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小説

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鏑木が執筆した小説(主に、短編と掌編)をまとめました。
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#小説

【短編小説】 僕らの生命線

 あいつと出会ったのはいつだったか、思い出せないくらい前から一緒にいた。  20代も半ばを…

鏑木澪
10日前
17

【短編小説】 怒鳴り声

「ゴミは? 誰が出しに行くの」 「あなたが行ってよ、私はご飯作ったんだから」  朝食の席…

鏑木澪
1か月前
11

【掌編小説】 こーれーぐーす

 沖縄そばを、ご存知だろうか。  私は、今日の昼、初めてお店で沖縄そばを食べた。  店以…

鏑木澪
6か月前
10

【短編小説】 シーグラスは輝いて

 僕は普段、電車には乗らない。  都会では分刻みに電車が来るらしいが、田舎では平気で1時…

鏑木澪
7か月前
11

【短編小説】 彼と、中華料理屋の1時間

 待ち合わせに、閉店1時間前の中華料理屋を選んだのは、私の間違えだったと思う。  彼とは…

鏑木澪
8か月前
9

【掌編小説】 誰かと話したい

 本当に小さな出来事。  私の両親は「話したい人がいるなら会って話せばいいじゃないか」と…

鏑木澪
9か月前
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【掌編小説】 天然たい焼き

 たい焼きに決まってんでしょうが!  今川焼きもたい焼きも同じようなもんじゃないかと友人に言ったら、怒られてしまった。  高校時代、自転車通学をしていた私には関係のないことだったけれど、バス通学をしていた友人は、バス停から少し足を延ばして、たい焼きを買いに行くのが好きだったらしい。  お気に入りの具は、カスタードクリームだそうだ。  わかる。  あれは、かなり美味しい。  これについて、「だったらたい焼きじゃなく、クリームパンでいいんじゃないか?」と言われたら、私も

【短編小説】 翼の生えた妹

「鳥の頭を食べたら、翼が生えるって本当?」  僕の妹は、時々、変わったことを言う。 「そ…

鏑木澪
1年前
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【短編小説】 ”友達機能”

 友達ができた。  彼女と暮らし始めて、もうすぐ2ヶ月が経つ。  大学生になり、私は寮に入…

鏑木澪
1年前
34

【短編小説】 墓参りのハンバーグ屋さん

 一度も会ったことのない祖父の墓参りも、もう何度目だろうか。  墓参りの意味もわからない…

鏑木澪
1年前
17

【短編小説】 召喚してみた?

 召喚術。  いや、厨二病か。  我ながら、全力で自分の腹にツッコミを入れたいが、満腹時…

鏑木澪
1年前
5

【短編小説】 降って湧いた15万円

「もう叩き返しても、あの人にはわからないから」  母が自分の父親、僕から見れば祖父と仲が…

鏑木澪
1年前
31

【短編小説】 水たまりとおしゃべり

 晴れた日の水たまりが好きだ。  乾き始めた地面に残された水が、アスファルトの色を濃くし…

鏑木澪
1年前
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【掌編小説】 秋にまつりはするけれど。

 秋のお祭りには、特別な思い出がある。  お祭りなんて考えてみれば年中やっているので、それほど特別なものではないのかもしれない。  人がたくさん集まって、飲み食いして、夜中まで騒いで。  毎年その時期が来たら開催されているからなんとなく参加するだけで、もともとなんのお祭りか把握していない人も少なくない。  子供の頃、学校からの帰り道にある小さな祠によく立ちよっていた。  近所のお婆さんがたまに掃除をしたり、お花を変えたりしているようだったけれど、拝みに来る人なんて見