。
たくさんの仕掛けが込められた『四畳半タイムマシンブルース』。ぜひお手元の単行本で、仕掛けを探してみてください。


<第二部:読書会>

休憩を挟み第二部の「読書会パート」に移ります。読書会は、テーマに沿って作品の感想を発表する交流の場。読んだ本について語り合うことで、より深い読書体験が得られると好評のパートです。

読書会の時間は30分。運営がランダムに決めた4~5人でグループとなり「自己紹介」「作品の印象にのこったところ、または好きなところ」「登場人物は誰がお気に入り?」といった3つのトークテーマを順番に発表していきます。

世代も、職業もバラバラのメンバー。最初こそ緊張気味のグループもあったようですが「好きなものが一緒」という連帯感は強く、あっという間に打ち解け盛り上がっていました。「ラストは涙が出るほど感動した!」「小津が好き。こんな友人が欲しかった」など、好きな作品について思いっきり語れるのは読書会ならではの魅力です。

トークテーマを話し終わったグループでは「小説の舞台で行きたいところ」をそれぞれ発表するなど、自由に交流を楽しんだ様子。「来年の古本市でみなさんと会えるかもしれませんね!」といった会話が交わされるなど、この場に留まらない今後の出会いを期待してしまうのも共通する「好きな作品」の力かもしれません。

この読書会、森見さんがいくつかのグループに顔を出すというサプライズもありました。直接感想を伝えられたラッキーな参加者や、突然の登場に驚きと緊張でフリーズしてしまったグループなど反応も様々。会話が止まったグループには「何か質問ありますか?」と森見さん自ら問いかけるなど、終始和やかなムードで読書会は進行していきました。

森見さん_トーク2

運営の操作によって、自分の意思とは関係なく突然現れては消える森見さん。不思議な読者との交流体験に「森見登美彦の幻が現れては消えるタイムマシンのようでしたね」と楽しそうに語っていた様子が印象的です。

<第3部:質問コーナー>

第三部の質疑応答は著者に質問できる人気のコーナー。質問は事前募集ですが、作品に関することから執筆活動のルーティン、プライベートな質問まで多岐にわたります。

作品を執筆する時、一番楽しめるのは「胡散臭いホラ話書いているとき」という森見さん。今回の作品では、主人公が京福電鉄研究会に入って追い出されるところが楽しかったそうです。

また、文章は午前中に丸福珈琲(パック)を飲んでから書き始めること、夜は書かないこと、執筆するときは流れとリズムに気を付けていることなど、執筆にまつわる質問にも次々と答えてくれるなど、まさにファンにとっては至福の時間。

他にもキャラ作りの工夫や、自分の作品を漫画やアニメで見るときの気持ち、小説に与える影響、作品のアニメを見て泣いてしまうというエピソードまで赤裸々に披露してくれました。

奈良小説を書いているおススメの作家さん、前野ひろみちさんのことなど、1つ1つの質問に様々な小話を交えながら進んだ質問コーナーには参加者も大満足だったのではないでしょうか。


イベント中、チャットでもたくさんのコメントが投稿され、大いに盛り上がった『四畳半タイムマシンブルース』読書会。森見さんからも「ウェブ上の読書会を企画いただいて大変嬉しかった。いつもは本を出してからサイン会を開いたりして実感を得るけど今回はそういうことができなかった。やっと本を出した実感がわきました」という嬉しいコメントをいただきました。 


イベント後には「本の執筆に関する率直なお話をたくさんきけて本当に夢のようでした」
「『サマータイムマシン・ブルース』とのつながり、明石さんのかわいさ、装丁の細かな発見…改めてもう一度、両作品を楽しみたいと思いました」「担当編集者さんからの視点をうかがえたことで作品を深く知ることができました!」といった嬉しい感想が数多く届き、森見さんにもシェアさせていただきました。アンケートをくださったみなさま、ありがとうございます。

森見さん_記念撮影_3

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