#短編小説
【小説】スパークリング・ライチ
田舎の夏は早くきた。プール掃除は君と僕、2人だけだ。
「先生もひどいよな。今日は土曜だってのに」
君は優等生だから先生にも信用されている。だからよく貧乏くじをひく。
「うん。今日は家でゲームしたかった」
僕はシャコシャコと、適当にブラシで擦る。
「だよな!早く終わらせて、帰ろうぜ」
君は濡れないように裾を捲る。浮き上がっているアキレス腱は、普段靴下で隠れているからだろうか白い。
シャツも第2ボタン
【小説】レモンサワー
「あの人にとっての一番は、きっと私ではなく、ユキくんなのよ」
乾杯をする間もなく、主役である私の友人はレモンサワーを一気に飲んだ。あんたの結婚祝いなんだから、せめて乾杯くらいはさせなさいよ、と婚活ガチ勢の二人はエアでグラスを掲げる。こんなだから結婚できないんじゃないかと思いながらも、私も独り身なのでお通しの白和えに箸をつける。
友人は、高校から付き合っていた彼氏と10年の交際を経てついに結婚した