"やさしさ" は罪を犯した少年たちの人生をも変える。 全国初のチャレンジ!
これは、犯罪を犯した人の再犯率。なんとふたりにひとり……。罪を犯した人がもう一度やり直せる社会になっていないのではないだろうか。
わたしは、社会福祉協議会で働くコミュニティワーカー。法務教官でも保護司でもないけど、いま、必死で少年院の少年たちの立ち直り支援をしています。
キーワードは、やさしさ。
背景 ー手を差しのべる対象としてー
下の表は、法務省が調べた、少年院入院者の家庭環境。(『犯罪白書』2020 法務省 )
なんと、男子の約3割が虐待を受けた経験があるんです。それもあくまで自己申告での数字。女子になると半数を超えてますね。
さらに、下の表は、家族構成。実の父母がいる少年は3分の1だけ。残り3分の2は母子や父子家庭など。
(被害者感情にも配慮した上で)少年たちは"生まれつきの悪人"なのではなく、家庭や社会の "やさしさ" に包まれなかった子たち。本来は手を差し伸べられるべき存在だ、と感じています。
Yahoo!と法務省コラボ『アイデアソン』
「刑務所・少年院×立ち直り・地方創生アイデアソン」
すごいですね、この取り組み、Yahoo!と法務省の共催。現代版、黒船のペリー来航。いろんな連携が進んでる。
少年の立ち直りや、少年院・刑務所が地域に役立つ方法などについてアイデアを出し合い、優れた案を実行に移そう、というこのコンペで、ある法務教官の発案「役立ちたい」が採択されました。
この教官が勤務していたのが、私が働く市に所在する少年院だった、ということから、いろんな運命の糸が繋がっていきます……
社会福祉協議会とのコラボ『役立ちたい』
2019年の夏、私がこの教官や学寮長から相談を受けたのが、ファーストコンタクトでした。私は、
と即答! 社会福祉協議会(略して社協)は、地域の困りごとや、まちづくりの活動者をたくさん知っています。コミュニティワーカーは、"何かしたい"の想いを育て、つなぎ役となる専門家です。初めての試みだけど、きっとうまくいく、そんな確信がありました。
こうして、新たな取り組みがスタート。
初めての少年たちとの対面と対話。
今までの奉仕活動と違い、少年たちの『やりたい』という主体性を大切にしよう、と教官と約束し、まずは院内でのグループワークに向かいます。
入口でカメラや携帯は没収。厳重な電子ロックがかかったぶ厚い扉を何度も通過してようやく少年たちと対面。
うわ、びっくり!これぞ直立不動な素晴らしい姿勢。声変わりしたばかりの低くて力強い声たちが私の鼓膜を突き抜け胸の奥にまで飛び込んでくる。
礼儀正しい…実は少しの不安や恐れを持ってました。少年たちよ、ごめん。
初対面の衝撃を抑えつつ、短髪に整えられたさわやかな少年たちとボランティアについて考えるグループワークを開始。
彼らにいろんな問いを投げかけ、みんなで考えあい、意見を出し合いました!
概ね中学生から高校生の年頃の少年たち。緊張しながらも真剣に考え、時にはにかむ笑顔にあどけなさが残ります。
全国初の少年院生がボランティアグループ設立
こうして、『僕たちがこのまちの困りごとを解決します!』と、ボランティアグループを設立!
大阪日日新聞(2020年1月28日記事)
やる気に溢れる彼らは、困りごとを募集するチラシを手作り!
地域の困りごとと少年の想いが合わさる時
私は、地域でまちづくりに取り組んでいる人たち、困りごとを抱えている人を支えるソーシャルワーカーなどにこのチラシを手渡していきました。
こうして、「ぜひ手作ってほしい!」の声を受け、2020年からいよいよ活動がスタートしました!
活動では、少年たちの頼もしい活躍、嬉しいエピソードも満載。
順次、彼らのひたむきな取り組みの様子をnoteで発信していきますのでぜひ応援してあげてください!
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※2020年度は法務省モデル事業として実施。今年度からこの仕組みが全国展開されています
※写真は法務省パンフレット『少年の立ち直り ✕ 地方創生のススメ』[PDF]より
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