クラロワ日本一決定戦 | 2017 #tb | (1)イントロダクション
今から3年前の2017年、日本クラロワ界は「日本一決定戦」を中心に回っていた。懐かしむもよし、へーなるほどと知っていただくもよしの連載企画。
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「クラッシュ・ロワイヤル」初の”競技系”公式イベント「クラロワ日本一決定戦」(Clash Royale Crown Championship 2017, CRCC 2017)がおこなわれたのは2017年のことだ。誰でも参加可能な大会が5カ月連続で開催され、秋の「THE FINAL」で”真の日本一”を決めるという大掛かりなお祭りだった。
2018年・2019年と公式がチーム制のプロリーグに本腰を入れたこともあって、日本一を決める個人戦の公式大会はあれ以降開催されていない。
本noteではクラロワリーグのオフシーズン企画として、この「クラロワ日本一決定戦」をふりかえる連載企画をはじめることにした。よろしく!
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0.本企画の動機
”なぜ今「クラロワ日本一決定戦」のふりかえりを?”と聞かれれば、いくつかの理由がある。
1つめは、クラロワリーグのオフシーズン企画として何かをやりたかったから。例年、12月の世界大会から3月4月頃まで空白の期間があるので、そこを埋めるネタの1つを界隈に提供できたらいいなと準備を始めた。ただ、 #BrenChongCup やら #8000最強決定戦 やら #GamestryCup2 やら #NTWorlds やら、予期せぬ世界的イベントが相次いで、ここまで開始が遅れてしまった。オフ用企画がオフ中には終わらない・・・。
2つめにはあれから3年が経ってしまったから。筆者のようなおっさん年代にとって3年前は先月くらいの感覚だが(※個人差があります)、10代にとっての3年前は遥か大昔だろう。それにふと気になってTwitterでアンケートを取ってみたら、そもそもあの大会を知らない層がかなり増えていることも分かった。懐かしい気持ち、もしくは新鮮な気持ちで読んでもらえれば、とてもうれしい。
最後の決め手は、みかん坊や選手がプロ引退発表動画の中で”日本一決定戦を復活させたい”と発言したこと。この連載は僕なりの援護射撃のつもりだ。2017年の実際の”日本一決定戦”をふりかえりながら、どんな”日本一決定戦”が理想的なのかについてアイデアを膨らませてみるのも面白いと思う。
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0.連載の構成
今考えている連載の構成は以下の通り。クラロワ公式のYouTubeアーカイブとファミ通Appの当時の記事を中心に、この順番でまとめていく。これを週1回のペースで公開していけたらと思っている。
今回は(1)イントロダクション編ということで、大会のシステムだったり、ルールだったりの全体に共通する部分について説明をする回だ。仕組みだけ知りたい方は今回だけで事足りると思う。次回以降は、個別大会の結果を整理することが中心になる。
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1.「日本一決定戦」の全体像・年間スケジュール
「クラロワ日本一決定戦」(Clash Royale Crown Championship 2017, CRCC 2017)とはいかなる大会だったのか。まずは、その全体像と年間スケジュールから確認していこう。
「クラロワ日本一決定戦」は単発の大会ではなく、複数の大会から成る1年を通じた大掛かりな公式イベントだった。
まず、誰でも参加可能な”日本一”を決める大会が5カ月連続で開催される。そして、そこで獲得したポイントの上位者30名とワイルドカード枠2名の計32選手が、秋の「THE FINAL」を舞台に”真の日本一”を決める。「THE FINAL」の勝者は日本一の称号だけでなく、冬にロンドンで開催される「世界一決定戦」への出場権をも手にすることになる・・・。
少年心をくすぐる壮大なストーリーだ。夢しかない。
なぜこういう大会設計に至ったのかについては、企画から運営までを手掛けたウェルプレイドの高尾氏が最高のコラムを世に出してくれている。感謝!
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2.月別大会
つぎに、「クラロワ日本一決定戦」で5カ月連続で開かれた月別大会について見ていこう。
月別大会は、3週にわたる予選会と決勝大会の4段階構成になっていた。
予選会はカスタム大会(現:プライベート大会)を使用する関係上、ゲーム内でカスタム大会が解禁される「プレイヤーレベル8以上」が参加条件となったが、それさえ満たせば誰でもエントリーができた。当時の1000人大会は、優勝者報酬が「カード:2000枚、ゴールド:14000」と豪華な反面、開催費用として10,000エメラルドが必要なシステムだったため、参加すること自体がなかなかの狭き門となっていた。そんな1000人大会に確実に参加できるだけでも、初心者や中級者にとってこの予選会には魅力があった。
決勝大会は8人のファイナリストによるトーナメント戦で、その模様はクラロワ公式の番組としてYouTubeでライブ配信された。この放送はプロの大人たちが本気を見せた造りだけのことはあって、”あの番組に俺も出たい”と若いプレイヤーたちがどんどん本気になっていく好循環を生んでいった。
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3.ワイルドカード
「クラロワ日本一決定戦」では、「THE FINAL」の参加者32枠中のわずか2枠ながら、”一発逆転”の”ワンチャン”枠としてワイルドカードが設けられた。
ワイルドカードの仕組みは、まず8月に「日本一決定戦チャレンジ」と題した20勝チャレンジがあり、これをクリアできたプレイヤーだけが10月の「ワイルドカード争奪戦」という1000人大会に招待された。ここで上位2名に入れば「THE FINAL」へ出場できたのだ。
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4.THE FINAL
5回にわたる月別の”日本一”を決める大会の総決算が、”真の日本一”を決める大会、秋の「THE FINAL」だった。
「THE FINAL」は日本の精鋭32人によるノックアウトのトーナメント。予選DAY1・DAY2の2日間でまず24人が振り落とされ、勝ち残った8人が最終日「THE FINAL」でスタジオに勢ぞろいし、ライブで直接雌雄を決した。
”対戦する両選手がスタジオにいて、試合中もカメラの映像で彼らの様子を見ながら試合観戦できる”のは今では当たり前の試合中継光景になっているためあまりピンと来ないかもしれないが、2017年当時の日本クラロワ界でそれは全く一般的なことではなかった。
「クラロワ日本一決定戦」が、最後の最後の「THE FINAL」にして初めてそれが実現させたこと。それは、モバイルesports的にも、モバイルesports観戦文化的にも、エポックメイキングな”第一歩”であった。
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5.関連大会1:アジアカップ
”アジアカップ”という通称で知られる「クラッシュアジアクラウンカップ」(Clash Asia Crown Cup 2017, CACC 2017)は、クラロワ初の公式アジア大会だ。個人戦で参加16選手中、日本選手の枠は4。その内訳は「日本一決定戦5月大会」の優勝者・準優勝者で2、日本のYouTuber招待枠で2となっていた。
あのけんつめしが大きく名を上げることになったのがこの大会だが、さらっと済ませるには語るべきことが多いため今回の連載ではこれ以上触れない。いずれ然るべき時にしっかりまとめたいと思っている。
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6.関連大会2:世界一決定戦
「クラロワ世界一決定戦」(Clash Royale Crown Championship World Finals 2017, CRCC WFs 2017)は、クラロワ初の公式世界大会だ。個人戦で、世界8地域の代表16名がロンドンの地に集まった。日本からは「クラロワ 日本一決定戦 THE FINAL」の優勝者・準優勝者の2人が招待された。
フチとアマテラスの2人がどういう相手とどういう舞台で激突しどんな大会となったのかについては、これまた語るべきことが多いため今回の連載ではこれ以上触れない。いつかきちんとまとめてお伝えしたい。
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7.公式番組
「クラロワ日本一決定戦」を語るうえで欠かせないのが公式番組の存在だ。
この公式番組は、日本一を決める試合の中継という”競技系”イベントのライブ配信でありながらスポーツ色よりバラエティ色が強めに作られていた。また、ゲーム解説の面でも”視聴しているプレイヤーが参考にするには”というゲーム攻略系の視点を重視したテロップやコーナーが多めに盛り込まれた。
時はesports元年の前夜。「どうすれば日本で受け入れられるesports番組が成立するだろうか?」と関係者たちが知恵を絞って決めたのだと思う。幅広い層を意識して明るく軽く、初心者中級者のスキル向上にもつながるようにと敷居は低く。焚きつけたいメッセージはたぶん1つ「次は君の番だ」。
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番組のレギュラー出演陣はこの6人。
番組MCエレキコミックの2人は、「クラロワ」というゲームに対してもプレイヤーたちに対しても自然な態度で接することで番組に”いい空気”を作った。オーバーな感情表現も視聴者の感情を増幅させるのに一役買った。藤井サチ、あっこゴリラは男子率99%とも噂されるクラロワ界に華を添えるとともに、初心者の視点を番組に持ち込む大事な役割があった。
実況StanSmithはこれがクラロワ実況デビューだったが(番組外では全国公式オフ会で盛り上げ役を既に果たしていたが試合実況としては)、そのesports経験と知見から”クラロワ実況をワンランク上のレベルに上げる”的な裏ミッションも託されていたように見える。解説ドズルは技術解説力だけでなく、日本クラロワコミュニティの兄貴分として番組に欠かせなかった。
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また、テーマソングにゲスの極み乙女。が採用されたことも大会の認知度アップに対して大きな効果があった。検索してみればわかるが、非ゲーム系の色々なメディアがこの話題を記事として取り扱ってくれたのだ。
(個人的な思い出としては、当時彼らを知らずスキャンダルの悪印象しかなかったため第一報を聞いて正直、えっと思った。ただ、曲を耳にしてあっさりと手のひらを返すことになった。作者は作者、作品は作品!)
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8.Topics
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1.2017年当時のクラロワのゲーム仕様
「クラロワ」は定期的にアップデートやバランス調整が加えられ新鮮なプレイ体験を提供できるようその姿を変え続けている。そのため、2020年現在と2017年当時ではゲームの仕様もだいぶ変化した。今後当時の動画を紹介していくうえで気になりそうな変化を挙げておく。
(1)カスタム大会(現:プライベート大会)
「2.月別大会」でも触れたが、当時のカスタム大会は開催に費用がかかる分上位入賞者の報酬は豪華だった。2018年12月のアップデートで仕様が変わり、開催費用は10エメラルド固定と安くなった代わりに報酬は廃止された。また、順位決定や対戦相手決定のロジックにも変更が加えられた。
(2)カードレベルの表記
2018年9月のアップデートでカードレベルの表記が変更され、レアリティに関係なく”大会レベルは9”とシンプルになった。それ以前はカードのレアリティによって表記が異なっていた。あくまで表記上だけの話だが、昔の動画を今見るとちょっと違和感を感じるかもしれない。
(3)バランス調整
これは挙げだすとキリがないので列挙はしないが、目立ったところだけ。
・エリクサーポンプ:2018/12以降バトル開始直後の手札4枚には入らなくなった。それ以前は”初手ポンプ”が可能だった。
・フリーズ:2018/12にリワークされた。以前は範囲ダメージなしだった。
・ゴブリンギャング:2017/06までは槍ゴブ3体の6人衆だった。(3→2)
・スケルトン:2017/06までは4体だった。(4→3)
(4)スタンプ(emote)
2018/06のアップデートで2020年現在の仕様になったが、それ以前は種類も限られていたし、今とはすこしちがうスタンプが使われていた。
・「ナイスゲーム!」(現在:グッドゲーム)
・キングスタンプの掛け声”ホレーイ!”(現在:別の掛け声に)
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2.2017年当時のクラロワesportsシーン
2017年当時のクラロワesportsシーンをひとことで語るなら、”黎明期”という言葉がふさわしい。2020年の今見ると疑問に感じるルールや場面もあるかもしれない。ただ、それは不備があったと怒るよりも、プレイヤーや視聴者やスタッフひっくるめて”ハイハイ”をしていた日本クラロワ界が”よちよち歩き”をはじめた瞬間だったと見るべきだろう。かわいいもんですよ。
・試合をする選手がスタジオにいない
・試合をする選手の片方がスタジオに居て、片方がオンライン
・選手とMC・実況解説が同じテーブルにいて会話できる
・スタジオの選手がヘッドフォンをつけていない
・BANカードって何ですか?
・全カード使用可能。もちろんリリース直後のカードも
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3.2017年当時のクラロワ界隈
2017年当時もクラロワ界はクラロワYouTuberたちが引っ張っていた。”これは筆者の観測できた範囲で”という但し書きで始めるけれど、その中心にいたのは、きおきお・ドズル・ハルパパ・ユキ旦那の4人。彼らはYouTuberであり、クランのリーダーであり、オンオフ企画の主催者であり、マルチな活動で界隈を盛り上げてくれていた。
群雄割拠する強豪クランのリーダーたち、Celicaの明日ミライ・Lively ColorsのStearらの活躍が目立ったのもこの時期だった。
▽にんにくさんのこのツイートは貴重。永久保存版だと思う
Next...
「クラロワ日本一決定戦」ふりかえり連載の次回は「5月大会」編。
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