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\世界保健デー/から考えること。

みなさん、こんにちは。最近ラマダン(断食月)に乗じて短時間断食を試している現地駐在員の大澤です。

ラマダンについては、こちらの記事をご覧ください☞ ラマダンって何?

今年のラマダンは4月2日~5月1日。ヒジュラ(イスラーム)暦に基づいているので、西暦のカレンダー上では期間が毎年約2週間ずつ前にずれていきます。やっと暑くない時期になってきた&現地スタッフが断食をしているので、仕事の時間(8時~16時)だけ飲食しないということを試しています(まだ数日ですが…)。イスラム教徒の子どもたちは6歳頃から徐々に断食の時間を長くして慣らしていくそうで、私は初めてだから子どもと一緒ということを言い訳に短時間で・・・。

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【ラマダン中のエルサレム旧市街(イスラム教徒地区)】

ちなみに、現地の方々は「断食してるの?」と聞くことはあっても、イスラム教徒じゃない人に断食を強制することはなく、現地スタッフも何度も「今日もごはん食べないの?ほんとに?ほんとに気にしないで食べてね!!」と声をかけてくれます。


さて、前置きが長くなってしまいましたが、本日4月7日は世界保健デー」です。

世界保健デーとは??

1948年4月7日に効力が発生したWHO(世界保健機関)憲章を記念して、毎年この日が「世界保健デー(World Health Day)」として定められています。

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WHO憲章における健康の定義は、「病気の有無ではなく、肉体的、精神的、社会的に満たされた状態にあることを掲げ、 人種、宗教、政治信条や経済的・社会的条件によって差別されることなく、最高水準の健康に恵まれることが基本的人権である」です。ところが、現在でも世界にはこの基本的人権が守られていない人がたくさんいて、パレスチナ、特にガザ地区の人々もその一部です。

奇しくも1948年はイスラエルが建国を宣言し、それに伴って70万人以上のパレスチナ人が難民となった年。パレスチナ内の他の土地や近隣諸国に避難した人々は、70年以上自分の土地に帰れないまま、難民キャンプや他の街で暮らし続けています。人々が避難した先の一つ、ガザ地区は、200万人の人口のうち80%が難民です。その上、2007年から15年にわたりイスラエルによって陸・海・空をすべて封鎖され、人や物の出入りも厳しく制限されています。そんな中でたびたび大きな空爆の被害を受け、国際支援なしには成り立たない経済状況となっています。保健医療サービスも非常に限られており、このような状況下で、小さな子どもたちも影響を受けています。

ガザでは、微量栄養素(ビタミンやミネラルなど)の不足により栄養失調に陥る子どもが少なくありません。一番多い関連症状は貧血で、5歳以下の子どもの30%が患っていると言われています(日本は8%:厚生労働省調べ)。貧血状態が長引いたり、進行すると、体の各臓器に十分な栄養を運ぶことができず、発育や発達に支障をきたす恐れがあります。また、骨が硬くなりきらず、歩行に支障が出る”くる病”を患う子どもいます。

そのため、JVCは2003年からガザで子どもの栄養失調予防と改善の事業を行っています。

☟詳しくはこちらをご覧ください☟

https://www.ngo-jvc.net/jp/projects/palestine/improved-nutrition.html

また、昨年大規模な空爆の被害にあったガザの子どもたちは、大きなトラウマを抱えています。「以前のようには笑わない」「(親と離れるのが怖くて)学校に行けなくなった」「暴力的になった」「大きな物音にびくびくしている」「おねしょをするようになった」など、1年経った今でも症状が改善していません。これは精神的に健康な状態とは言えません。

今年の世界保健デーの今年のテーマは「Our planet, our health(私たちの地球、私たちの健康)」主に地球環境と健康の関係についてということになりますが、私は「同じ地球にいる人たちの健康にも目を向けよう」というメッセージとしても捉えられるかなと思っています。

最初にラマダンの話をしましたが、イスラム教徒の断食は、空腹や自己犠牲を経験することにより貧しい人や飢えた人への思いやりを育むこと、苦しい体験を分かち合うことで世界中のイスラム教徒との連帯感を共有することを目的とされているそうです。また、この期間中には、ザカート(喜捨)と言って、寄付できる余裕がある人が貧しい人に寄付をするという宗教的な習慣もあります。

こうしてアラブの人々は助け合って生きていますが、それでは賄い切れていないのが現状です。断食や喜捨まではしなくても、国や地域、そして色んな違いを超えて、同じ人として思いを寄せ合い助け合う世界であってほしいなと思います。

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JVCのパレスチナ事業では、現地に暮らす人びとの意思を応援する形での支援を行なっています。また、パレスチナの問題を日本社会にも伝えることで、一人ひとりが取り組むための橋渡し役を担うことも試みています。 サポートしていただいた分は全額、JVCのパレスチナ事業に寄付いたします。