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音楽人生が100倍豊かになる、80年代の100曲

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出会う曲、出会う曲がどれも刺激的だった1980年代のニューウェーブ。 TikTokの影響で昔の曲が突然ヒットしたりしていますが、ここから意外にいい曲と出会えるかも。 毎週土曜更新
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スージー・アンド・バンシーズのハッピー・ハウス:時代がギュッと詰まってる

音楽人生が100倍豊かになる80年代の100曲 <その15> Siouxsie And The Banshees / Happy House (1980)出ました、ゴスの女王、スージー・アンド・ザ・バンシーズ(Siouxsie And The Banshees)のハッピーハウス(Happy House)。 いやぁ、文句なしにかっこいい曲。大好きです。 バンシーズはオリジナル・ゴスの重要バンドの1つと言われていて、けっこう重くてシリアスな音を出してます。 代表的なのが「

デッド・オア・アライブのユー・スピン・ミー・ラウンド:ハイパーディスコが止まらない

音楽人生が100倍豊かになる80年代の100曲 <その14> Dead or Alive / You Spin Me Round (1984)ピート・バーンズ(Pete Burns)率いるデッド・オア・アライブの全英No.1ヒットが、この「ユー・スピン・ミー・ラウンド」。 イケイケイです。 ストック・エイトキン・ウォーターマンというプロデューサーチームがユーロビートを生みだして世界のヒットチャートを席巻するのですが、その最初の成功作と言われている作品です。 EDMの元

キリング・ジョークのラブ・ライク・ブラッド:踊る暗黒大魔王

音楽人生が100倍豊かになる80年代の100曲 <その13> Killing Joke / Love Like Blood (1985)キリング・ジョーク(Killing Joke)はポスト・パンク時代に登場した重要バンドのひとつ。 英語で「Killing Joke」って、「死ぬほど笑う」みたいな意味なんですけど、もちろん楽しい音ではなく、暗くて重い音。当時の空気感を思わせる斜に構えた皮肉なネーミングです。 本能むき出し系の音で、個人的にはニック・ケイブ(Nick Ca

ヤズーのオンリーユー:エレクトリック・ソウル・バラード

音楽人生が100倍豊かになる80年代の100曲 <その12> Yazoo / Only You (1982)ヤズー(Yazoo)は、元デペッシュ・モード(Depeche Mode)のヴィンス・クラーク(Vince Clarke)とアリソン・モイエ(Alison Moyet)で結成されたグループ。 その特徴は何といってもポップなエレクトロニックの音に乗ったアリソン・モイエのソウルフルなヴォーカルです。 エレポップやテクノポップのはじめの頃って、モゴモゴ歌ったり、ボソボソ

スクリッティ・ポリッティのスウィーテスト・ガール:知的な甘さ

音楽人生が100倍豊かになる80年代の100曲 <その11> Scritti Politti "The Sweetest Girl"(1981) スクリッティ・ポリッティ(Scritti Politti)の「スウィーテスト・ガール(The Sweetest Girl)」は、私が生涯で1〜2番を競う名曲だと思ってるバラードです。 クールな音の中に、美しいとしか言いようのないメロディ。グリーン・ガートサイド(Green Gartside)の澄んだ天使のような歌声。 どこを

キュアーのラブキャッツ:かわいいゴス

音楽人生が100倍豊かになる80年代の100曲 <その9> Cure "The Love Cats"(1983) キュアー(Cure)です。とりあえず最初に大好きと言っておきます。 その昔、私もゴスみたいな格好してまして、ロバ夫(ロバート・スミス(Robert Smith)のことを日本のファンはこう呼んでます)を参考にしてました。スーツなのにスニーカーなんだ、とかね。 で、このラブキャッツ(The Love Cats)はキュアーの最初の全英トップ10ヒット。 ファース

ジョイ・ディヴィジョンのラブ・ウィル・ティアー・アス・アパート:シリアスの行き着く先

音楽人生が100倍豊かになる80年代の100曲 <その10> Joy Division "Love Will Tear Us Apart"(1980) のっけっから何ですが、ジョイ・ディビジョン(Joy Division)はリアルタイムで聴いていなかったんですよね。 イアン・カーティス(Ian Curtis)が死んだ後のニュー・オーダー(New Order)が大好きで、行き着いたというか。 この「ラブ・ウィル・ティアー・アス・アパート(Love Will Tear U

坂本龍一とデヴィッド・シルヴィアンの禁じられた色彩:何回聴いたかわからない

音楽人生が100倍豊かになる80年代の100曲 <その8> David Sylvian and Ryuichi Sakamoto "Forbidden Colours"(1983) YMOで原宿のたけのこ族を踊らせて日本のトップとなった後、坂本龍一が名実ともに世界的なアーティストになったのはこの映画「戦場のメリークリスマス(Merry Christmas, Mr. Lawrence)」のサントラだったのではないかと思います。 実際に数年後にこれまた出演してサントラもつく

ジェット・セット・ジュンタ:マサラ味のキャンディ

音楽人生が100倍豊かになる80年代の100曲 <その7> The Monochrome Set "The Jet Set Junta"(1983) ネオアコ(neo acoustic)文脈で語られることが多いモノクローム・セット(The Monochrome Set)ですが、私はどちらかというとXTCとかスクィーズ(Squeeze)とかのひねくれポップ系列かと思ってます。 曲調はキャンディ・ポップな感じでかわいいんですが、ところどころにエスニックというか無国籍な香りが

スロッビング・グリッスルのホット・オン・ザ・ヒールズ・オブ・ラブ:鞭がキモチイイ

音楽人生が100倍豊かになる80年代の100曲 <その6> Throbbing Gristle "Hot On the Heels of Love"(1979) その昔、インダストリアル・ミュージックというジャンルが流行りまして、直訳すると工業用音楽。電子的な音響で工業化社会を批判的に表現したノイズ・ミュージックみたいな感じです。 その巨人というか始祖といわれているのが、こちらスロッビング・グリッスル(Throbbing Gristle)です。 ノイズ系なので、ふつう

エコー&ザ・バニーメンのキリング・ムーン:美しすぎる月

音楽人生が100倍豊かになる80年代の100曲 <その4> Echo & the Bunnymen "The Killing Moon"(1984) 「The Killing Moon(キリング・ムーン)」はEcho and the Bunnymen(エコー&ザ・バニーメン)の最高傑作と言われている曲です。実際にヴォーカルのIan McCulloch(イアン・マッカロク)も「これに近い曲を持っているバンドは世界中どこにもない」みたいな発言してましたし。 エコー&ザ・バニ

PILのディス・イズ・ノット・ア・ラブソング:コマーシャルの向こう側

音楽人生が100倍豊かになる80年代の100曲 <その3> Public Image Ltd "This Is Not a Love Song"(1983) ジョン・ライドン(John Lydon)があのパンクのオリジネーターであるセックス・ピストルズ(Sex Pistols)を抜けてつくったバンドがパブリック・イメージ・リミテッド(Public Image Ltd)。通称PIL(ピル)。 ピストルズがやんちゃなパンクだったので、その続編をみんなが期待してたら、ノイズと

スミスのスティル・イル:鉄橋の下の切なさ

音楽人生が100倍豊かになる80年代の100曲 <その2> The Smith "Still Ill"(1984) 聴くたびに、いまだにジ〜ンときてしまうのがザ・スミス(The Smith)の「スティル・イル(Still Ill)」。 いまだに病んでます、みたいな意味ですね。 イギリスが1960〜1970年代の経済的に停滞していた時期を「イギリス病」というのですが、1980年代にサッチャー首相が経済的な復活のため「小さな政府」を目指すと言って歳出削減や福祉切り捨てを行っ

ニュー・オーダーのブルー・マンデー:ここからすべてがはじまった

音楽人生が100倍豊かになる80年代の100曲<その1> New Order "Blue Monday" (1983) どんな曲が好きかと聞かれて、真っ先に思い浮かぶのがニュー・オーダー(New Order)の「ブルー・マンデー(Blue Monday)」。 どのくらい好きかというと、私が死んだときはこの曲をエンドレスで流しておいて欲しいと思うぐらい好き。 ニュー・オーダーはイギリスのシェフィールド出身。元々はジョイ・ディビジョン(Joy Division)のメンバーな