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人の音楽人生を支える倶楽部

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レッスンの気まぐれな足跡
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#エッセイ

曲を人にみたてることとインタラクションについて

曲を人にみたてることとインタラクションについて

表現とはなんだろうか。
こんなところでぼんやり問うてみたところで、むろん容易に答えはでない。

気がつけば、音楽を教え始めてから10年の月日が経過している。ど素人の状態から始めたレッスンがここまで長く(もちろん、か細くではあるとしても)続くとは当時のわたしも予想していたんだかしていなかったんだか、どうにも思い出せないが、とにかく、当初から変わらぬポリシーとして持っているのは"講師は仲人である"(そ

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なぜ?に答える声

なぜ?に答える声

編曲を教えている。
こう話すと、座学で理論でも勉強しているのかと思われがちだが、レッスンの中身は対話と声を出す時間、身体を動かす時間だ。

楽曲は、完成されたものではあり得ない。
どんなに練度の高い曲も、生身のパフォーマーや器を介することではじめて曲という概念に昇華する。

最後に器を差し出す人間が、曲を曲たらしめるのだ。
それなのに、どうしてわたしたちは他人の肉体や声によって完成された曲を、まる

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判断軸を取り戻す時間

判断軸を取り戻す時間

9月もたくさんの時間を生徒さんたちと過ごした。
わたしのレッスンには共通カリキュラムがないので内容は十人十色。

音楽理論に初めて触れて、記号としてのコードとその奥にひろがる世界に心をふるわせるレッスン、譜面の書き方を思い出しながら、絵を描いてみたりして自分を知るレッスン、イタリア語を逆に教えてもらいながら、英語との違いをたのしむレッスン、大好きなアーティストの曲を自分のものにするためのレッスン、

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