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競争闘争理論 サッカーは「競う」べきか「闘う」べきか

本の概要

著者:河内一馬/Kazuma Kawauchi
1992年生まれ、東京都出身。サッカー監督。18歳で選手としてのキャリアを終えたのち指導者の道へ。国内でのコーチ経験を経て、23歳の時にアジアとヨーロッパ約15カ国を回りサッカーを視察。その後25歳でアルゼンチンに渡り、現地の監督養成学校に3年間在学、CONMEBOL PRO(南米サッカー連盟最高位)ライセンスを取得。帰国後は鎌倉インターナショナルFCの監督に就任し、同クラブではブランディング責任者も務めている。その他、執筆やNPO法人 love.fútbol Japanで理事を務めるなど、サッカーを軸に多岐にわたる活動を行っている。
内容
なぜ、唯一サッカーだけは、
世界の壁を越えられないのか?
団体競争/Team Competitionと団体闘争/Team Struggleは
「まったく違うもの」が求められるスポーツである
<目次>
はじめに
第一章 理論構築の種
第二章 分類の重要性と競争闘争理論(Competition and Struggle Theory:CST)
第三章 ゲームにおける「思考態度」と「思考回路」
第四章 「競争」「闘争」で保障されている権利
第五章 適切な精神的状態(集中と正しさへの思考態度)
第六章 個人で闘うか、団体で闘うか(チームワークについて)
第七章 非言語の「コミュニケーション」
第八章 スポーツと感情
第九章 なぜサッカーは「カッコよくなければならない」のか
おわりに

Amazon上の商品説明より

この本の問い

  • なぜ日本はサッカーで世界一になれないのか?

問いに対する答え

  • サッカーは『闘争』のスポーツであるが、日本人は『競争』のスポーツとして解釈をするという分類ミスをしているからである。そのことが、日本サッカーのピッチ内外において発生するあらゆる問題の「根本的原因」である。

競争と闘争
競争:異なる時間、または異なる空間においてその優劣を争うスポーツ
闘争:同じ時間、または同じ空間においてその優劣を争うスポーツ

競争闘争理論 サッカーは「競う」べきか「闘う」べきかより

答えの根拠

  • 日本人の思考として、練習は嘘をつかないという根強い考え方がある。これはまさしく「競争」のスポーツの考え方であり、「闘争」のスポーツにおいては他者から影響を受けるため、練習で行ったことが試合でできるとは限らない。闘争のスポーツにおいては技術を披露しあうゲームではなく、影響を与え合うゲームと認識しなければならない。そのため、自信をつけるには試合による成功体験のみであるが、膨大な練習→自信の考えが広く浸透している。

  • サッカーという闘争のスポーツでの集中とは「外的集中」であり、自らに影響を与える可能性のある要素をできるだけ取得することである。しかし、日本では「集中」という言葉からは「内的集中」を頭に浮かべることが多く、自分の技術の発揮などにのみ目を向けることが多い。

  • サッカーという闘争のスポーツでは「正解」の選択肢などはなく、選んだ選択を正解にしていくスポーツである。(結果)しかし、日本ではサッカーにおいても「正解」の選択肢を選び続ければ結果が出るという思考がある。

具体的にどうすべきか?

  • サッカーを「闘争」のスポーツとしてとらえた時、技術を披露しあうゲームではなく、「影響」を与え合うゲームと理解することが必要である。

    • そのうえで、各個人で「自らに影響を与える可能性のある要素」を全て把握することは難しく、そのためにジェスチャーや声などによる「コミュニケーション」が重要である。

  • サッカーでは攻撃と守備という「ボールがどちらにあるか」という権利だけでなく、攻撃と守備においても「意志」が内包しており、その意志の変化を起こす「合図」を「人」「空間」「ポジション」「相手の振る舞い」などに設定しておくことで意思疎通を図ることが有効である。

    • 4つの意志(攻撃、攻撃→守備、守備、守備→攻撃の4局面それぞれにおいての内包される意志)

      • 早く相手ゴールに向かう

      • ゆっくり相手ゴールに向かう

      • はやく相手ボールに向かう

      • ゆっくり相手ボールに向かう

  • ゲームモデルによって、どの意志を持ってプレーするのかをある程度定めることができる。

    • 良い選手とは、自分の「意志」を言語やプレーで周りに伝えることができる選手。

  • また、「感情」を表出させるコミュニケーションによって、ある状況に対する自分の認識を伝えることが選手、指導者共に重要である。

    • 危険な状況の時に「怒り」という感情を表すことで周りに危機感を与えるなど。


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