【十六夜短歌】雪ん子⛄賞発表

無謀にも短歌審査員をやりました。まだまだ自分の好みも定まらないのですが、「好き」で選びました。なんとなくファンタジーが好きそう。ただし現時点。

早速発表！！

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さびしさは喉をすべりて
右心室あたりで膝を抱えてゐるよ

dekoさん

秋の夜っぽいと思いました。さびしくて怖くて眠れない夜、さびしさの位置を確かめる。喉を通過して右心室あたりに留まるのも的を射てる感じ。膝を抱えられたらどうしようもないですね。素敵な短歌、ありがとうございました。

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裏街でニヒルな犬が吠えている
人工衛星軌道外れて

汐田大輝さん

たまの「さよなら人類」思い出しました。発展した人類、その先に待ち受ける幸福ではない結末を知る「ニヒルな犬」といった感じで読みました。ほら思った通り、と吠えている感じ。寓話的で好きです。素敵な短歌、ありがとうございました。

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秋の夜の弓張月に腰かけて
寝ている君に魔法をかけたい

camyuさん

三日月とティンカーベルのシルエットが好きなんです。月って寡黙感、孤高感を演出しますね。それが優しかったり怖かったりするんですが、この歌では優しい魔法、怖い魔法、どちらでしょうか。素敵な短歌、ありがとうございました。

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十三夜届けよ舌よ届かない
アミメキリンの舌の先

ヤドカリさん

首と舌を延ばすアミメキリン、夜なのがファンタジックです。舌の先にある届きそうで届かないものは、アカシアの葉でしょうか、月でしょうか、想い人でしょうか。なぜ十三夜なのでしょうか。色々と想像力を掻き立てられます。素敵な短歌、ありがとうございました。

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自分こそ傲慢だったと知った夜
朝日を受けて生き返れ、我

恵子さん

鶴亀杯で「若き日の英雄気取りのこだわりが執着だったと気づく父の死」という短歌を詠みました。そのときはわからないんです。そして気づいたときにあるのは絶望です。どうしてあんなこと言ってしまった、してしまった。でも生きていかないといけないんです。弱いからこそ強くないと、我。素敵な短歌、ありがとうございました。

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ふと思う月にうさぎは住めるのか
やり方次第で可能なのでは

chitoseArkさん

「ふと思う」から、ロマンが理性的思考へと導かれる様子が表現されていて素敵です。鳥のように空も飛べるのでは、と妄想したライト兄弟しかり、人類はこういうこと考えて発展してきたと思うのです。ロマンの延長線上にあるサイエンスやイノベーションってフィクション以上にロマンティック。素敵な短歌、ありがとうございまた。

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秋空の高さを説明して欲しい
気象学ではなく文学で

須崎水性さん

今の現代短歌っぽい感性、語感と思いました。他の２首「僕らから熱を奪って知らぬ間に過ぎ去る九月に恋をしました」「満月が溶けていくから瓶に詰め朝になったらパンに塗ろうか」も好きですが、これにしました。「説明して欲しい」が切実感とも、試している感とも、いたずら心とも読めます。センチメンタルと鱗雲の因果関係？アキアカネと秋夕焼けの対称性？どんな説明求めてるんですかねぇ。素敵な短歌ありがとうございました。

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散歩道君と眺める初紅葉
赤いパンプス痛みこらえて

シンハ

男性はよかれと思ってつれまわすんですよねぇ。パンプスの歩きにくさや痛さを知らないので。思い当たることあります。痛いとも言えず、我慢して男性についていく女性。初々しいカップルの姿が目に浮かびます。これに懲りてイルミネーション、クリスマスの季節はパンプスやめた方がいいですね。素敵な短歌、ありがとうございました。

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神無月宵待ち時の灯が並び
そぞろ歩くは麻布十番

なおみ

「神無月宵待ち時の灯が並びそぞろ歩く」からの「麻布十番」が素晴らしいです。地名に多くを語らしめているところ。会社帰りのおしゃれOLがワインレストランにでも向かう光景がすっと入ってくる。地名変えるだけで様々な光景に変わります。素敵な短歌、ありがとうございました。

以上9句です。

十六夜短歌雪ん子⛄賞のみなさん

おめでとう

🎉🎉🎉

20時半から俳句審査員賞、
20時45分に同じく三賞発表！！
21時からはグランドフィナーレ！！