資本主義と脱炭素

資本主義は、競争を後押しします。競争は勝者と敗者を生み、勝者は資本主義経済において潤い、自らが仕組み作りした新しいエコシステムで金と権力を持ち多くに人に幸を与えます。資本主義社会において、新しいフロンティアを探すことは大切で、新しいフロンティアでは、競争が比較的無く、ルールも比較的少ないです。先行者優位という言葉が生きるのも、開拓されていない土地や誰も踏み込んでない市場ではまだ競争が無いからです。これをブルーオーシャンとかレッドオーシャンと表現した本がありましたが、私は常にホワイトオーシャンを探求していますが、これは必ずペインがゲインとなるアイデアが無いと成立しないエコシステム探しです。

つい最近、某大学の学長さんと朝食をご一緒させてもらい、資本主義の中で生きる限り、経済は成長し続けなければならないし、一方で世界が注目しているSDGsは達成されるべきだることを色々な角度から協議しました。

小生は、約26年間エネルギー事業に携わっています。1995年から2007年までの12年間は、化石燃料を燃やし発電をして、特に東南アジア諸国経済の繁栄に貢献しました。また、化石燃料を燃やすことで二酸化炭素排出に多大に貢献したため、自分の人生で、自分自身の地球温暖化ガス排出量をオフセットするために、米国留学中に再生可能エネルギーに関するリサーチ、スタートアップ企業や再生可能エネルギーの新たな技術リサーチなどを行い、日本に帰国した後の2009年から再生可能エネルギーに携わりました。日本最大級の再生可能エネルギー会社で、太陽光発電事業開発チームのキックオフをさせてもらい、その後は一貫して二酸化炭素排出を減らす事業に携わっています。

二酸化炭素のデーターを集めてみました。世界の年間排出量は約335億トン。圧倒的に多いのが中国で約100億トン、次いでアメリカは中国の約半分の50億トン、そしてインド23億トン、ロシア16億トンと続きます。日本は世界の二酸化炭素排出量の3.2%程度の11億トンです。分かりやすい指標だと、富士山の重さが1,000憶トンなので、重量でいうと富士山の1/3の重さの二酸化炭素が毎年排出されている。体積で言うと1トンが半径5メートルの球体らしいので、この球が毎年335億個地球上に排出されている計算となります。

日本は2013年対比で2019年までに約15%二酸化炭素排出量が減少したデータがあります。再生可能エネルギー導入やLEDなど技術革新による省エネなど多くのアイデアや努力が実を結んだはずです。但し、世界の排出量の3.2%が日本ですから、地球規模の数値で考えると微々たるものです。昨年11月に英北部グラスゴーで開催されていた国連気候変動枠組条約締約国会議(COP26)で、「産業革命以前からの気温上昇を1.5度以内に抑えることを目指すことが合意されました。既に産業革命から1度の気温上昇らしいので厳しい設定です。ESG投資は現状世界でUSD1.7 trillion程度ですが、2050年までにUSD53.0 trillion程度となるとヨーロッパの経済の叡智が述べています。

注目しているESG関連スタートアップ企業

Xpansive:

二酸化炭素を独自のソフト・ハードウェア+人工知能のプラットフォームでトレードしている会社。圧倒的シェア保有

(2021年取引実績で1.4億トン/year, 電子取引マーケットの92%独占、電子取引マーケットはcarbon credit市場全体の35%程度:https://stockhead.com.au/news/worlds-biggest-carbon-credit-market-xpansiv-aims-to-be-next-big-thing-in-esg/

Aether :

空気中の 二酸化酸素から炭素を取り出して同社にてダイヤモンドを一気通貫で製造・販売。脱炭素により環境問題、並びに採掘に要する労働問題解決と社会課題を解決する。

https://aetherdiamonds.com/

資本主義は多くのイノベーションを生み人々の生活を効率良くし人類史上に類のない経済成長を成し遂げました。生活が豊かになったし、人口も劇的に増えました。但し、そのような煌びやかな視点とは別に環境破壊により人々の手に負えない問題も生み出しました。統計的数字ですが、例え温度上昇が1.5度に抑えられても、熱波に見舞われる世界人口は数億人単位で増え、洪水にさらされる世界人口も倍増し、生物の多様性も減るそうです。昆虫の6%、植物の8%、脊椎動物の4%の種の生息域が半減すると。サンゴの生息域は70-90%減少し、北極の夏場の海氷が消失することも起こりうると。海洋への変化は海水上昇のみならず、年間漁獲高が150万トン減少すると。日本の年間漁獲量は442万トン、1兆6千億円ていどですから、甚大な被害です。このような環境破壊をスローダウンさせる、もしくは止めるために資金の流れは必須。

資本主義は絶対に死なないと考えているし、私自身資本主義は大好きなので生き延びてほしいです。但し、今後新しいフロンティアを探す際に、国連が掲げるSDGsを沢山達成するビジネス・アーキテクチャを考えなければならないし、開発を素早く拡大するためには絶対にリソースが必要なので、ESG投資ファンドなど取り組む必要があります。今後世界で活躍する企業は、数字で会社や事業の成長を表しながら、目に見えない数値化できないESGの両輪で成長戦略が必要になってくるはずです。


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