【vol.12読書記録】わたしの「不幸」がひとつ欠けたとして/高橋メアリージュン

高橋メアリージュンさん。
好きな女優さんの1人。

そしてこの本を読んで大好きな女優さんの1人に。

自分にとっての幸せが何なのか
はっきりしていて芯がブレない女性。
強くてかっこよくて憧れます。

本屋でたまたま読んで驚きました。
父親の借金があって6人家族。
うちと一緒だ、って。

でも違かったのは今でもその返済を続けてること。そして何よりも、その状況を家族みんなで乗り越えようとする気持ちがあったこと。

うちの父はプライドが高くて子供に弱いところなんて見せない人だったから。

もし、高橋家と同じく父の借金が家族のためであり、皆んなで頑張ろうと言ってくれる父だったら、父を嫌いになることも、長い間避けることもなく、もっと早く父と言葉を交わせていたかもしれない。

自転車で去っていく父の背中を見送ったあの日から10年以上経って再会した父は
他人から見たらお爺ちゃんそのもので
大きいと思っていた父は腰が曲がったせいか一段と小さく見え、わたしの記憶にある父親とは別の姿でした。

でもメアリージュンさんの言う通り、
貧乏生活があって家族の結束がより深まったのかもしれない。というのは確かにあるかもしれません。

おもちゃのお化粧セット、欲しかったけど言い出せなかったとき、4つ上の兄が気づいて、これ欲しいの?って、ずっと貯めていた少ないお年玉の中からお金を出してくれたり。

1番上の姉がバイトを始めた頃のクリスマスにはサンタがたまにやってくるようになったり。

まだ少し余裕があった年の誕生日にはケーキがあって。それを6等分して、チョコのプレートがあるやつとかちょっといちごが大きいやつがいいとか。そんなことで本気でじゃんけんして。負けてしまって悲しんでると末っ子の私に大きいのを譲ってくれたり。

絆と言ったら大げさかもしれないけれど、兄弟がいたから私は沢山救われて
あったかい気持ちに囲まれて生きてこれたのは確かです。

借金の取り立ての電話や何回も鳴るインターホン。
ドラマの世界程荒くはなかったけど笑
当時はトラウマになる位に嫌だった。

けど、それでも私が今笑えるのは
兄弟と母と皆んなで私を守って来てくれたからだと思う。

他人とは違ってとても近い存在。だからこそ難しい側面があるけれど、絶対的な居場所でもあるのかなと。

相変わらずお金はないけれど、ホールのケーキくらい、気にせず買える今。
嬉しいけれど、なんだか少し寂しくて。大人になってしまったことをとても感じる瞬間。

そして、どんなに高価なものであっても、あの時に食べたケーキ以上に美味しいと思うことは今後きっとないんだろうな。


「きっとお前は10年後に、せめて10年でいいから戻ってやり直したいと思っているのだろう?今やり直せよ、未来を。10年後か、20年後か、50年後から戻って来たんだよ、今」

確かに人間は今の時間を当たり前に今と思っているけど、もしこれが未来から戻って来た時間だとしたら、もっと時間を尊いものだと思えるかもしれません。

父が他界したあの日、人間には終わりが来ることを改めて実感しました。

つい先日まで話をしていた人が急にもう動かなくなる。目の前で見ていても実感が湧かないくらい、ふとそういう日がやってくるんだと知りました。

未来は誰にとっても明るく、尊いもの。
でもそれはすべて健康な体があってこそ成り立つもの。

父のこと、自分の体のこと。
色んなことがあって今すごくそれを実感しています。


うちがもし裕福な家庭であったら。

きっと人と比べて嫌な思いをすることは
もう少し少なかったかもしれないし、バイトをあんなに沢山することもなく、行きたかった専門や大学への進学も出来たかもしれない。

でもそうだったら。
その中で出会ってきた大切な人と出会いはなかったかもしれないし、勉強をしたいという意思はなく、ただなんのなく学校生活を送って時間を無駄にしていたかもしれない。


そう思ったらすべてのことにはやっぱり意味があって、全部が今に繋がってるんだなと思う。


辛い時はもう先なんか見えなくて
まっ暗い道が永遠に感じるけど、絶対そんなことないって知ってたら
結構無敵だと思います。

「すごく悲しいことがあっても、いずれは自分のストーリーになる」

Difficult? yes. Impossible?...no.
それは難しいこと?はい。
それは不可能?...いいえ。

素敵な言葉たち。

迷った時はこの言葉を胸に。

おススメ度…★★★★☆


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