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夜の本屋を冒険する

休日の夜にどうしても寂しくなってしまうことがある。
そんなときは、散歩がてら家の近くのお店に行く。
幸い近所には夜遅くまでやっているコンビニやリサイクルショップなどがある。
その中でもお気に入りは本屋に行くことだ。

その本屋は格別に品揃えがいいというわけではない。
むしろ、店員のやる気のなさが棚に表れていて、品揃えは並以下である。
そんな本屋でも、近所にあって夜遅くまでやっているというだけで、愛着が湧いてくる。

あてどなく店内を回り、気になった本をパラパラとめくる。
とはいっても頻繁に来ているし品揃えもよくないので、気になる本なんてあまりない。
でも、そんなふうにしていると、寂しかった気持ちがワクワクとしてくる。
ようは、本が並んでいる空間にいられるだけでもいいのだ。

私は本を可能性の塊だと感じている。
本には自分の知らないことが書いてある。
本は新しい世界への扉で、本屋にはその扉が無数に並んでいる。
休日の寂しい夜、明日からの仕事が憂鬱な夜。
そんな夜に本屋に行くことは、終わりかけていた今日の可能性を開くことなのだ。

そうして私は、新しく出ていたマンガや雑誌を買って家に帰る。
胸の中には小さいけれども確かな充実感がある。
それは、今日を妥協せず、夜の冒険に出たものへの勲章みたいな充実感なのである。

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