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洗い物をしてくれないか

息子たちよ
洗い物をしてくれないか
一緒にご飯を食べるのだから
準備と後片付けに
少しくらい参加をしてもいいものだ
自分の好きなことをする時間を少しだけ
こっちに振り分けてくれないだろうか

母ちゃんだって疲れている
母ちゃんだってほっとしたい
母ちゃんにだってやりたいこともあるのだ

声が小さすぎるのか
息子たちは聞こえないふり
ああ、とめんどくさそうに
抗議に反発
結局、やってくれない

ほらね、やってくれない
ほらね、私はこの人たちに愛されていないんだ
面倒な家事をただ黙ってやっていればいい召使いなんだね

言えば言うほど
この人たちはやらない
言い方がネガティブなのかと
つとめてさらりと言ってみる
無言で無心にやっていれば
あるとき隣に立ってくれるのか
楽しそうに精を出せば
自分も参加したくなるものか
こんな模索
まるで一人修行のようだ

愛されないと感じるのは
自分が自分を愛していないことの裏返しなのだ

まだ器用に洗い物ができない
いちばんおチビの三男が
毎日言う
母ちゃん、かわいいよ
大好きだよって

この人はな
私に
自分をまっすぐに愛することを
ただただ伝えに来たんだ

(455文字)


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