2020年 上半期映画ベスト10(外国映画編)
こんにちは。
8月ですが、今年上半期の映画ベスト10を日本映画編に続いて発表したいと思います!
対象は、今年の1〜6月に新作として劇場公開か動画配信された作品で、リバイバル上映やレンタルなどで観た過去作品は含みません。
それでもそれなりの数もあり結構悩みました。
▼日本映画編はこちら
それでは外国語映画編を、10位からカウントダウンして発表していきたいと思います!
10位〜6位
10位 『彼らは生きていた/ゼイ・シャル・ノット・グロウ・オールド』 (1/25公開)
2018年 イギリス、ニュージーランド 99分
監督:ピーター・ジャクソン
これ、すごいです!
第一世界大戦の記録映像を蘇らせて映画にしたんですが、そのやり方がすごい!
昔のモノクロ映像って早送りしているようにカクカク動いてますけど、ああいう映像にカラーをつけて、コマ数を合わせて動きを滑らかにし、効果音を入れ、なんと読唇術でセリフも入れ、現代のような映像に蘇らせたんです!
これによって本当に"彼らは生きていた"ように圧倒的な生命力で映像の中に現れるんです! 元映像との比較も入るので凄さも分かります。
もう考えただけで膨大な時間と労力を費やしたことが容易に想像できますが、このプロジェクトをやってのけたのが『ロード・オブ・ザ・リング』のピーター・ジャクソン監督です。
この戦争に参加していた彼の祖父への想いで製作したのだとか。
補足ですが、『ロード・オブ・ザ・リング』の原作者J・R・R・トールキンもこの戦争に参加していてそこから「指輪物語」を書いています。その半生を描いた『トールキン 旅のはじまり』、アカデミー賞ノミネートの『1917 命をかけた伝令』も併せて観るとよりこの戦争の理解が広がると思います。
9位 『レ・ミゼラブル』 (2/28公開)
2019年 フランス 104分
監督:ラジ・リ
出演:ダミエン・ボナール、ジャンヌ・バリバール、他
もう緊張感が終始すごい!
ヴィクトル・ユゴーの小説「レ・ミゼラブル」の舞台となったパリ郊外モンフェルメイユ、今は移民や低所得者層が多く住む危険な犯罪地帯と化していた。
アフリカ系、イスラム教徒、ジプシーなど様々なグループが複雑に絡み合っていて、ちょっとしたことでも暴動が起きそうな不満と鬱憤の詰まった火薬庫のようなエリア。
そんな中に些細なことが、一触即発の事態に発展してしまう…
これは映画のドラマだけれど、フランスの移民問題が浮き彫りになっていくんです。 移民の可能性や問題を抱えるどの国にも当てはまる社会派なテーマの作品です。
8位 『ミッドサマー』 (2/21公開)
2019年 アメリカ 147分
監督:アリ・アスター
出演:フローレンス・ピュー、ジャック・レイナー、ウィル・ポールター、他
こちらは、奇才アリ・アスター監督による、真昼間に起こる美しくも恐ろしいホラー映画です。 製作スタジオは、A24。
舞台は北欧スウェーデンの田舎の村。白夜で夜でも明るい中で次々と起こる怪事件。この村は一体何なのか…
ホラーって明るい中でもできるんだ…ってその才能に驚かされる作品です。
映画の隅々に散りばめられたヒントが次々起こる事件の鍵になっていたり、そこを読み解く楽しさもあります。
7位 『在りし日の歌』 (4/3公開)
2019年 中国 185分
監督:ワン・シャオシュアイ
出演:ワン・ジンチュン、メイ・ヨン、チー・シー、他
これ良かったです。
ちょっと長めなんですが、ある夫婦の30年に渡る人生ドラマなのでその時間を使うだけの内容が十分にある人生が詰まった良作です。
時系列がシームレスに入れ替わり、過去と未来が交錯しながら進行していくんですが、途中でその時系列を交錯させてた思わぬ効果が効いてきます!
なんか地味なルックなのに結構しっかりとした映画作りがされていて面白い!
6位 『娘は戦場で生まれた』 (2/29公開)
2019年 イギリス 100分
監督:ワアド・アル・カデブ
出演:ワアド・アル・カデブ、サマ・アル・カデブ、ハムザ・アル・カデブ
ホントにすごいドキュメンタリー映画!
ジャーナリストのワアドは、爆撃が続くシリアで医師のハムザと出会う。
爆撃により毎日大量の死傷者が病院に運ばれてくる、それを撮り続けるワアド。救おうとするのに救えない多くの命、その中で奇跡の様に救われる命。
壮絶というほかない現場の生の姿がドキュメンタリーとして記録されている。 これがアカデミー賞を獲らないなんて!(長編ドキュメンタリー賞のノミネートのみ)
そしてそんな二人が授かった新たな命。戦場の真っ只中で生まれたサマ。
爆撃な大音量でも泣かない、そんな赤ちゃん。
戦争とは何なのか、どれだけ理不尽で悲惨なのか。
現在も進行形の忘れてはいけない現状がリアルに描き出されています。
5位〜1位
5位 『ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしのつくり方』 (3/14公開)
2018年 アメリカ 91分
監督:ジョン・チェスター
出演:ジョン・チェスター、モリー・チェスター
個人的に大好き!
都会の夫婦がひょんなことから田舎で農場をはじめることに。
周りの手助けを借りながら、本当の意味で自然と共生するということを試行錯誤しながら見つけてゆくドキュメンタリー。
害虫や害獣だと思っていた生き物にもちゃんと役割と意味がある。
人間が経済のために効率を求める農業とは真逆にある、非効率なんだけど理想郷な場所。
「鉄腕DASH」や「ポツンと一軒家」が好きな人なら間違いなくオススメな作品。
4位 『ストーリー・オブ・マイ・ライフ わたしの若草物語』 (6/12公開)
2019年 アメリカ 135分
監督:グレタ・ガーウィグ
出演:シアーシャ・ローナン、エマ・ワトソン、フローレンス・ピュー、エリザ・スカンレン、ローラ・ダーン、ティモシー・シャラメ、メリル・ストリープ、他
グレタ・ガーウィグによるまさに現代版の若草物語。
豪華キャストの各キャラクターもいきいきとしていて、衣装もいい!
以前にnoteも書きました。
観ていてワクワクするし、とってもポジティブな気持ちになれるとてもいい作品です。
3位 『はちどり』 (6/20公開)
2018年 韓国、アメリカ 138分
監督:キム・ボラ
出演:パク・ジフ、キム・セビョク、イ・スンヨン、他
こちらはノーマークだっただけに、ガツンとやられました。
評判が良かったのは知ってたけど、キム・ボラ監督はこれがデビュー作というから末恐ろしい!
特に大きな事件は起こらない日常を描くタイプの作品。
90年代の韓国社会を背景に、中学2年生という多感な時期の女の子・主人公ウニの繊細な感情の移り変わりが伝わってくる。
この言葉にできないような時代の空気感や多感な主人公の感情を淡々と優しく丁寧に描ききっていて、名作のオーラをまとっています。
かなり小規模公開ですが、上映しているのを見つけたらラッキーなので、ぜひ観てほしいです。
2位 『ジョジョ・ラビット』 (1/17公開)
2019年 アメリカ、ドイツ 109分
監督:タイカ・ワイティティ
出演:ローマン・グリフィン・デイビス、タイカ・ワイティティ、スカーレット・ヨハンソン、サム・ロックウェル、他
もう大好き!
タイカ・ワイティティが描くこの映画の世界観がとてもポップでおしゃれでコミカルですごいくいい。
衣装も素敵で、構図や色彩、カメラワークなんかがウェス・アンダーソンの映画みたいなんです。
こんなおしゃれなルックなのに内容はナチスもので結構ヘビーなテーマをしっかりと扱っています。
この不寛容な時代に"愛が勝つ"というメッセージを堂々と言ってのけたのはすごいなと思います。
この映画、音楽もいいんです。
ビートルズのドイツ語版から始まり、デヴィッド・ボウイのドイツ語版で終わるというカッコ良さです!
1位 『パラサイト 半地下の家族』 (1/10公開)
2019年 韓国 132分
監督:ポン・ジュノ
出演:ソン・ガンホ、イ・ソンギョン、チョ・ヨジョン、チェ・ウシク、パク・ソダム、他
やっぱり1位になってしまいました!
ポン・ジュノが昔から好きというのもありますが、年の初めに観て相当な衝撃でしたが、コロナ自粛明けにモノクロ版を観て改めてその傑作ぶりを確認し、間違いない評価となりました。
ジャンルを超えたつくり、散りばめられたキーワード、時代のメッセージ性など映画としてのレベルが高いし、何と言ってもめちゃくちゃ面白い!
パラサイトに関しては、noteでアカデミー賞の時に思ったことや、WEBメディアにネタバレ解説を寄稿したことも書いたりしました。
最後に
外国映画も悩みに悩んで10本に絞りました。まだ上半期ですが…
今年の後半はコロナの影響で大作映画がみんな来年に延期になってしまったのですが、007とか公開する大作もあるし楽しみな作品はまだまだあるのでこれからも楽しみです。
映画を観る時の何かの参考になれば嬉しいです。
最後までありがとうございます。