見出し画像

鬼月|詩


「鬼月」

駟馬しばに揺れひとの気なき邸のまえ
足もとそばゆるは黒き小犬

唇に触れる陽だまりは柔らかな口笛
揺蕩たゆたうように過ぎてゆく時のいろ
太陽が欠けた夜には鬼がくる

窓の外には音のない笑い声
共にと差しだすを拒んで去るもの追い
見れば雄々しき鬼へと溶けてゆく

なぜ戻ったと微笑む闇のおさ
月が舞う、
優しき鬼の涙に抱かれる夢をみた

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?