ハードオフの事業承継
先日THE OWNER という月額経営者向サイトのオンライン講演で上記について聞きました。実は私が通わせていただいたとあるシステム会社がハードオフにMAで高値買収となったこともあり、興味がありました。
結論、ハードオフ山本太郎社長は順調に事業承継をしたな、という印象です。
太郎氏は早稲田大学卒業後、2年間ユニクロで働き、ハードオフへ。12年間社員役員を歴任し、昨年社長に就任。現在会長、社長と二人代表の体制を敷いている。
1972年創業。現在905店舗(うちFC385店、直営520店)
ブックオフはFCとして展開している。
1991年にバブル崩壊で倒産しかけたサウンド北越時代からハードオフへと転身し、
2000年ジャスダック上場、現在は東証一部上場。
2014年には沖縄も制覇して全国展開達成。
オープン日には200人くらい並ぶが、沖縄店のオープン日はお客さんの半分くらいがアメリカ人だった。これをきっかけに海外展開を模索。
現在CtoCビジネスのメルカリの台頭もあるが、リユースのすそ野が広がって、リアル店舗にもこれまで以上に多くの持ち込みがある状態。
リユースというのは日本独自の文化で海外にはもともとなかった。アメリカはガレッジセールという寄付で成り立っていることが多かったので、民間の参入は新鮮だった。
台湾店のオープンは通常200人が並ぶところに5000人が並んだ。
経営をしていく上で一番大切にしていることは「経営理念」
社会のためになるか、お客様のためになるか、社員のためになるか、会社のためになるか
という順でこの実現を考えている。
承継にあたっては、週に1回、あるいは2週間に1回は会長とランチを共にし、暗黙知の伝承を心掛けた。そして太郎氏が現在行きついているのが松尾芭蕉の言葉「不易流行」。変わらないもの、変えてはいけないもの(掃除、挨拶)も大切にし、流行りも取り入れる(デジタル化、アプリ)。
承継のタイミングについては、自分の考えが正しいと思い始めたらタイミングかと思っていたが、しばらくしてなるほど自分が間違っていたな、という経験も経て一つ乗り越えた時だった。それがたまたま12年だった。
自分の色の出し方については、ケーズ電気のがんばらない経営、経営はマラソンのようなものだという考え方に共感しており、とかくスタートダッシュも言われるが特段そういった気負いはない。従ってしばらく自分なりの施策も出すつもりはない。
カリスマの後は大変だと言われるが、息子目線からするとカリスマとは思わない。なんとなくそれほどプレッシャーもない。そういう意味では良い親子関係なのかなと思う。
事業承継とは理念承継だと思っている。36社FCがあるが、半分くらいが事業承継局面であり、ここにおいても理念が大切だと伝えている。そして感謝の気持ち。これがベースにないとだめだし、この気持ちがあれば結局うまくいく。
「チャットでの質疑応答」
〇究極的に親子仲が悪い場合は?(私の質問)
大事にしているものはなんなのか、親から学ぶ姿勢を大切にすべき。
〇社内統制と市場開拓の優先度合いは?
本来営業が好きなタイプだが専務とともに時間をかけて社内統制をやってきた。人の採用も重視してきた。
〇誰に一番感謝しているか?
創業者である父感謝、支えた母親、サウンド北越からのメンバー。ハードオフに変わるところで半分やめたが、残ったメンバーは今でも大活躍してくれている。
〇今後の数値目標は?
3年で1000店舗、ゆくゆくは2000店舗を目指す。
経常利益については額ではなく率。今は10%だが、15%を目指している。
【まとめ】
落ち着いた雰囲気と気負いのない感じから、極めてまともな人物なのだな、というのが伝わってきました。またメルカリ等の台頭で危機感を感じるべきだと予想していましたが、リアル店舗への更なる可能性、自信が伺えその点は意外でした。
好きな言葉として、「正面突破」ともおっしゃっており、極めてまともな印象を受け、会長の育て方がよほどよかったのかな、と同世代ながら感心しました。
ユニクロに就職したのも、父から言われたわけでもなく、何年やったら戻ってこいとも言われなかったとのことで、会長の話も聞いてみたいとも思いました。
1時間というややあっさりした内容ではありましたが、オンラインでの受講ということで自宅でビールを飲みながら上場企業の社長の話がリアルタイムで聞け、チャットで質問できる時代がやってきましたね。
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