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【Keio Fashion Creator×白瀧呉服店】呉服店店主に聞く「和服文化の魅力」

9月13日(水)に和服文化の魅力に触れることを目的とした作品撮りとインタビューを行った。企画の実施にあたっては、都内最大級の呉服店として今年で創業170年目の伝統と歴史を重ねる白瀧呉服店さまに全面的にご協力いただいた。本記事では、白瀧呉服店店主 白瀧 佐太郎様に行ったインタビューの様子を取り上げる。
代々続く呉服店を継承していくことへの心象や、現在の和服文化をどのように捉えているかをお聞きした。


-白瀧呉服店を受け継ぐと決めたきっかけや時期について知りたいです。また受け継ぐと決めるまでに葛藤などはありましたか。



受け継いだ時期は20年前で、私が30歳になった時です。きっかけは、元々自分が建築デザインの仕事をずっとしていて、その中でもランドスケープデザインと言って、風景とか街並み、分かりやすく言うと外国の風景を作る仕事をずっとしていました。風景や街並みにも歴史や伝統が築かれていて、そのデザインをしてる人たちもいっぱいいます。一方で、自分に何ができるかなって思った時に、自分の実家の呉服屋さんで仕事をすることを考えました。自分の呉服屋さんをないがしろにするのはそもそもどうなのかと思っていました。同業に同じ考えの人っていっぱいいるかなと思ったけど、気持ちの部分で伝統や文化を作るっていう人ってあんまりいないだろうなって思っていました。(今回の企画の中で)成人式の話をしてくれたけれども、お母さんやおばあちゃんが着た着物を活かして次の代に繋いでいきましょうとか、着たものじゃないとしても、和服の伝統とか文化を日本人としてデザインしていくっていうことは、それはそれで面白いのかなと思いました。



-代々続く呉服店を継承していることについて、現在の心象を教えてください。


そこは正直あまり考えてない部分もあったりしています。多分一般的な全てのことも同じだと思うんですけど、誰か尊敬する人がいて、その人を目指そうと思ったとき、その人だけに限定するとそれ以上には良くならなかったり、そこから先を考えることができなくなるかなと思っています。 和の文化って斜陽産業でもあるから、伝統や歴史を踏まえた上で、1つなにか新しいことに挑戦してみたり少し楽しいことをしようかなと思っています。「このカタチを守んなきゃいけない。」となってしまう時点であまり良くないと思っているので、荷が重い感じはあまりもうないですね。


-和服の着用が一大イベントならではのものになりつつある風潮についてどう思いますか。やはり和服を日常着として取り入れてほしいのでしょうか。


普段楽しむ着物に関しては、世の中の人全員が、とは思わないです。それこそ色々な趣味の人がいますから。ただ、その中の1つの選択肢として、和服を着ようと思う人がいてもいいかなと思います。例えば、全員が和服を結婚式に着て欲しいとは思わないです。ただ間違いなく着た方が喜ばれるということは知っているんです。だって、どう考えたって和服の方が手間がかかるじゃないですか。あの人のために着ていってあげたいという思いが、すごく式を良くするはずです。ですが、「着物なんか着ないよ。」という人に対して説得しようとは1ミリも思いません。その代わり、 こういった機会や他のイベントを通して、「和服、思ったより悪くないかな。」と思ってもらえる種は蒔きたいと思っています。

-最近呉服をカジュアルに着こなすことを目的としたコーディネートが提案されているのをよく目にします。本来の和服の着方や、長年引き継がれてきた和服の伝統文化がある中で、このような斬新なスタイリングを通して和服文化を後世に残そうとする試みが行われていることについて、どのように思いますか。


嬉しいことだと思います。そもそも和服の着方が200年前と同じかというと違うんです。和服の着方自体も少しずつ変わってきていますから。ただ一方で、自分が生きている中では、革命的に全然違う概念が入ってくるってことは、少しずつ変わってくるとは思いますが、起こりにくいかなと思います。浴衣とかでも短く着る方や首元を大きく抜く方もいますが、それがスタンダードにはなりにくい気がします。
提案はするけど、「いや、私はこうしたい。」と言われたら、別にそれを否定するつもりはないです。色々なことを試されてもいいと思います。



2023.11.14
MARINA TAKATA / SAHO MATSUSHITA (INTERVIEWER)


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