ドラマとはなにか?①『アクションとリアクションのくり返し』
テレビドラマの脚本、映画、アニメ……どれも実績のない私がこのようなことを述べるのもおこがましいかと思いますが……
それでもいつか自分がそのステージに立ったときのために、『ドラマとはなんぞや?』というものを復習しておこうかと思います。
興味がおありの方はぜひ覗いていってください。
ストーリーとドラマの違い
ストーリーとドラマは似て非なるものであるとのことです。
では各々の定義を振り返ってみましょう。
ストーリー=『物語・筋書』
ドラマ =『脚本・劇』
概念だけを確認しても、イメージはつきにくいかと思います。
ここで日本で一番有名な物語『桃太郎』を引用し、当てはめてみます。
【ストーリー】
桃から生まれた桃太郎は、老婆老爺に養われ、鬼ヶ島へ鬼退治に出征、道中遭遇するイヌ、サル、キジをきび団子を褒美に家来とし、鬼の財宝を持ち帰り、郷里に凱旋する。
【ドラマ】
桃太郎「お爺さん、お婆さん。止めないでください。私は行きます!」
お爺さん「桃太郎や、危ないことはおやめなさい」
お婆さん「そもそもなぜあなたが鬼退治に向かわなくてはならないの?」
桃太郎「では、この鬼の悪行を黙って見過ごせと仰るのですか?」
桃太郎は一面焼け野原になった故郷の村を指さした。
お爺さん・お婆さん「……」
桃太郎「私なら、鬼の横暴を食い止められるかもしれない!」
桃太郎は家を飛び出そうとする。
桃太郎「……今まで大切に育ててくださって……ありがとう、ございます」
振り返らぬまま桃太郎はつぶやく。肩が震えている。
……これで違いが明確になったでしょうか。
書式の違いの他に、以下の2点に注意しながらご紹介しました。
・ストーリーはアクションのみ、
ドラマはアクションとリアクションのくり返し
・ドラマとは『相克・対立・葛藤』
ドラマはアクションとリアクションのくり返し
ストーリーの形式は様々ですが、中にはログラインなどの2,3行でまとめられた簡素なものも存在しています。先ほどの桃太郎がよい例でしょう。
ストーリーを端的に伝える際は、極論になりますが、
『主人公が何をした』かを語れば十分です。
先ほどの桃太郎の場合であれば、成長して鬼退治に行ったことですね。
ですが"物語の筋"を追うだけではドラマとしての"感動"は生まれません。
一方ドラマは、一部の例外を除いてはセリフや動作などの
『アクションに対するリアクション』を描くことを意識して作られます。
先ほどの桃太郎の例であれば、
・登場人物が代わる代わるセリフを述べること
・登場人物の動作に対して、受け手が明確に感情のこもった動作を返す
以上の二点がないまま、一方だけが長々とセリフを語っていたり、ひとりで勝手に喋って勝手に退場してしまうようなキャラクターの挙動は、特に狙いがない限りはとても見苦しいものになります。
ドラマにおいての感情は基本的に、セリフや動作によって表されます。
しかしセリフで、
「僕って今、お腹減ってるんだよねぇ」「だから牛丼屋にでも行こうかな」
とか口にされると、途端に白けてキャラが人間離れしてしまいます。
なのでキャラがセリフを口にしたり、動作を行ったとき、それに対してリアクションを返してくれる相手が必要となるのです。
・ストーリー『筋を延々と語るだけではストーリー』
・ドラマ 『アクションとリアクションをくり返して感情を表させる』
シナリオ(脚本)はドラマに属するものですから、もし制作したシナリオが『物語の筋を追っているだけのもの』であった場合は見直した方が良いです。
なぜならドラマの役割は『観客の感情を動かすこと』なので、"感情の露わになっていないストーリーでは感動してもらえないことは必至"だからです。
◆余談
私はデビュー作がエッチい作品でして、その際に初めてキャラクター同士の濡れ場というものを執筆させていただいたときのこと、シナリオの監修役であるディレクターさんからの一言。
「片一方だけが気持ちよくなってない?」
「エッチなことって、二人でするものだから」
「誰かが何かしたら、もう一方の感想を入れてほしいなあ」
との注意を受けました。
『アクションとリアクションを描くことがドラマ(シナリオ)である』という大前提は、どんな箇所であっても通底するのだなあと思い知らされた出来事でした。
今でもその教えを思い出しながら、濡れ場を描いています。
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