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理念経営を効果的に定着・浸透を図るには・・・

企業理念・経営理念は、定めればそれでOKというわけではありません。ここでは、企業理念・経営理念の表現を企業理念と一括りにしてお話しします。
企業理念は、会社が目指すべき方向や仕事をするうえで大切にする価値観などを「見える化(明文化)」したものです。
一般的に、企業理念は、社員が入社した際には、すでに存在していて当たり前のものになっていることが多いです。
だから、社員は、自分の会社の企業理念は、元々こういうものだということを受け身で受け取っているだけです。
「受け身で受け取っているだけ」とは、会社から働きかけられているだけで、社員からは積極的に考えない、行動しない、消極的な態度になるということで、「知ってはいるけど、それをどのように自身に落とし込んで、何を目指して、仕事をする際には何を大切にして考え、行動すべきなのか」ということまでは浸透していないということが多くあります。
世の中の会社の多くは、そして、会社に勤める社員の多くは、ほとんどは、企業理念は知っている(知識としては持っている)けれども、それを実際に自身のものとして行動にまでつなげている人はほとんどいません。
そこで、近年の厳しいビジネス環境の中、企業理念を社員全員に定着浸透させて、会社全体・経営トップから社員が同じ方向を向いて、同じ感価値を持って『理念経営』が注目されています。
よく企業理念を、毎朝、始業前の朝礼などで社員全員で唱和している会社があります。これは、定着・浸透に有効ではないとは言いませんが、効果はあまり高くはありません。
ここで、毎朝の朝礼で企業理念を唱和していることが、なぜ効果があまりないのかについて検証します。
 
<年間の就業時間に対する朝礼で企業理念を唱和している時間の割合>
朝礼での唱和 3分・・・①
勤務日数 200日・・・②
企業理念に触れている時間 ①×②=600分(60時間)/年

1年間の就業時間の中で、企業理念を昭和している時間の割合 8,760時間(1年の時間)/60時間=0.7%
これでは全社員の意識・志向には浸透・定着はしません・・・

 
では、企業理念を定着・浸透されるには、どんな風にすればいいのか・・・
 
私は、①ハード面の対応と、②ソフト面の対応という2つの切り口で推進しています。
①    ハード面の対応
ハード面は、有形物などを作って、社員が普段から企業理念と触れることができる機会を作る対応です。
下記に、その具体例を示します。
・掲示物
社内、職場で社員の目に触れるところに掲示し、常に企業理念に触れることができる環境を整える。
・ハンドブック・手帳
自主的に、常に自分で企業理念が確認できるとともに、意識と同様、携帯することで意識の中に定着させていく。
その他にも、会議室・玄関などへの掲示など、さまざまな対応があります。
 
②    ソフト面の対応
・目標管理制度との連動
今年度、改定をされている人事評価制度の中に、目標管理制度も含まれていると考えられます。その目標管理の要素として「企業理念」実現に向けた活動も付加します。
・社内キャンペーン
数カ月または、毎月、企業理念を行動に移したテーマを設定し、社内発表とともに、社内ポスター掲示、スタッフワッペンなどを貼付して、日頃から企業理念が行動につながる仕掛けとして展開します。
・社内教育
数カ月単位で「企業理念」についての考え方を経営トップ層が解説し、その後、普段の業務に置き換えて行動できること、行動したことなどをグループディスカンッションし行動面と意識の面の共有を進めます。
・社内勉強会
数カ月単位で各グループごとに集まり、「企業理念」を普段の業務や行動につなげていく方法などについてグループディスカッションを行いまとめます。そのまとめた内容を全グループで発表する機会を設け、優良アイデなどに対して表彰していきます。
・1日の振り返り活動
簡易な日報のようなシートを作成し、1日の業務が終了した際に、自分の1日の業務を振り返り、企業理念が行動につながったことを記録していきます。その記録は、どこかで勉強会などで活用して共有を図ります。
・朝礼での唱和
企業理念を朝礼などで唱和することで意識の中への浸透・定着を図ります。
 
このように、①ハード面と②ソフト面からの取り組みを推進することで、全社員が、企業理念と触れて、自分の中に落とし込んでいくことができる機会を、しっかりと設けるということが大切です。
上記で示した、「毎朝の朝礼での企業理念の唱和」の時間を60時間(0.7%)から、いかに増やすことができるかということもポイントになります。

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