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人が減るまちの人手不足

八幡浜でも夜の街の賑わいが戻りつつある中、ある問題が顕在化しています。
それは、代行運転サービスの不足。
感染症対策の外出抑制が行われていた間に事業者が廃業したり運転手が減らされたりしたため、回復しつつある需要に対してサービスの供給が追い付いていません。
週末の夜に代行運転を頼んだら1時間以上待つことになった、という話もたびたび聞きます。
車社会な地方都市の飲食業界にとって、なかなかに頭の痛い問題です。

誰か代行運転業を立ち上げてくれないものか、という声もよく耳にするのですが、そう簡単にはいきません。
開業には随伴車の用意など初期費用がそれなりにかかりますし、警察等での手続きも要ります。
そうしたハードルを乗り越えて開業したとして、ここは人口減少に伴って長期的には間違いなく需要の縮んでいく地域。
ずっと安定した利益を見込める事業というわけではなさそうです。
また事業主に限らず、運転手として勤めるために必要な二種免許を取得するためにも、それなりの費用と手間がかかります。
その費用や手間を補って余りあるほど実入りの良い職業だというような話は、今のところ私は聞いたことがありません。

関連する業種で、タクシーの運転手も不足しています。
やはり感染症対策期間のうちに事業者、運転手が減ってしまい、以前と比べて予約が取りにくくなった、という声をよく耳にします。
顔見知りのタクシー会社の社長さんは、COVID-19の前からずっと運転手の採用難で困っているとおっしゃっていました。
やはり人口減少で需要が縮みつつある中、ハローワークに求人票は出すものの魅力的な条件を提示できるほどの利益は上がらないそうです。
二種免許を持っている人の高齢化、二種免許を取ろうとする人が少ないことも心配されていました。

人が生活する以上、そのまちで誰かは担ってくれないと困る、という仕事がいろいろとあります。
そしてそうした仕事の中には、費用のかかる設備や専門資格を要するものもあります。
代行運転業やタクシー業はその一例。
設備や資格を揃えるための費用と手間に対して十分見合う利益や収入が見込めるのなら進んで担う人も現れるのでしょうけれども、業種によってはなかなか利益を見込みにくいものもありますし、さらに地域の人口減少による需要の縮小が加わった結果、容易に解決し難い人手不足が生じています。
ほかにも介護や保育、教育分野の人手不足は報道でもよく目にしますし、顔見知りの社長さんからは自動車整備士が足りない、というお話も伺っています。

人が減るまちで、人が暮らすために必要な仕事の担い手をどう確保するのか。
確保するために何ができるか。

いまの日本社会にとってとても切実な課題だと私は考えています。

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