「厚意」が「残念」を生まないために
八幡浜市内を流れる五反田川では、毎年5月中旬から6月上旬にかけて、鯨橋という橋の周りを中心にホタルが飛び交います。
地域の方々が保護活動にも長年取り組んできた成果として見られる光景で、今年もたくさんの柔らかな光が明滅しながら乱舞する様を楽しめたのですが、一つ残念な事件がありました。
この期間中に行われたボランティア活動の草刈りによってホタルが減ってしまった、という事件です。
そもそもホタルが発光しながら飛び交うのは、交尾して産卵するための行動です。
ホタルは川べりの草木が作る日陰の苔に卵を産み付けます。
草むらはホタルが日中に身を休める“隠れ家”的な役割も果たします。
川に茂る草は、ホタルにとって大事な環境なのです。
静岡県の事例ですが、以下のような報道もあります。
今回の草刈りを行ったのは、五反田川の管理者である愛媛県からボランティア活動として管理の委託を受けた地元の事業者です。
地域のために良かれと思って行動してくださったことが、残念な結果を生んでしまいました。
とてももったいないことだと思います。
河川管理において、安全な親水環境の整備や治水、害虫対策等の観点から、草刈りを行うことはもちろん大切です。
しかしそれとともに、生態系保全の観点も併せて考慮することが望ましいと考えます。
国土交通省が定めている「河川砂防技術基準」にも、例えば以下のような記述があります。
人にとっても生態系にとっても良好な河川管理を行うために。
「厚意」が「残念」を生まないために。
例えば、行政からボランティア団体等に管理を委託する際には生態系を考慮した注意点や草刈りを避けた方が良い時期を明記したガイドラインを交付するなど、もっとできることはないものだろうか、と考えています。
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