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第25回 受発注システム「Jr」を独自開発!その開発秘話に迫る!【2】 ~チームが歩んだ、試行錯誤の1年間 ~

株式会社 敬相で広報を担当している寺門です。敬相が独自開発した【受発注システム「Jr」】。その開発ストーリー第2弾の今回は、開発当時の裏話を中心にお届けしていきます。

「使いやすさに徹底的にこだわる中で、これまで見えてこなかった敬相の新たな一面が見えてきた」と語るのは、【受発注システム「Jr」】の開発チームのリーダーでありセールス本部長も務める中島信幸さんです。

こだわったのは、「社員の声」を活かしたシステム開発


――さて、今回は「受発注システムJr」の開発当時のお話を中心にお聞きしていこうと思うのですが、率直にゼロからシステムを作り上げるのって大変でしたか?

中島:ものすごく大変でした(笑)。「PCスキルやITリテラシーの異なるメンバー全員が等しく快適に活用できるシステムなんて、本当にできるのだろうか?」と、毎日不安でしたね。

2021年7月に「受発注システムJr」の開発チームが発足されてから完成までは、開発メンバーみんなが同じ気持ちで、毎日を過ごしていたんじゃないですかね。

私自身、夜、ベッドに横になっても、ついつい「商品の選択方法はこのままでいいかな?」「もっと使いやすくするアイデアはないか?」と、考えちゃって(笑)。この1年間は、つねに頭の中で「受発注システム」について考え続けていました(笑)

―― 開発はおもに、新社屋で行われていたんですかね?

中島:はい。「Jrの開発室」はもちろん、会議室やミーティングスペースなど様々な場所で、ああでもないこうでもないと、いつもアイデアを出し合っていました。

開発メンバーでの打ち合わせの様子

メンバーは私を含めて5名の少数精鋭部隊。スタートは2021年7月ですが、ITに強いメンバーが2021年春頃には受発注システムの大枠を作りはじめてくれていたので、2021年7月の開発スタートから約1、2ヶ月というスピード感で「ver.1.0」を完成させることができたんです。



――そこまで急いだ理由は、業務体制を改善しなければいけなかったということでしょうか?

中島:もちろんそれも大きな理由ではありますが、一番は、一刻も早くフィードバックをもらうためです。 「ver 1.0」が組み上がった時点では、完璧なシステムが完成したとはまったく思っていませんでした。むしろここからが本当の勝負だなと。

我々開発メンバーは「Jr ver1.0」はあくまで受発注システムの「雛型」で、この雛型を社員に一度使ってもらうことで、現場の生の声を汲み取っていって、そこから改善を図っていこうと考えていたんです。

だから、全国にある敬相の各拠点で実際に使ってもらい、意見や感想を集めていく計画でした。ところが、ある拠点で早々に、システム上、大きな支障となる問題が見つかったんです……。

「ver 1.0」で検証・改善を重ね、右肩上がりにユーザビリティが向上


―― もう少し具体的にお聞かせいただけますか?

中島:2021年8月に東京で「ver 1.0」の試験運用を終え、大阪支店での試験運用を行っていたときです。どんな問題がでたかというと、システム内のバグなどではなく、大阪支店の業務の進め方にシステムがマッチしていなかったんですよ。

大阪支店は他拠点に比べて、スピーディな対応を求めるお客様が多い傾向があり、迅速に業務を行う文化が根付いていたため、「ver 1.0」の使い勝手では、まったくもって業務効率化に寄与しなかったんですよ。

――スムーズに行うためのシステムのはずなのに……。

中島: 「ver 1.0」のJrには、システム内に商品情報が登録されていませんでした。そのため、注文が入るたびに手入力作業が発生します。

もしお客さまから急ぎの注文が入っても、タイプミス等に気を配りながら商品情報を入力する必要があったんです。

注文のたびにタイムロスが発生し、結果的にお客さまに商品をお届けする時間が遅くなってしまいます。それだと、むしろ従来の手書き方式のほうが早かったんですよ。

―― 大阪支社では相当なスピード感で取引が行われていたんですね。

中島:他拠点と比較しても、大阪支店のスピード感は群を抜いていました。しかし私にはむしろ、大阪のスピード感にこそ”敬相らしさ”が表れているように思えたんです。

そこで思い切って、開発を一旦ストップさせる決断をしました。東京を基準として構築してきたシステム設計を、大阪支店を基準にして、Jrの再設計・再構築するためです。

――ずいぶん思い切った決断ですね。開発チームのメンバーも驚いたのではありませんか?

中島:たしかに私がその決断をした瞬間は驚いていましたが、すぐに賛同してくれました。

問題があるとわかっているシステムを基準にして、システムの改善を重ねたところで、良い結果につながらないというのは、明確でしたから。

おそらくこのときにストップをかけていなければ、今でも「受発注システムJr」は完成していないと思います。

思い切りの良さが功を奏して、再開発を始めてから1ヶ月後には、もう大阪の業務をベースにした新バージョンのJrが完成していました。

ーー 2022年1月に「受発注システム Jr」の業務利用開始のお知らせが社内メールで来ていて、とはいえまさか、そんな大変な開発エピソードがあったとは思いもしませんでした……。今年の1月から社内での運用が開始されていますが、一番気になるのは社員の反応です。反響はいかがでしたか?

中島:受発注システム導入を歓迎してくれる社員がいる一方で、戸惑う社員が多くいたことも事実ですね。大きく業務のやり方を変えるのですから、無理もありません。

導入直後は社内を見渡しても、心なしか社員の表情が曇っているような気がしていました……。朝のミーティングで「Jrに対する意見・感想を聞かせてほしい」とアナウンスしても、なかなか我々開発チームにまで、リアルな声は届いてきませんでした。どうすればいいのか本当に悩みましたよ。

―― とはいえメンバーの正直な意見がわからないと、真の意味での社内DXにはなりませんよね。どうしたんですか?

中島:全国の支社に足を運んで、泥臭く、コミュニケーションをとっていきました。社歴が長い気心が知れているメンバーと食事をしに行ったりして、忌憚のない意見をもらいました。

彼らは遠慮なく不満や感想、そして支社内での空気感を教えてくれたので本当に助かりました。おかげで、社員の生の声をたっぷり盛り込んでバージョンアップした「Jr」が2022年5月に完成したんです。


あの手この手で、「受発注システムJr」の使い勝手を徹底強化!

―― バージョンアップしたJrの反応はいかがでしたか?

中島:もちろん「ver 1.0」のときよりは、社員の反応は良くなっていました。ただ一方で「まだまだ改善余地はあるな…」と感じたのも事実です。

一部の社員には「細かな機能」や「操作方法」が正しく伝わっていない印象を受けました……。取扱説明書があるわけでもないので、無理もありませんよね。

そこで受発注システムを使う全国すべてのメンバーを敬相東京本社に招き、セクションごとに受発注システム Jrの講習会を開催したんです。

まる1週間かけてJrの使い方や活用法をレクチャーする「Jr 合宿」です

この講座を開催したことで、それまではステムの活用に意欲的でなかったメンバーも、使い方の理解が進むにつれ、表情が明るくなり、最終日には「参加して良かった!」「Jrって便利!」と言ってもらえたので、本当に良かったですよ。

――PCやITに苦手意識のあるメンバーは「アナログからデジタル化された」というだけでストレスを感じる方もいますしね。心理的ハードルを下げ、「Jrが日々の業務をする上で便利なテクノロジーなんだ」と理解してもらうためには、さまざまな工夫や努力が必要なんですね。

中島:そうですね。だから操作画面の使い勝手にも徹底的にこだわっているんですよ。いわゆるUIやUXという分野ですね。

人間ってどうしても普段のクセで、このボタンを押すとこうなるだろうと、勝手に思い込んでしまうものなので、逆にその思い込みを利用して、「このボタンを押したら、こう進む」とシステム自体を変えてあげれば、ストレスなく操作できますからね。

アップルのプロダクトなんかは、その辺りのUIが本当によくできているんですよね。だから、説明書がなくても使えてしまうんですよ。

「Jr」でも細かい操作性の改善を重ねていきながら、「誰でも使える」システムに進化させることが叶いました。約1年でこの状態にまで仕上げられたのは、大きな前進だと感じています。


【広報部 後記】

今回は「受発注システムJr」の開発時のエピソードをお話していただきました。それにしても支店が変わるだけで、そこまで業務の進め方に違いがあったのは驚きでした。社内DX化しなければ、一生気づかなかったかもしれないですね……。

次回は、「受発注システム Jr」とともにスタートした新しいチャレンジや、今後の展望について、引き継続き中島さんにお聞きする予定です。どうぞお楽しみに。


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