2 カナブンブン 2024.8.29
ベランダにカナブンが二匹同時に不時着、やっぱり仰向けでもがいている。おまえら、またか~い! 一匹は自力で体勢を立て直しすぐ飛んで行ったが、もう一匹はもがいている。例のごとくティッシュを使って助けた。でも飛んで行かない。よく見ると、カナブンではないかもしれない。もしかしてハナムグリか? メープルシロップをやったり、水をやったりしてみた。以前、ウチに一時滞在したハナムグリ(おそらくウチのプランターで羽化した個体で、「マァム」と命名)がメープルシロップを気に入っていたからだが、今日のやつはシロップには近づこうとしなかった。
ひとしきり水を飲んだ後、触角を動かしながらもぞもぞと歩いたり、ストレッチするかのように脚を突っ張らせたり、折りたたみ収納式の薄羽を片方ずつ伸ばしたりするのをラカと一緒に観察。ラカはクモ類、私はワーム系が無理だが、大抵の昆虫は可愛いと思う。ウチに立ち寄ってくれるなんてありがたいことだ。ついでに葉ダニ食べてくれればいいのに。
日差しが強くなってきたので、今回は来訪者を見送らずに家に入った。いま現在、ベランダにいない。雨が降り出す前にどこかへ飛んで行ったようだ。台風10号「サンサン(Shanshan)」が近づいている。
なにげに今月のカレンダーをめくり上げてみると、いつのまにか来月のカレンダーにびっしりとオレンジのマーカーが引かれ、ラカの予定が書き込まれていた。私もラカもカレンダーやスケジュール帳の類に空白が多いと幸せを感じるタイプ。私の予定は水色のマーカーを引くが、9月は今のところ2箇所だけ。それだけでプチ幸せ。ラカは、早くからわかっている予定や重要なタスクさえ書き込まない。「明日のクリニック、何時の予約?」と聞いても「何時だっけ~忘れた」と答えるだけで調べようともしない。まあ、書いていたとしても、行くのを忘れたり、うっかり違う日に行ったりする。
数日前に「9月はびっしり受講で埋めようと思う」と言ってたの、どうやら有言実行らしい。驚いた。本気でリワークを目指す覚悟ができたのだろう。そういえば、最近は在宅中も課題をやっている時間が増え、それに反比例して私と話す時間・私に甘えてくる頻度が減った。
あとはもう、私は邪魔しないようにする、それだけだ。サポートしているつもりが、逆に邪魔をしていた。そういうことが度々あった。ラカが鬱になってからだけではない、もっと以前、幼い頃から。そしてラカだけじゃない、他の子においても。だから、私が最も心がけるべきなのは「支援しよう」ではなく「邪魔しないこと」。何が支援で何が邪魔か? そこがいちばん厄介なところだけど。
実のところ、私は支援どころか、ラカを理解することさえできていなかった。彼女を産んで以来ずっと、と言っても過言ではない。自分と異なる他者を理解するのは難しい。彼我の相違が大きければ大きいほど。なぜ私ばかりが相手を理解しようとしなければならないのか? そっちだって理解してくれよ、と言いたくなることも多かった。あ、これ、別に親子じゃなくても二者間において普遍的に発生する問題。つまりは、あれだ、「どっちがより多く努力すべきか?」って話で(例えば「特別な配慮を要する人(たち)」と「そうでない人(たち)」の関係においてもそうだし、恋愛関係などの場合は「好きっていう気持が強い方」だと思う。)、やっぱ私は親だから、子供を理解・支援する努力を続けていくべきなのだ。
という、私の中でとうに決着済みの、いつものお決まりのやつ、それを再確認するのみ。何かをきっかけに揺らぐ→考える→いつもの結論、という繰り返しのパターン。
カナブンやハナムグリが、なぜウチにやってくるのか知らんが(いつぞやは産卵してたわけだし)、もがく様子を黙って見ていられないのであれば(やがてコロンと転がった死体をゴミ箱に移動したくないのであれば)、彼らと我々の明確な「差」により、一方的支援を続けるしかない。それと同様、「よりできる人間」の方が「よりできない人間」に対して、支援のための努力や工夫を続ける、おそらくそれがベスト。私たち親子の場合、無数に存在した「差」は月日を追う毎に一つずつ小さくなり、消えていき、とうとう関係は逆転するのだから、その日までは…
カレンダーをぶら下げてる冷蔵庫、扉がちょっぴり開いたままなのに気がついた。犯人はラカじゃない…私だ。こういうことが増えてきたよね。今朝は「ハッピーターン」を「ピーターパン」って言い間違えてラカに笑われた。昨日の高円寺でも、まったく言いたいことが言えてなかったり、不適切発言や説明の過不足も多くて反省しきり。めちゃめちゃ楽しかったけど。うん、そうやね、楽しかったからいいわ。反省は必要だが、問題は無い。
このままラカを支援して、いつか立場が逆転した時には支援してもらおう。と考えているわけではない。100パない!とは言い切れんけど(笑) すべては塞翁が馬、先のことは誰にもわからない。誰にも、か? えっと、少なくとも、私にはわからん。今できることをやるのみ。
昨晩は高円寺からの帰りがかなり遅くなった。ラカはもう布団を敷いて寝る準備を済ませ、化粧水や綿棒など「風呂上がりグッズ」を乗せてるワゴンの天板をキレイに拭いているところだった。こんな深夜に掃除… 「衝動性」が高いのもラカの特性の一つ。「あら、ありがとう」と声をかけると、「この辺(リビング)は掃除機もかけておいたよ」と言う。珍しい。ラカは聴覚過敏で、掃除機の音も「苦手な音」の一つだ。「そうなん? えらいね!」と褒めると「はい♪ ラカちゃんはママがいないとおりこうさんでしゅ」と幼児のような口調で言った。
「これか~ら~もどうぞよろしくね~♪」と、ラカはよく西野カナの「トリセツ」を歌う。ニコニコしながら可愛らしい声で。こんなママだけど、これからもどうぞよろしくね、そう言って私も笑う。
よし決めた。明日ラカが猫カフェ行くから、私も同行しよう! 猫、まったく好きじゃないけど(笑) あ、台風… やっぱ雨すごかったら行かんどこ(笑)
【本日いちばんの収穫】
うーん、そうだな、昨日知り合った青年に教えてもらった「ゆる言語学ラジオ」だわ。ラカが帰ってきたら教えてあげたい!
ちなみに「昨日の収穫」は枚挙に暇がないくらいで、人生の中でも最高レベルに充実した日だった。生きててよかった。
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