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音楽家のエッセイ

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2019年6月の記事一覧

信頼と回復

信頼と回復

いま録音している曲について。思うところあり、筆をとる。

先日、デモを録音したところ、
口に出せない言葉が入っていることに気づき、まるで縁に立っているような歌声が録れた。
当たり障りのないテイクで覆い隠したいところだが、もうせっかくだから恥ずかしげもなくそのまま残してしまうか、という気持ちでいる。

自分で書いた曲なのに、自分で書いた言葉に現在の自分自身を問われる状況は、少しおかしい。

この曲を

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パフォーマンスと儀式のこと

パフォーマンスと儀式のこと

儀式が好きだ。
と言っても、葬式や結婚式に参列することに関心があるわけでは決してなく、
儀式という概念そのものに、とても関心がある。

だからなのか、大学院時代の修士論文では二重三重にも「儀式」的であると言っても過言ではないような
宗教の音楽儀式を模した儀式について、取り扱った。

信仰のない民族の儀式をauthenticな儀式たらしめているものは、一体何なのかを考えている。
参列者のほとんどがク

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Humble me More -創作の悲哀

Humble me More -創作の悲哀

曲をつくることは悲しい。

昨今、今年中にまとめたいと願っているアルバムの曲をつくったり、また録音したりしている。

1曲目に入れようとしている曲は、ギターで書いた雨の曲だ。雨がどれだけ、人を(というかわたしを)謙虚にしてくれるか、歌っている。

弾きながら口をついて出た言葉をそのまま歌詞にしたのだが、
いま改めて聴くと、あらゆる後悔が織り込まれている。もっと心地よく、寛容でいられたのに。堂々とで

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