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愛と熱狂のキャピタリズム

自己紹介記事も書けていないので簡単に。
フジサワカズノリ、88年世田谷生まれ。

新しい一歩を踏み出すこのタイミングに、これまでを振り返り、それらの体験記がこれから社会人になる人や、転職する人、起業する人。環境は変えずとも4月からの新年度に向かう人にとって何かの糧になれば、そんな願いを込めた文章です。


6年前、当時27歳の僕は、節目と位置付けていた30歳までの時間をどのように過ごすかを思案していた。学生起業で小金を稼ぎ、休学を挟みながら長い年月かけた建築学生としての日々を締めるタイミング。事業も人生も少しずつ良くなるけれど延長線上の先が見えている生き方に、このままでいいのだろうか?という問いがずっとあった。

そんな中で出会ったのが、株式会社CRAZY。
「CRAZY or die」という、過激で心に刺さるブランドコピーを引っ提げ、婚礼業界の不可思議に挑む集団だった。

Crazy or die.

諦めや愚痴がまじる
そのため息からは死臭。

たとえば、ちゃんと好きだと伝えるか。
こころに留めておくか。
それだけで、一瞬先の人生はちがう。

挑み続けるか。歩みを止めて諦めるか。
それだけで、明日の景色は変わる。

じぶんをころすか。ころさないか。
人生は、たったそれだけ
たったそれだけの
違いの積み重ねでできている。

幸せとは、どれだけ長生きできたかではなく
どれだけ波風立てずに過ごせたかでもなく
この日常の中に
どれだけの熱狂的な瞬間があるかだと思う。

自分で、生きること。
自分を、生きるということ。

一度きりの人生。
心が震える方向へ、行こうぜ。

株式会社CRAZY 2017年〜2019年 ブランドメッセージ

「何故、あなたはその場所で働くのか?」
「そして、どのように生きていきたいのか?」
CRAZYの採用プロセスはさながら哲学の問答。

入社前、全社員の前で「ライフプレゼンテーション」を行い、そこで語られる言葉に違和感や、薄さがあったら入社は叶わない(というレベルの厳しさがあったのは特定の期間だけだったけれど)。
いい意味での狂気が渦巻いている組織だった。

2,101日前、2016年6月10日。
挑戦の結果ではあるけれど、時間の経過とともに育ち纏わりついたプライド。誇りではない、虚栄心に近い、プライドを捨てる。これが僕のライフプレゼンテーションのテーマだった。体現するべく、27歳の"新卒"としてCRAZYに参画することになった。

この6年間、組織の仕組みも、ビジネスもユニークなCRAZYで学んだこと。得たこと。それは数え切れないくらいあるけれど、備忘録を兼ねて、まとめてみたいと思う。

1.人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである。

悩みの種にもなる人間関係は、裏を返せば豊かさの源泉そのもの。
CRAZYな日々で、僕自身の人間関係は良い方向に変わり続けたと思う。

CRAZY WEDDINGを通して関係性を更新できた、パートナーと父親。
仕事の話も恋愛の話もバカな話も、心許してできる同期。
CASTプログラムという結婚式をつくりあげる社会人学生を問わず切磋琢磨するコミュニティで出会った仲間。

「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである。」とはアドラー心理学で語られることだけど、これを解決したり改善する機能を組織や、事業に実装しているのがCRAZYの最大の魅力と言っても過言ではないと思う。

「ライフプレゼンテーション」
半ば通過儀礼のように設計することで、入社した瞬間から、社内のメンバーは生きたい「理想の姿」を認識することになり、必然関わり方の濃度は高くなる。年を取るにつれ驚くほど減っていくのが、フィードバック(業務改善のリクエストではない)。あなたがあなたの理想に向かうとするならば、ここを変えるべきでは?という問いを日常に生み出す仕掛けがあることは個を、ひいては組織を強くする。

「CRAZY WEDDING」
当時、人生を変えるほどの結婚式、というタグラインでオーダーメイドウエディングの一時代を築いたサービス。

「結婚式は人間関係をまとめて更新する機会がある」
これが、結婚式というサービスの純然たる価値、源泉にあると思う。これについては2年前に少しふざけたトーンではあるけれど書いてみたので、上の記事よりかは気づきなどを提供できるかもしれない。

人間関係を更新すると、人は幸せを実感しやすい。更新するためには誰かの力を借りたり、大きな背中押しの機会が必要で、それをどう事業に組み込んでいけるかが、これからの時代のサービスにおいて大切なんじゃないかな、と思っている。

「同期、CASTコミュニティ」
2017年4月全社員が50人前後だった時代に新卒が14人に入社するというカオスな時代だったこともあって随分と個性的なメンバーが同期だった。

集合写真はどれも各々がその時のテンションで自己表現しているうるさいものしかない。

いちばん最初に辞めそうだった僕が、同期最後の退職発表となったのも、なんだか不思議でならない。皆、それぞれの道で、ゴリゴリにビジネスをしたり、Style for earthを地でいっていたりする。とても好きな人たち。

新卒同期は人生の宝になるよ。なんて言葉をかけてもらったこともあるけれど、宝っぷりを認識できるようになったのはここ数年かもしれない。
誰しも破天荒なエピソードがあると思うけれど、類にもれずCRAZY第3期生の僕らにもある。そんな話と、これもまた壮大な出会いと学びがあったCASTプログラムは別の機会に記事にしたいと思う。

利害を超えた"友達"をこの年齢になってからこんなに得られるなんてとても大きな幸せだと思う

2.愛と力。動的平衡を繰り返し事業は強くなる。

創業の頃から、とてつもない濃度の想いで事業を開発し続けてきたCRAZYにとって、それらの「想い」と「ビジネスモデル」をブリッジさせることに挑戦してきたし、きっとこの後も、ずっとそれを続けるのだと思う。

CRAZY WEDDING、IWAI OMOTESANDOというふたつの結婚式事業。
僕は退職直前まで両ブランドのマーケティングを担うチームの立ち上げを社長の森さん直下で行い、その後はパートナーとして、錚々たるメンバーをヘッドに迎えながら様々な施策をおこなってきた。

表参道をジャックする、総勢スタッフ100名を突破する超高カロリーな企画
キンコン西野さんにも随分と無茶振りをさせていただいた

CRAZY時代の代表的な仕事は何か?という問いがあるとするならば、迷わずに「 #結婚式に自由を 」と答える。yahoo!トップニュースを狙う。という目標を掲げ見事に成した、事業戦略・マーケティング・ブランディング・PRがシームレスに社会とつながっていることをプロジェクトを通して大いに感じながら走りに抜けたプロジェクトだった。

なんだかいいことを話しているので、記事から一部、自分が話している部分を抜粋してみます。笑

「一律のご祝儀を出す」「豪華な料理を食べる」「華やかな写真を残す」ことではなくて、あくまでお祝いをすることが結婚式の本質的価値だと伝えていきたいですね。

僕は、友人・上司・家族とのパートナーシップの関係性まで、より良くしていく可能性のあるサービスだと思っています。パートナーシップやコミュニティの大切さが注目される時代のなかで、関係性を中心においた結婚式は他にはほとんどありません。このギャップがポテンシャルだと考えています。

目指すところは、「結婚式」という言葉を聞いたときに、思い浮かべるイメージが多様化すること。「この人が言っている結婚式って、どういう式のことなんだろう」と考えるくらいの世界観がいいですね。たとえば「おいしいごはん」って言われたとき、脳内に浮かぶものって個々で違うじゃないですか。それと同じことが結婚式という言葉で起こるようになったらおもしろい。

結婚式を、アップデートする。「 # 結婚式に自由を」は、結婚観・家族観をも変えていく
2019.02.13

3."常識"が強いところに大きなチャンスはある。

婚礼業界出身ではないメンバーで、婚礼事業に挑んだからこそ生まれたCRAZY WEDDINGというサービス。結婚式「場」から考えることが常識になっていたこの数十年に一石を投じたことは意味があることだったと思う。

新郎新婦を披露する常識、から、新郎新婦がゲストをもてなすことを、場づくりの哲学に据えたからこそ、細部に至るまで美しさと仕掛けに満ちたIWAI。建築学部出身の婚礼マーケターとして、いつか「結婚式場建築」についても想いを綴りたい。

ここまでで3500文字を超えて、ようやく未来の話かい、という感じがしないでもないですが、ここまで読み進めていただいて本当にありがとうございます。

CRAZYを退職後に僕自身が挑戦していく領域は大きく2つ。
① 日本酒とおでんの店 醸巣を経営する、株式会社CAMOS
② 賃貸物件の床壁張り替え職人を抱える、有限会社ライフサポート

CAMOSにおいては、赤坂の店舗経営に加えて、酒器プロダクトの開発に挑戦していきます。これもまた違う機会に狙いや組んでいくものづくり集団についても紹介するnoteも書きたいと思っています。

父の会社は、職人さんや経理さんを中心とした決して派手ではない事業。非常にローテクな仕組みが"常識"になっているこの世界で、(流行り感が強すぎるところはあるれど)バックオフィス業務をDXさせる業務を中心に価値発揮していきます。バックオフィス業務のDXに僕なりの温度を添え、事業領域を拡張していきます。これらの事業をよりわかりやすく表現するために、屋号を変える決断をしました。創業26年目、僕と父にとっても新しい人生の始まりです。

新屋号は「URAKATA」

現場の人、クリエイティブな人材が苦手としがちな領域で、知らないから、任せ切ってしまうことで不当に搾取されないように。二人三脚させてもらう。
得意を活かす表舞台で輝いてもらうための、裏方。
黒衣のような存在になる。
そんな事業を小さく、丁寧につくり上げていきます。

そんな願いを込めて、CAMOSと合わせて屋号、ロゴを刷新します。

どちらのロゴも愛する同期がつくってくれた

CRAZYという看板が助けてくれたことも多かったこの6年間。これからは自分、そして仲間の力で勝負していく日々になる。育ててもらった恩義を胸に、そして、CRAZY魂を忘れずに、精進していきます。

できる限り、良い報告が続けられるように頑張ります!
4,500文字も書いてなお、途中でこれは別記事に、、なんてことになってしまいましたが、ここまでお付き合いいただきありがとうございました。

・27歳新卒
・CASTプログラム
・IWAIの建築
・酒器づくり

有言実行でちゃんと記事にしたいと思います。

これまでお世話になった皆様においては、変わらず。何かのご縁ではじめて読んでいただいた方は、ぜひ何かしらでそのご縁が深まることを楽しみにしています!フジサワカズノリをよろしくお願いします!

お気づきの方も多いかもしれませんが、タイトルの「愛と熱狂のキャピタリズム」は、僕が生まれる1年前に出版され、学生時代に出会い衝撃を受けた村上龍著の「愛と幻想のファシズム」をもじりました。CRAZYで出会い、哲学してきた「愛」そして「熱狂」ここからは事業家、経営者として挑んでいく、「資本主義」という世界。

上巻193頁)「正しい、もっとはっきり言えば、経済というものが生まれたからですね、生命力ではなく、経済が人間を支配するようになった、それが原因です、なるほどね、あなた方は実に愉快だ、ファシズムか、面白い、だが、あなた方のは、幻想のロマンティックなファシズムだな、うん、そうだ、愛と幻想のファシズムだ〔中略〕すべては、経済が要求するのです、芸術も戦争も革命、経済が要求するのです」

上巻415頁)だが、夢は、夢である間だけ、システムに抗する力がある。夢が作品になれば、それで終わりだ。

CRAZYで見た夢から一度覚め。そして、次の夢に向かってきます。

愛と幻想のファシズム(村上龍)1987年



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