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保険に何となく加入していませんか?#43

保険は公的保険と私的保険の二つに分けることができます。公的保険とは例えば健康保険、国民健康保険、後期高齢者医療制度など。みんなが加入しなければならないものです。一方で私的保険とは、生命保険会社等が販売している保険商品のことを言います。火災保険や自動車保険も私的保険のうちの一つになります。

公的保険は会社員であればほぼほぼ自動的に加入し給料から天引きされているために、ほとんど知識がなくても困ることがないんですね。以前の回でも書いたように日本の公的保険はとても優秀で、ある程度の有事にはカバーすることが可能です。医療制度においては高額療養費制度があるので所得に応じた一定ラインを上限に月額の医療費は上がりません。(保険診療のみ)

とはいえ、子どもを授かるとか車を購入するといったことで公的保険では足りないかも…と思う時期があり、そういうときに活用するのが私的(民間)保険です。こちらは知識がないままに飛びつくと事故(詐欺や搾取)を起こします。以下は、私の失敗談ですのでお読みください。

知識が乏しかった私は、何となく持っているイメージと自分の取り分ばかりを考えて保険商品を購入していたため、事故を起こしてしまいました。やはり知識がものを言う世界で、知っていれば防げた事故だったと思います。まぁ、それを引きずらないようにサンクコストと言い聞かせて今はよしよしと思っています。

生命保険って、子どもが生まれたらみんな入るんだよなと...何となくそういうもんだというイメージを持っていました。何ごとも目的が大事。何のために保険に入るのか。しっかり考えるようにしましょう。 #当時の自分に届け


○保険の大前提

まずは保険という仕組みの大前提を確認していきます。保険に加入していれば、事故とか病気の時には当然のようにお金が入ってくると思っていますよね。そもそもどのように成り立っているのでしょうか。

▽大数(たいすう)の法則

一つには大数の法則というものがあります。

大数の法則は、統計学や確率論における基本定理の一つです。これによれば、試行回数が増えるにつれて、事象の出現回数が理論上の値に近づくとされます。

Glarity summary

保険商品は確率論が土台になっているということです。
例えば自動車事故を例に挙げます。今日現在において自分が車を購入して乗り始めた場合、事故にある確率はどのくらいあると思いますか?と問われても、私たちは分からないと思います。車に乗っている私からすると、どのような事故に合うのか、いつ事故に合うのか、事故の後の生活はどうなるのか。このあたりに不安を感じて、自賠責保険では不足する部分を私的保険の商品を買ってカバーします。

保険会社は商品を設計する際には、これまでの事故の件数やシチュエーション等のデータをもとに確率を算出しています。その際の大原則が大数の法則で、“事故が起こる”確率をより実質的なものにしていくために、より多くの事象の数を集めて確率算出をします。

改めて確率論では、一つの事象に対してその母数が多くなればなるほど実際の確率に近づくと言われています。

▽収支相等の原則

上記の確率論によって設計された保険商品を各保険会社は取り扱い、販売することで利益を上げています。この利益を出すというところがポイントです。

原則として、保険商品を買った人が支払う保険料と、事故などで保険会社が支払う保険金+会社の経費は同じにならないといけないことになっています。これお収支相等の原則といいます。

例えば月額2,000円の保険商品を買っている人が10人いた場合、1年間で保険会社が得るのは、2,000円×10人×12か月=240,000円です。上記の原則に倣うと、仮に保険金支払いが10万円生じた場合に保険会社の手元に残るのは14万円です。この14万円の中から人件費などの固定費や各種経費を支払わなければなりません。
*これは仕組みを伝えるための例で、実際には何億円というお金が動いています

そういう事情を知っていると、保険会社はどこで利益を取る必要があるのかが見えてきます。保険契約時の手数料はもちろんですが、事故の確率論とにらめっこをしながら取り分を設計しているはずです。日本の三大疾病の一つである癌は、発病率も高いです。そのためがん保険は、支払う保険料の標準ラインも他と比べると高めな感じがします。

○性格の異なる3つの保険

私的保険の種類についてまとめていきます。

▽生命保険

生命保険といっても様々あります。こちらは人の生死に関して保障する保険です。保険の支払期間や保障機関や受け取り方によって分類されています。

  • 終身保険

  • 定期保険

  • 養老保険

  • 個人年金保険

養老保険は一昔前は主流でしたが、だんだんと姿を消していくのかなと思います。保険期間が決まっており、満期時には返戻金を受け取ることができます。今は掛け捨ての終身保険の方が主流ですね。

生命保険に加入している人はどれくらい?

▽損害保険

次いで損害保険は、偶然の事故で発生した損害を補填する保険となります。

  • 火災保険

  • 自動車保険

  • 自賠責保険

火災保険は5年分をまとめて支払うことも可能です。2022年10月までは10年分の一括払いも可能でしたが、現在は最長5年となっています。

▽第三分野の保険

こちらは上記2つの保険には属さない、人のけがや病気に備える保険です。種類も各社の保険商品数も多く、どれが自分に最適な商品化を見極めるのは結構大変です。

  • 医療保険

  • 介護保険

  • 傷害保険

  • がん保険

  • 所得補償保険

医療保険も多様で、入院費の保障を入れるのか、先進医療特約は付けるのかとか、本当に細かくなっています。確かに、入院時にある程度のお金を受け取れると聞くと安心感があるように思いますが、毎月(年)支払っている保険料の額や実際に受け取ることができる保険金をしっかりと試算した上で、保険で備えるのか、または貯蓄や資産形成をしながら備えるのかを判断していくことが必要です。

○保険会社の目的は何か

有事に備えるのが保険です。とはいえ、保険会社が販売している保険商品を私たちは購入して、安心を得るわけです。商品選びの際に気を付けるポイントは、保険商品を出している会社も利益を得る必要があるということ。
営業マンは親身になって話を聞いてくれたり、商品の説明をしてくれるのは当然の話です。なんか良い人だから…という理由で決めてはいけません。

また、必ずしも自分に合った保険商品を提案してくれるとは限らないということも気を付ける点ですね。自社の商品を買ってもらうことが保険会社の社員の務めですので、選択肢が少ない中から提案をしてきます。まぁ、今の時代に○○保険会社の窓口に行って契約する人ってどれだけいるのか疑問ですが、ほとんどはネットの比較サイトなどで情報収集しているのだろうと思います。

そうなってくると結構なリテラシーが必要になってくるわけです。年齢や受けられる保障を選択していくとある程度のカスタマイズができます。ただ、保険商品の優しくない点としては、特約の内容が分かりにくいことと、実際に保障を受け取るための条件が分かりにくくなっていることをあげたいと思います。

例えば、障害状態になった場合に受け取れる保険があります。この“障害状態”という表現。結構見落とすポイントです。よくあるのは「特定の障害状態」とか「所定の障害状態」といった感じで書かれています。公的制度に連動した形で、要介護状態2以上と書いてある場合もあれば、保険会社の基準を満たす場合というパターンもあります。実際にどのようなときに受け取ることが可能なのかは要チェックです。公的制度と連動していれば、制度改正に合わせて受給要件も変わりますが、保険会社の基準の場合は必ずしも連動していませんので気をつけてください。

●保険加入の目的を明らかにしよう

結局のところいちばん重要なのは、何のために保険に加入するのかということです。そのためには、自分自身の家計管理とライフプランニングが必要です。当面の人生の中では、どの時期にお金がかかるのかを把握しておくことでどの程度備える必要があるのか知ることができます。

感覚で決めていってしまうと実際の必要分よりも高い保険料を支払うことになってしまいますので、まずは自分に必要な額を知ることから始め、その上で、何のために掛け金を払って備えるのかを納得感を持ってきめていけると良いです。

私自身の体験談からも保険の分野は結構知識が必要だと感じます。
何となくで加入しない、自分で調べて自分で決める、良い話には裏がある。このあたりに気を付けながら、同じ地雷を踏んでしまう方が一人でも減るとよいなと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。
それではまた。ゆうちゃんでした。



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