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キリング・ジョークのラブ・ライク・ブラッド:踊る暗黒大魔王

音楽人生が100倍豊かになる80年代の100曲 <その13>

Killing Joke / Love Like Blood (1985)

キリング・ジョーク(Killing Joke)はポスト・パンク時代に登場した重要バンドのひとつ。

英語で「Killing Joke」って、「死ぬほど笑う」みたいな意味なんですけど、もちろん楽しい音ではなく、暗くて重い音。当時の空気感を思わせる斜に構えた皮肉なネーミングです。

本能むき出し系の音で、個人的にはニック・ケイブ(Nick Cave)がいたバースディ・パーティ(The Birthday Party)とかぶります。

ひとことで言うと「怖い」ですかね(笑)。

インダストリアルとかオルタナティブとかの形容詞を付けられる事もあります。

そんな暗くて重くて怖いキリング・ジョークが出した、スコーンッと飛び抜けたヒット曲がこの「ラブ・ライク・ブラッド(Love Like Blood)」です。

それまではマイナーというかアングラな音楽シーンでは存在感あったのですが、一般にはほぼ知られず。
それがこの曲で全英16位まで行きました。

なにしろダンサブルでかっこいいんです。

戦闘姿勢というか殺気はあまり変わらないと思うのですが、今まで地下組織でゲリラ活動していたのが、表に出てきて正面から戦闘はじめたみたいな感じ。

やや頭でっかちで動作が重かったのが、身体動かして軽快さを身につけたとも言えます。

ポスト・パンクって、だいたいみんな深く重く沈んでいくんですよ。たぶん商業主義的な音への反発だと思うんですけど。

思想的で重いのはそれはそれで良かったんですが、だんだん自分の重さに耐えられなってくるという事態が生まれて、それを打破したのがダンス=肉体の再発見だったのかなと、今なら分析できます。

正直私もキリング・ジョークの熱心なリスナーだった訳でもなく、この「ラブ・ライク・ブラッド」を聴いて「めちゃかっこいい! キリング・ジョークってこんないいバンドなんだ!!」って思ったのを覚えています。

ちなみファーストアルバムは名盤と言われていますが、かなり重いので最初は避けた方がいいでしょう。

はじめてキリング・ジョークを聴くという人は、この「ラブ・ライク・ブラッド」が収録されている「暴虐の夜( Night Time)」というアルバムがおすすめ。
他にも「エイティーズ(Eighties)」とか「キング・アンド・クイーン(Kings and Queens)」とかっこいい曲が多数入ってます。


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