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びっくりのインド ● 33 ● 怖い夜と蚊取り線香

寝つきの良し悪しは遺伝子の影響が大きいと私は思っている。
うちの家系は一人残らず寝つきが非常に良い。

私はベッドに入ってから眠りに落ちるまで 10 ~ 15 秒だ。
スマホを充電しようとケーブルに手を伸ばしたらそのまま寝てしまい、冬は片手だけ冷たくなって夜中に目が覚めるときがある。

目覚めはいつもスッキリしていて、体がだるいとか重いとか感じることもない。

その私が、インドの民家に住み始めてから数日は、寝るまでに 5 分くらいかかった。
その理由は、怖かった からだ。

まずは窓の造り。

2008.11.30 ベッド。
そもそもカーテンを掛けるようにはできていない窓。
外からベッドが丸見えでカーテンがないというのは
居心地が悪い。

窓の左にあるカーテンは、前任のチヨコ先生がロープを張って無理矢理に取り付けたものだ。
「カーテンを買いに行ったけど売ってなくて、母に頼んで日本から送ってもらった」 と言っていた。

私にはアメリカの生活で癖になっていることがあって、それは 『 家にいても常に危険 』 だと思ってしまうことである。
自分が寝ている様子が外から丸見えだと、それは、見られる気持ち悪さよりも 「 もし夜中に窓の外に知らない人が立っていたら、撃たれる可能性がある 」 ということを意味する。

私の部屋が 4 階建ての家の屋上にあると言っても、家の周りにはヤシの木がたくさんあり、その気があれば昇ってくるのは簡単だ。
インドの家はすべての窓に鉄格子があって、屋上から家に入るためのドアにも鍵がかかっている。
誰かがわざわざ屋上まで来るとすれば、それは家に侵入するためではなく、目的は屋上の部屋だ。
けれど特に私が狙われる理由もないから 「 大丈夫なはず 」 と自分に言い聞かせた。

これで心配が 1 つ薄れた。
あとは 蚊と小動物 だ。

インドの窓には網戸がない。
夜に小さな虫や蚊が入ってこないのか?
さらに、鉄格子はトラを防げても小動物や蛇は簡単に入ってこれる。
夜行性の小動物に噛まれるとか、蛇が部屋に侵入してきて噛まれるとか、そういう可能性はないのだろうか?
インドの家屋にコブラが侵入した 映像を幾つか見たことがあり、夜中にぬるーっと蛇が部屋に入ってくるところを想像すると、さすがに怖かった。

ただ、窓を閉めて寝たところで天窓がある。
天窓と言っても窓がなく、雨が入ってこないように工夫されているけれど、ぽっかり空いた穴に鉄格子があるだけだ。
動物や蛇の侵入経路となり得る。

そうなると危険性についていくら考えたところで仕方がない。
インドに慣れるしかない。
寝るときは窓を開けたままにしてバンガロールの涼しい風を入れることにした。

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夜は、片側の窓を閉めてカーテンも閉じた。
もう片方は少し開けたまま寝た。

せめて 「 蚊だけはなんとかしよう 」 をしようと思い、窓の鉄格子のすぐ外に蚊取り線香を置いた。

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日本でも最近よく売られるようになった
大きな蚊取り線香と同じくらいのサイズ。
日本のよりは太い。
夜に点けると朝までもつ。

インドの蚊取りグッズは凄まじい効果がある。
この蚊取り線香のお陰で部屋に蚊がいたことは一度もない。
ひょっとすると、この煙のお陰で他の虫や小動物も入ってこなかったのだろうか。
あるいは寝ていて気付かなかっただけで、本当は蛇が部屋に入って勝手に出ていっただけかもしれない。
とにかく噛まれたことはない。
小動物が侵入した形跡もない。

数日すると、寝る前の緊張もなくなって、というより諦めて、ぐっすり眠れるようになった。

どの国でも寝るときは危険が伴う。
しかし長く生活した日本やアメリカでは 注意すべきこと が分かっているから安心して寝られる。
海外では、どこを注意すれば、どれだけの安全性が確保できるか分からないから、やはり最初は気を遣う。
こういうとき、私は慣れるのが早くて本当によかったと思う。
寝つきの良い家系に感謝する。

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