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十訓抄~あるまじきわざ

今年の福島県立高校の入試問題で、「十訓抄じゅっきんしょう」が使われていました。
十訓抄は割と入試問題の題材の定番なのですが、今のワタシの気分にぴったりだったもので。

中学生用の題材で使われた位なので、古典のレベルとしては結構易しめだと思います。
原文及び現代語訳は、地元の新聞に掲載されていたものを参考に、書きました。
分かりやすいように、ブロック分けしてあります。

原文

  1.  人はおもんぱかりなく言ふまじきことを口く言ひいだし、人の短きをそしり、したることを難じ、かくすことをあらはし、恥ぢがましきことをただす。これらすべて、あるまじきわざなり。

  2.  われは何となく言ひちらして、思ひもいれぬほどに、言はるる人、思ひつめて、いきどほり深くなりぬれば、はからざるに恥をもあたへられ、身果つるほどの大事におよぶ。みの中の剣は、さらでだにも恐るべきものぞかし。

  3.  またよくも心得ぬことを、悪しざまに難じつれば、かへりて身の不覚あらはるるものなり。

  4.  大かた口かろき者になりぬれば、「それがしにその事な聞かせそ。かの者にな見せそ」など言ひて、人に心置かれ、隔てらるる、口惜しかるべし。

  5.  また人のつつむ事の、おのづからあらはれぬるにも、かれ話されしなど疑はるる、面目なかるべし。

  6.  しかれば、かたがた人の上をつつしみ、多言をとどむべきなり。

現代語訳

<1>
ある人が言いました。
「人というものは、思慮が足りないものであり、言ってはならないことを軽々しく口にし、人の短所を悪し様に言い、相手がしたことを非難し、隠したいことをバラし、恥ずかしいことを問いただすものである。(だが)これらは全てやってはいけないことだ。」

<2>
自分では何気なく言い散らし、思い入れもさほどないのだが、言われた方は思い詰めて、怒りが深くなれば、思いがけず恥をかかされて身が破滅するほどの重大事にもつながる。
笑っている中に秘められた剣は、そうでなくてさえも、恐ろしいものである。

<3>
よくわかっていないことを悪し様に非難すれば、かえって自分の落ち度となるものである。

<4>
そもそも口が軽い人間というものは、「誰それに、そのことを聞かせるなよ。あいつに見せるなよ」と言われ、人から距離を置かれ、仲間はずれにされるものだ。残念であるだろうが。

<5>
また、人が隠していることが自然と漏れ聞こえてきた場合であっても、「あの人が関係しているだろう」などと疑われて、面目を失う。

<6>
したがって、各々方は人の身の上についての話を慎むべきである。発言には、注意するべきだ。


これは、現代にも通じる話ではないでしょうか。
十訓抄が成立したのは鎌倉時代と言われていますが、ネットなどない時代においても、このように言われていたのです。
まして、全世界に向けて情報発信するインターネットは、原則として「誰でも発信・閲覧が可能」。

それを忘れて自分は言いたい放題(書きたい放題)書いていたのでは、やはり人からの信頼は失います。

まあこのタイプの人間は、間違いなく他の人の恨みを多大に買いますよね。
特に、入試問題の注意書きにあった「笑みの中の剣」という言葉が、非常に印象的でした。
その意図するところは、
「うわべでは笑っていながら、心の中は悪意に満ちていること」

ワタシも、結構「大人の態度」でやり過ごそうと無理を重ねてきた結果、結局、「著作権侵害での動画削除要請」のアクションにつながりましたから。

noteにおいても、「削除要請」の用紙は当の昔に受け取って、出そうと思っていたら「自主的に削除された」(動画の削除を受けてのことでしょう)ので、大っぴらにしなかっただけです。


※多分、これだけなら削除対象ではないはず。ホンモノのnote社から来たメールの一部のキャプチャです。

つまびらかに報告するとnote社にも迷惑が掛かる恐れがあるので、noteに違反報告をした証拠エビデンスは、これだけでご勘弁を。
まあ、こちらの言い分が認められたからこそ、noteから返信が来たわけですが……。

正に、現代版の「十訓抄」の実例とでも言うのでしょうか。
「口は災いの元」と言いますが、言って良いこと・悪いことの判別は、慎重に行いたいものです。

そして何度も書いていますが、「自分から手を汚した人」に、各種権利を主張する資格は、法律上認められていません。




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